調べる私
私は調べる。
自分の命を守るためだ。
アミュレットとタリスマンは区別をする必要はない。
どちらも御守りであり、いくつかの要素を比較し最終的にどちらっぽいかにすぎない。
・霊的なものの存在を前提としているかしていないか。
・見つからなくするか、力を防ぐか、追い払うか
・誰にでも効果があるか、特定の人物が持たねば効果がないか。
・使うほど効果が減っていくか、逆に強まるか。
・代償が必要かそうでないか。
・何に対しても効果があるか、特定のものにしか効果はないか
いくつかの要素かあり、これらには、両方の様な場合もある。だから2つを区別する必要はない。
私は何かにみはられている。
私をみはるものは、笑みを崩さない。
見えない何かの表情がわかるのだから不思議な事だ。
私は友人とは違う。まだ直接干渉されていない。
友人は私を差し出すと伝えた。
それを知って以来私の監視ははじまった。
私は一つの御守りを購入する。アミュレットでもタリスマンでもある黄色の石の御守りだ。
逆効果でしかなかった。
私は向こうが何かしてから初めて存在に気づく。
私はもう`なにか'を仕掛けられている。
ある雨の日、誰もがカッパを着ているという異常事態にあった。傘の逆はカッパであり、御守りも逆の意味になった。今ならしないミスだが当時は分からなかった。
私は怖くなり、逃げるように家路を急ぐ。エレベーターの数字が反転していた。世界に色がないことに気づく。ずっとみていたはずだったのにその時まで気にならなかった。
皆がきていたカッパが私と友人の通った小学生の頃の学校指定の黄色のものであり、それ以外の全てが灰色だった。私だけがそのカッパのように全身が黄色だった。
私は妻が灰色だったことに安心する。妊婦だった妻は風呂に入ろうとしている。私は頼みこみ先にシャワーをあびる。早く黄色を洗い流したい。私に染み付いた黄色を洗い流さなければ戻れない。
妻は悲しい顔をしたような気がした。
気の強い人で嫌なら嫌という人物だったがその時は何もいわなかった。
私の黄色は洗っても洗っても落ちない。私は気がつけばずっと握っていた黄色の御守り石を取り出す。
黄色の御守り石は灰色をしていた。
騙されたと気づく。
私の目がおかしくなっていた。目を洗うと私は灰色であり御守り石は黄色だった。私は何も変わっていなかった。
そこで私は思い出す。妻は本当は黄色なのだ。私は急ぎ浴室を出る。世界に色がもどっていく。色のある元の世界だった。
黄色の人たちは消えている。妻も消えている。妻は事故で死んだのだ。それは私と出会うより前のことだ。
御守り石がなければそれが作り替えられた歴史だと気づく事は出来なかっただろう。妻の事も忘れてしまう。
あの時妻に先に風呂に入ってもらえば良かった。私が騙されたから妻を失ったのだ。
私は消えたかもしれないが妻は元の世界に帰れただろう。
いやあの頃のように手を繋ぎ入ればよかったのかもしれない。本当に大切なら手をはなしてはいけなかった。
私は泣いていた。灰色でも黄色でもない透明な涙がこぼれた。
灰色はまだ世界に取り込まれていない。
黄色はもう世界に取り込まれている。
浴室が別世界の出口であり、シャワーはきっかけです。
御守り石はそれに気づかせる道標 ヘンゼルとグレーテルでいうところの月の光で輝く石です。
最後の手を繋ぐうんぬんはヘンゼルとグレーテルは手を繋ぎ森から抜け出しましたが私は1人でかえった事への回答です。
最初のアミュレットとタリスマンの分けるポイントはかなり削りましたが受け売りです。主流な考え方かは知りません。