表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/60

#56

その後、身体を拭いて戻ってきたバニラもダイニングに腰を下ろし、マチャ、ストロベリー、ダークレート、カカオ皆でテーブルを囲む。


だが少年少女の食べる姿を見て、マチャは顔を(ゆが)める。


バニラはサラダにかけるドレッシングやカレーをテーブルに撒き散らし、ダークレートはカレーライスの白飯には手を付けない。


ストロベリーのほうはサラダの皿にカレーに入っていた野菜を移して、カカオの前に置いている。


「お、お前らなぁ……」


「うん? なんだよ? 風呂には入ったし服も着替えたぞ」


バニラが口の周りにカレーを付けながら、モグモグと口を動かしながら言うと――。


「食べ方が汚いんだよッ! それとお前は米を食えッ!それからお前は野菜を残してクマに食わすなッ!」


マチャはまた声を張り上げた。


それからもマチャはバニラたちのマナーの悪さに辟易(へきえき)しながらもなんとか食事を終え、その日は終わった。


そして次の日――。


マチャはバニラたちを連れ、自分が任されているホワイト·リキッド二号店へとやってきた。


先に店に来て仕込みをしていたラメルが、グッタリとしている彼女を見て乾いた笑みを浮かべている。


「おはよう、マチャ」


「あぁ、おはよう……」


「なんかちょっと会わない間にえらいやつれたな」


「……あいつら最悪」


二人がそんな会話をしているとき――。


二号店の控室では、マチャがバニラたちに与えた店の制服に着替えていた。


どうやら殺されたロッキーロードが任されていた三号店では制服がなかったため、マチャが在庫を彼らに渡したようだ。


マチャとラメルが話していると、着替えてきたバニラたちが店内に戻って来る。


三人共経営者であるジェラートや、マチャ、ラメルと同じく白いワイシャツにウエストコート姿だ。


「おぉ、似合ってんじゃんよ三人とも」


ラメルがそう言うと、ストロベリーとダークレートが顔をしかめた。


どうやら彼女たちはこういうかたくるしい格好は好きではないようだ。


だが、バニラだけはめずらしく表情をゆるめている。


「ジェラートさんと同じく服……。フフフ……」


「ゲッなにコイツ? キモいんだけど……」


「放っておきなよ。こいつはもともとそういうヤツだ」


自分の着ている服を見てニヤニヤしているバニラ。


そんな彼を見て引いているストロベリーに、ダークレートが気にしないように言った。


いつまで突っ立っている三人へマチャが言う。


「ほらお前ら、もうすぐ開店時間だぞ。さっさと仕事しろ」


マチャにそう言われ、バニラは店内の掃除を始めた。


だが、ストロベリーとダークレートは突っ立ったままだった。


そんな二人にマチャが訊ねる。


「どうした? 早く仕事をしろ」


「いや、でもアタシ、働いたことないし」


「あたしも~」


「へッ……?」


どうやらマチャは知らなかったようだが。


彼女たちがいた三号店はほとんど開店休業状態で、まともに営業していたことがなかった。


店は基本的にバニラがずっと一人で掃除をしているだけ。


ストロベリーやダークレートらはいつも仕事をサボっていたため、働けと言われても何をすればいいからわからないらしい。


「はぁ……。ロッキーロードさんは何をやってたんだ……」


「まあまあ、少しずつ教えて行こうぜ」


緑色の髪を振り回し、頭を抱えるマチャ。


ラメルはそんな彼女の肩をポンポンと叩くと、バニラたちに飲食店での仕事のやり方を教え始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ