表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/217

#47

「ス、ストロベリーちゃん……」


「くッ!? あいつは(おとり)にすらならなかったのッ!? マジで使えないッ!」


震えるモカに、顔をしかめるストロベリー。


スパイシー·インクの社員たちはバニラだけでなく、周囲にいると思われるストロベリーやモカ二人のことも捜していたのだろう。


ライオットシールドと警棒を持ってないところを見るに、おそらく別動隊だ。


人数も三人ほどで、全身に刺青がないストロベリーたちにはトランス·シェイクによる身体能力の向上がないという判断をし、彼女らを捕らえようと近づいてきたのだ。


警備服姿の男たちはストロベリーとモカの逃げ道を(ふさ)ぐように囲みながら、ゆっくりと歩を進めてくる。


「クソッ! アンタもジッとしてないでなんとかしなさいよッ!」


モカに苛立ちをぶつけるストロベリー。


だが、もちろん彼女に男三人をどうにかできるはずもない。


トランス·シェイクがない状態では、ストロベリーもモカもただの十代の少女なのだ。


彼女たちがこのまま再び捕まってしまうかと思いきや、目の前にいた男がいきなり倒れた。


「えッ!? な、なんで……?」


それを見たストロベリーが呆然(ぼうぜん)と立ち尽くしていると、倒れたスパイシー·インクの社員たちの後ろから顔がすっぽりと隠れる覆面をした――ウエストコート姿の人物が立っていた。


身長は170センチと少々高いが、胸のふくらみやほっそりとした腰のくびれがわかる体型を見るに、おそらく女性だと思われる。


その女性だと思われる覆面の人物の手には、血の付いたナイフが持たれていた。


分厚刃をしたサバイバルナイフだ、


覆面の人物はナイフの刃に付いたちをハンカチで拭うと、ストロベリーに声をかける、


「私はホワイト·リキッドの人間だ。死にたくなかったら一緒に来い」


「ホワイト·リキッドの人間? ってことは、じゃあ二号店とか一号店の人? よかった! マジで助かったよー!」


「いいから何も言わずについて来い。次に何か言ったら力づくで黙らせるぞ」


静かながら強い声に、ストロベリーは喋るのを止めた。


その内心では、偉そうに言う覆面の女性に苛立っていたが。


今は言う通りにしておこうと、感情を奥に引っ込める。


「おい、赤毛。そこの腰を抜かしてる子に肩を貸してやれ」


「えッ!? なんであたしがッ!? そんな男がやるようなことをしなきゃなんないんだよッ!」


「うるさいぞ。いいからやれと言ったらやれ」


凄まれたストロベリーは渋々モカに肩を貸して彼女を立たせた。


そんな不機嫌そうな彼女のことなど気にせずに、モカが覆面の女性に声をかける。


「あ、あの……ありがとうございます……」


「礼はいらない。こっちも好きで助けたわけじゃないからな」


「は、はぁ……。それと、ちょっと訊きたいんですけど……。バニラくんのことも、助けてくれるんですか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ