#68
――それから数日後。
ラメルの提案で、ホワイト·リキッドの従業員すべてを集めた歓迎会が行われることになった。
ジェラートにも彼の提案は知らされ、彼女は大いに喜び、歓迎会の場所はホワイト·リキッドの本店である一号店を貸切りでやることになる。
「いや~素晴らしい案だね~。そういえばこれまで一度も全店舗合同で飲み会なんてやってなかったし。うんうん、さすがはラメルだよ」
「ジェラートさん、あいつはただ騒ぐ理由がほしいだけですよ。何が新人歓迎会だ。くだらないですよ、そんなの」
大喜びのジェラートとは違って、マチャのほうはあまり歓迎会に乗る気ではなさそうだった。
だがバニラ、ストロベリー、ダークレート三人はパーティーだと聞いて喜び、一号店の従業員たちも、久しぶりの飲み会の開催を楽しみにしているとジェラートが言う。
「まあまあいいじゃない。やっぱりこういうイベントがないと、仕事へのモチベーションも保てないじゃないの」
「そんな奴はクビにすればいいでしょ? やる気のない人間は仕事の邪魔です。私たちは遊びでこんなことしているんじゃないんだから」
ジェラートは、あくまで歓迎会に否定的なマチャを説得し、彼女にも参加するように頼んだ。
経営者である彼女からそう言われては、マチャも拒否することができず、渋々ながらも飲み会への参加を決める。
そして、新人歓迎会当日――。
「それじゃ皆グラスは持ったね。では、カンパーイッ!」
本店の従業員の一人――シリアルという女性の音頭で飲み会が始まった。
ホワイト·リキッド本店の店内には、一号店と二号店の従業員とダークレートの飼っている小熊のカカオもいる。
「なんだ? クマがいるぞ?」
「え~! カワイイッ!」
一号店の従業員たちがカカオと傍にいたダークレートの周りに集まって、皆で餌を与えている。
すでに酔っているのだろう。
顔を真っ赤にして皆で代わる代わるカカオを抱いている。
用意された料理は、デザート以外はすべてフードデリバリーだ。
ピザや寿司、さらにはサンドイッチや揚げ物のケータリングが繋がれたテーブルに並ぶ。
当然アルコール類はすべて店のものである。
「あッ! 勝手に食べるなよッ! このテーブルの寿司はあたしんだッ!」
その中で、誰よりも声を張り上げているストロベリー。
彼女は初めて食べた寿司の味にハマって、テーブルの一角を占拠していた。
酔っぱらっている他の従業員たちは、そのテーブルの寿司を手に取るたびに吠えるストロベリーを面白がってあえて彼女のいるテーブルから摘まんでいる。
そんな中で、バニラ一人黙々と料理を食べていた。
ロッキーロード家ではろくなものを食べていなかったのもあってか、彼にとってはこんな味の濃い食べ物は生まれて初めてだったのだ。
口の周りに食いカスがついたまま、次々に料理を平らげている。
お世辞にもマナーがいいとは言えない。
だが、今日くらいはと好き勝手させてやるかと、マチャは遠くからそんなバニラを眺めていた。
「おうマチャ。楽しんでるか~!」
そんなふうに端でカクテルを飲んでいた彼女に、ラメルが声をかけてきた。




