#64
「いいね~! アンタの気持ちが伝わって来るとってもいい土下座だ!」
「な、なら……」
床につけた頭を動かし、ストロベリーを見上げるジャークに、彼女はムッと表情を一変させる。
そして、ストロベリーは足で踏みつけていた彼の妻の頭を踏み潰す。
「あぁぁぁッ!?」
「ママッ! ママァァァッ!」
潰れたトマトのようにグチャッと原形がなくなった妻の顔を見て、ジャークと娘の悲鳴があげてその声が部屋を埋め尽くした。
その叫び声を聞いたストロベリーは、ウザったそうに口を開く。
「ほら、勝手に顔を上げたから足に力が入っちゃったよ。あたしがいいって言うまでジッとしてなきゃ」
「テメェはぁぁぁッ!」
「おーっと。いいの? そんな態度じゃ、次は手元が狂っちゃうよ~」
ストロベリーが掴んでいたジャークの娘の首に力を込めると、幼い少女が苦しそうにもがき始めた。
そんな娘のことなど気にせずに、ストロベリーは次第に手の力を強める。
「頼むッ! 娘は、娘はだけはッ!」
ジャークが慌てて床に頭を擦りつけると、再び彼女に向かって悲願。
だがそんな彼の想いも虚しく、娘の首はへし折られてしまった。
鈍い音が鳴ると、ストロベリーは絶命した娘をブラブラと手で振りながらジャークの前に放り投げる。
「あぁ~死んじゃった。子供って思っていた以上にもろいんだねぇ。でも、これもアンタのせいだよ。アンタがピーピーうるさいから、力の加減を間違えちゃったんだ」
ドサッと人形のように目の前に倒れた娘の姿を見て、ジャークは立ち上がってストロベリーへと飛び掛かった。
両目から涙を流し、口からは歯を食い縛り過ぎて血を流したまるで鬼のような形相で、拳を振り上げる。
「殺すッ! テメェはぜってぇに殺すッ!」
「おー怖い怖い。なんてね」
飛び掛かってくるジャークに、ストロベリーがおどけてみせた瞬間――。
「ガハッ!?」
ジャークは背後から首を絞められた。
彼を締め上げているのは白髪の少年バニラだ。
「お前、なに遊んでんだよ?」
「あん? いいからさっさとそいつ殺してよ」
「わかってるよ。仕事だしな」
「テ、テメェらぁぁぁッ!」
首を絞めらながらも叫んだジャークだったが。
バニラが思いっ切り力を込めると、彼はそのまま息を引き取った。
目の前で妻と娘を殺された不条理を味わった苦痛の表情で、口から血反吐と泡を吹いた無惨な最後だった。
「はい、終わり終わり。さっさと帰ろう」
ストロベリーがキッチンを出て外へと向かう。
バニラも彼女に続いて部屋を出ると、ダークレートが残されたジャークと彼の家族の死体を見下ろしていた。
「最悪だな……あいつら……」
そして、彼女はそう呟くと二人の後を追っていった。




