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#2

――深夜の街を少年少女が歩いていた。


その集団の先頭を歩くのは赤髪の少女で、人とすれ違うたびに相手を(にら)みつけている。


彼女のすぐ後ろにはツーブロックの金髪――根元が黒くなっているプリンのような頭の少年と、オドオドした茶髪の少女がいて、さらに後ろからは白髪の短髪の少年と黒髪ロングヘアの少女がいた。


「よしお前ら、もうちょっとで着くぞ」


赤髪の少女がそう言うと、茶髪の少女がビクッと身を震わせた。


そして、黒髪の少女以外の全員がズボンのポケットからドリンクボトルを取り出す。


それはコップ一杯分の容量しか入らない携帯用のドリンクボトル――。


「おい、ダークレート。アンタも飲めよ。ロッキーロードのヤツからもらってんだろ?」


赤髪の少女が黒髪の少女――ダークレートへとそう言うと、彼女は首を左右に振る。


そして、持っていた柄のような物のスイッチを入れた。


短かった柄からバトンが飛び出す。


ダークレートの出した物は小型のジャンプ式警棒。


スイッチを押すだけでバトンが飛び出す、どこへでも持ち運べる特殊な護身用具だ。


「アタシはいい。これで十分だから」


「いいから飲んどけよ。それともあたしの言うことが聞けねぇのか?」


「ストロベリー……。いつからアンタがアタシのボスになったんだ?」


「なんだよダークレート。あたしにケチつけんのかよッ!? あんッ!?」


ダークレートの態度に、赤髪の少女――ストロベリーが声を張りあげた。


金髪の男が慌てて二人の間に入ると、彼に続き、茶髪の少女も(おび)えながらも声をかける。


「おいおい、やめろってッ! これから仕事なんだからよぉッ!」


「そ、そうだよ二人とも……」


「なんだよッ! サニーナップもモカもその女の味方すんのかよッ!」


ストロベリーは、止めに入ってきた金髪の少年サニーナップと茶髪の少女モカまで怒鳴り散らした。


どうしてこちらの味方をしないんだと言わんばかりに、二人にガンを飛ばして自分の不機嫌さをアピールしている。


そんなストロベリーの態度に、サニーナップとモカも何も言えなくなり、ダークレートが(あき)れてため息をついていると――。


「時間がもったいないぞ。早く仕事をしなきゃ」


ずっと黙っていた白髪の少年が静かにそう口にした。


ストロベリーは次に彼のことを睨みつけると、フンッと鼻を鳴らして先に歩いて行ってしまった。


そんな苛立(いらだ)つ彼女を(なだ)めようと、サニーナップとモカが後を追いかける。


残されたダークレートが隣にいる白髪の少年に言う。


「バニラ、なんのつもり? 悪いけど、感謝なんてしないよ」


「いや、特にそんなつもりは……。それよりも仕事しなきゃ」


ダークレートのツンとした物言いを軽くあしらった白髪の少年バニラは、ストロベリーのたちの後を追った。


残されたダークレートもまた渋々ながら皆に続いて歩を進める。


しばらく歩くと、彼女たちの目の前にナイトクラブが見えてきた。


「ここだ、ここ」


ストロベリーが足を止めて不機嫌そうに言うと、ダークレート以外の全員が、持っていたドリンクボトルの(ふた)を開けた。


それから一気にそれを喉へと流し込む。


すると、ドリンクを飲み干した少年少女が全身を上下に震わせ始めた。


それは、まるでバーテンバーがカクテルを作るときに振るシェイカーのような動きだった。


「よしキタッ! キタキタキタァァァッ!」


ストロベリーが叫んだ。


そして彼女だけでなく、サニーナップもモカもバニラも目の瞳孔(どうこう)が開き、その全身には刺青でも入れたかのような模様(もよう)が浮かび上がっている。


ストロベリーが先ほどの苛立ちはどこへやら、ご機嫌な様子で皆に言う。


「いくぞお前らッ! チョーシこいているオッサンどもをブチ殺すんだよッ!」

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