ミッションIN修学旅行 金閣寺編
俺はいつもよりも早く起きてこっそりと外に出て、花田さんから貰っていた決壊用の御札を展開して刀の素振りをしていた。昨日のことを愛華に聞くと愛かも同じことを体験し、何でも俺にも裏切られてそこで気を失ったらしい。俺もお前から裏切られたときは悲しかったぞ。
『私はそんなことしないよ。お兄ちゃん、信じて』
そんなに目をウルウルされると首を縦に振るしかできないじゃないか、まったく。
「分かってるよ。俺達は信じあう兄妹だからな」
『うん!!そうだね!!』
はじける笑顔で言う愛華。俺の中に埋め込まれたものって一体なんなんだ??
『私にも分からないな~。何か大切なものじゃないの??』
だといいな。今後に役立つものならいいんだがな・・・。その後も俺はさまざまな剣術を試していた。滝のような汗をかいて、朝風呂に行った。こっそりと混浴に言ったのはみんなに秘密だ。何せまだ5時ごろだからな。ほとんど起きてないだろう。愛華にはいくなと散々文句を言われたが、ここはスリルを味わいたいので俺は行った。
ガラガラとドアを開けて、腰にタオルを巻いて俺とバスタオル姿の愛華が入った。中には誰かいる気配がした。
「おはようございます、朝早いですね」
俺は挨拶をしながらその影に近づいたってブー!!鼻血が飛び出した。だって風呂にいたのが・・・。
「あ、おはよう。佑ちゃん、昨日はお互い大変だったね~」
小西さん・・・。あなたって人は・・・。きらめく白い肌。バスタオルで隠れる福与かな胸。上気して赤くなり、かなり色っぽい顔・・・。俺・・・もう死んでもいいです。
『お兄ちゃん!!エッチな目で見ないで!!』
おおっとマイシスターよ!!これは健全な男なら仕方が無いことなのだよ!!これを止められてしまうと男と言うのはだな・・・。
『あなたもやはり男ですね』
ん??どうしたんだフィオネって小西さんも愛かもなんで真っ赤にして俺を見てるんだ??ってうわーーー!!どうやら力説してたらタオルがはらりと取れてしまい・・・。
「『キャー!!』」
2人の悲鳴がとどろいた。しかし聞こえた人は皆無だった。この後俺は3人分のコーヒー牛乳を買わされた。体のほうはかなりやばいことになってたな・・・。
っといろんなことが朝からあったが今はグループ活動の真っ最中。俺達は最初の目的地、金閣寺に来ていた。
「本当に金ぴかですね~」
関心して言うのはクラスメートの芳賀隆介だ。確かに金ぴかだ。昔は本当に金が使われていたんだろうな・・・。今はそうではないが。
「シャッターチャンス!!」
写真部の芝達也だ。マニアらしく、被写体があればすぐにシャッターチャンスしてしまう癖があり、それにより検挙されることがたびたびある。警察ももうあきれるしかできないようで、その場で注意して終わりと言う形が最近であるようだ。
金閣を一瞥して周りを見ると池に移る金閣を凝視する小西さんとフィオネがいた。どうしたのですか??小西さん。
俺が尋ねるといつもの仕事モードの小西さんがつぶやく。
「この池の金閣には悪霊が住み着いている」
本当ですか??なんで??
『金閣はかなりの資産で建てられたのでしょう、おそらく金に苦しんで死んでいった人々の恨みが住み着いているのだと思います』
真剣な表情で説明してくれるフィオネ。了解。それじゃあそうすればいいんですかね。
「やつらをおびき出すしかないかもしれない。しかしこのままでは一般の人にも被害が出てしまう」
『しかしこのままほうっておけばさらに凶悪な悪霊になる可能性もあります。あの2人もまた別のポイントで戦闘を開始しているようです』
昨日のことは今朝聞いてみたが2人もまた愛華と同じく裏切られた瞬間気を失ったらしい。あ、小西さんは答えたところまでは覚えているがその後すぐに気を失ったらしい。お礼外にも答えを言うところまで行く人いたんだな。
「もう、腹をくくるしかないようね。佑ちゃん構えて!!」
よし!!了解!!小西さんは懐から御札・・・ではなく4色の色紙でできた人形を持って走っていった。どうやら東西南北に設置しているようだ。人形は・・・竜・鳥・虎・亀だった・・・。まさか!!
「4方に宿りし聖獣よ。悪の根源をこの地にひれ伏せさせよ!!北の朱雀!!東の青龍!!南の玄武!!西の白虎!!」
次の瞬間4色の光が金閣周辺を包み込んだ。一般客は驚き逃げ惑う。クラスメートは逃げるどころか気絶している。唯一芝だけがシャッターチャンスしていた。
地を揺さぶるような咆哮をとどろかせ、出現したのは、幾人もの人間が埋められた、獣の形をした悪霊だった。モデルはライオンか??でも、埋め込まれている人間からも悲痛のうめき声が聞こえて来る。
「これは・・・」
『レベルBですね』
レベルがどうだか知れねえ画、今までのやつよりは強いということですね??俺の質問に無言で首肯する小西さん。だったら・・・。
「愛華!!」
『了解!!』
俺は愛華から『牙狼丸』を受け取り、霊気をまとわせ、構える。小西さんもすでに戦闘準備完了だった。愛華と違い、騎士のフィオネもある程度は戦えるのだ。
悪霊から感じられるどす黒いオーラを感じ冷や汗が流れる。ぴちゃんと俺のほほから流れ落ちた汗が地面についた瞬間俺達は駆け出した。
「俺がお前らの魂を救ってやる!!」
金閣での戦闘が今始まった・・・。
どがん どがん どがん
悪霊が吐き出す漆黒の炎をかわしつつ、刀に霊気を纏わせ、悪霊を切る。切られるたびに悪霊は奇声を上げ、人々は昇天していく。しかし斬っても斬っても中からは人間の形をしたものが出てくる。どれだけ金に苦しんだ人がいるんだ。
「小西さん!!こいつは一気に全体をぶっ飛ばさないといけないんじゃないか??」
「そうだね。やるしかない!!フィオネ!!」
『分かりました』
小西さんはフィオネが合わさったレイピアを持っていた。俺も愛華の霊気を半分刀に流し込み、抜刀の構えを取る。周りにはすでに非難したのだろう、人は誰もいなかった。悪霊は俺達を睨みながら攻撃態勢に入っていた。溜技だ!!
ここからは力と力の勝負だ!!
「白銀狼斬!!」「蒼槍竜雨!!」
俺の刀からは銀色の波動が地面なけずりながら、小西さんのレイピアからは青い槍状の攻撃が悪霊に向かって飛んでいく。悪霊も口からどす黒い炎を吐き出した。攻撃同士がぶつかり合い、閃光があたりを照らす。
「「うおぉおおおおおぉぉぉ」」
かた かた かた かたと刀とレイピアが唸る。少しづつ足が押されているのに気がついた。俺達は押されているのか??
『お兄ちゃん!!』
心配無用だ!!お兄ちゃんは負けない!!そのとき俺の心臓か何かがドクンと大きく鼓動したのが感じられた。何かが俺の中に流れ込んでくる・・・。
『汝・・・我を求めるか??』
あのときの怪物か??
『いかにも、汝にはすでに守護霊がいるので我は具現化されない』
そんなことよりも力を貸してくれるのか??
『汝は我の主なり。汝が必要となればわれの力、今はわずかだが、貸すことは可能だ・・・』
よし!!それなら俺にお前の力を貸してくれ!!
『よかろう・・・。我の力しかと汝に渡した・・・』
ところでお前の名前はなんていうんだ??
『我は白銀の竜王なり。名はまだない』
ならギンでいいかな??呼びやすいしな。よろしくギン!!
『よかろう、我の名はギン・・・。我は汝とともにいる・・・』
刀に纏わせている霊気があがったのを感じた。愛華だけではなく、ギンの霊気も含まれているらしい。これなら何とかいけそうだ。俺は直感で感じたやり方をとる。
「人の闇より生まれ、人の心を食らうもの、陰と陽との調和のもとに、我が描きし5望星によりて無に返す、悪霊滅すべし!!」
俺は刀で5望星を描く。そこには白銀に輝く星が出来上がった。そして上段に構えたまま、振り下ろした!!
「封星龍破!!」
星の中からは白銀の龍が現れ、悪霊を食らっていく。悪霊は今までにない悲鳴を上げて、最後のひとかけらも残されずに龍に食われた。
『お兄ちゃん、いつの間にそんなことができるようになったの??』
愛華が感心しながら聞いてきた。お兄ちゃんもぶっつけ本番でやったんだよ。直感てやつかな・・・。
「それならすごいというしかありません」
小西さん??
「龍は聖獣の1つ、青龍をあらわします。あなたがそれを操ったことは何か理由があるのでは??」
確かにあったっちゃあったんだが・・・。言っていいのか??
「ないようならば才能でしょうか・・・。しかし大変なことになりますね佑ちゃんも」
なんでだ??俺は今でも大変だけれども。
「強大な力を持つ討手は政府直属の機関に配属されるのです」
配属??政府直属の機関??なんすかそれは??
「それのことならば、学校に戻り次第、会長じきじきに教えてくれると思うよ。がんばってね佑ちゃん」
何と言うか・・・また大変なことに巻き込まれそうだ・・・。すると俺の手元でピキピキと何かの音がした。見てみると・・・。
「な・・・なんだと!!」
『お兄ちゃんこれって・・・』
俺の愛刀・・・『牙狼丸』にひびが入っていたのである・・・。これは・・・どうしようか・・・。俺はただ見つめることしかできなかった・・・。
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