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#42

血塗れの廊下を進み、ビルの外へと出たバニラたちはロッキーロードが車を停めている場所へと向かう。


サニーナップが最後尾につき、先頭を歩くのはバニラ。


そんな二人に挟まれているのがストロベリーとモカだ。


身体を強張らせながら周囲を警戒するサニーナップ。


トランス·シェイクを飲んだ影響で常人を(はる)かに超える力を得ていても、その周りを見る目には恐怖の色があった。


一方、同じくドリンクを飲んでいるバニラは、先ほどビル内侵入時に、スパイシー·インクの社員たち皆殺しにしたとは思えないほど普段と変わらずに落ち着いている。


着ている薄汚れた服は返り血で真っ赤に染まり、顔や手にもべっとりとまだ温かい鮮血(せんけつ)がついていても、彼は特に気にしてはいないようだ。


そんな二人に挟まれているストロベリーもバニラと同じで、いつもの調子で大きな独り言――ロッキーロードの文句を口にしている。


モカだけはこの状況にふさわしい不安や恐怖を感じる態度ではあったが。


何かあれば年がら年中身を震わせている彼女なので、そういう意味ではバニラやストロベリーと大差はないのかもしれない。


「ったく、ビビッて離れたとこで待ってんじゃねぇっての。歩くのがダリーじゃん」


「ス、ストロベリーちゃん。せっかく助けてに来てくれたのにそんな言い方は……」


「あん? あたしにモンクあるわけ?」


「い、いや……ないけど……。でも、ロッキーロードさんとバニラくんは怖い思いをしてまで来てくれ……ヒィッ!」


ストロベリーはめずらしい食い下がってくるモカの肩に手を回した。


そして掴んだモカの肩を(にぎ)(つぶ)すかのように力を込め、彼女の耳元で言う。


「いいんだよ、それがあいつの仕事なんだよぉ。コミュ障で社会不適合者の落ちこぼれで、さらに人格破綻者のダメ人間のクズのくせにいつもエラそうにしてさ。ロッキーロードのヤツがあたしたちを助けなきゃ、クズ以下の害虫レベルに成り下がっちゃうんだからね」


ストロベリーの言葉を聞いたモカは、もうそれ以上は何も言わなくなった。


「あそこだよ」


先頭を歩いていたバニラが手を動かし、ロッキーロードの車を指で差し示した。


そこには彼らがよく知るフルサイズバンがあった。


後ろからスパイシー·インクの社員たちが追いかけてくる気配はない。


周囲も静かなものだ。


バニラのトランス·シェイクによる圧倒的な力を見せつけられたせいのか。


スパイシー·インクからの追撃はもうなさそうだった。


その状況を確認したサニーナップが最後尾から前へと出ると、バニラに声をかける。


「サンキューな。お前が来てくれ、マジで助かったよ」

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