表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/236

#62

問い詰めるように叫んだジャークに対して、バニラは無愛想な顔を向けたまま何も答えない。


ただゆっくりとした動作で、再び彼に手を伸ばしてくる。


ジャークは慌てて後退すると、両手を握りしめてファイティングポーズを取る。


「沈黙はYESと取るぜ。なんだよ、殺された仲間の復讐か?」


「復讐? いや、別に仕事だから」


淡々と答えたバニラに向かってジャークは一気に距離を詰めた。


伊達に警備会社の幹部ではない。


彼は元々は格闘家を目指していたのもあって、その褐色(かっしょく)の肌をした屈強な身体ともに、たしかな近接戦闘技術も持ち合わせていた。


「あれ? 消えた?」


バニラは何の反応もできずに、ジャークの接近を許してしまう。


そして、次の瞬間にはジャークの放った右ストレートを喰らい、吹き飛ばされていた。


全力で振り抜いた弾丸のような正拳突きだった。


だがバニラが倒れることはなく、鼻から垂れる血を手で(ぬぐ)っている。


「俺の一撃を受けて倒れねぇのかよ?」


喰らわせたジャーク本人が驚いていると、バニラは再び彼に近づこうと歩を進めた。


ジャークは瞬時に反応し、巨体とは思えないフットワークで動き回り、バニラの顔面にジャブを放つ。


しかし、彼の動きに慣れてきたのか。


バニラはまるで子供が周囲を飛び回る虫を払うかのように手を振り、繰り出されたジャブを避けていた。


このまま続けても攻撃が当たらないと判断したジャークは、 向かってくるバニラから距離を取ると、ファイティングポーズを取ったまま彼に声をかける。


「なんだお前? えれぇ反応がいいわりに、まったくの素人じゃねぇか。ただの子供(ガキ)なのか殺し屋なのかよくわかんねぇな」


「アンタ強いね。ぜんぜん捕まえられない。こんなこと初めだ」


「へッ、喧嘩(けんか)ってのは腕力だけでやるもんじゃねぇんだよ。それを今から教えてやる」


「……? 腕力以外ってことは、銃とかナイフってこと?」


「ちげぇよ馬鹿ッ!」


そう叫びながら再び仕掛けるジャーク。


バニラは手を伸ばして捕まえようとするが、やはり彼を(とら)えることができない。


何度も殴られながらバニラは思う。


トランス・シェイクを飲んだ影響で、今の自分は目の前のジャークよりも力もスピードも上回っている。


しかし、何故彼を捉えることができないのか。


あんな大きな身体をしているのだから、すぐに捕まえられそうなものなのだが。


バニラは、どうして自分のほうが強いのにやられているのかがわからなかった。


考えてみてもわからず、ただ()(すべ)なく、ジャークにいいように(なぐ)られ続けているだけだ。


このまま何もできずにやられるのか。


バニラがそう思っていると、ジャークかやって来たほうから悲鳴か聞こえてくる。


「きゃぁぁぁッ! パパッ! パパたすけてぇぇぇッ!」


それは、ジャークの娘が父親に助けを求める叫び声だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ