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#161

ダークレートがマチャと共に部屋に入ると――。


彼女たちに気が付いたストロベリーとバニラが駆け寄って来る。


「おせぇよ、アンタら。ほらカカオ。やっとご主人様が来たぞ~」


「しょうがないでしょ。やることやってたんだから。それよりもこれ、おみやげ」


「おぉッ! クレープじゃん! 潰れてるけどうまそうッ!」


ストロベリーは抱いていたカカオをダークレートに投げ渡すと、彼女からクレープの入った袋を奪った。


余程お腹が減っていたのか。


一心不乱になってクレープを食べ始める。


「ケガはないか、二人とも」


「なに? 心配してくれてたの?」


「そりゃそうだろう」


バニラが二人に声を掛けると、ダークレートがからかうように返事をした。


だがバニラは動じることなく、何を言っているんだという顔をして小首を(かし)げている。


「おい、バニラ。いつから私の心配ができる立場になったんだ」


微笑みながら言ったマチャに、バニラはピクッと身を震わせた。


そんな彼を見たダークレートが笑うと、カカオも嬉しそうに鳴いてる。


それからバニラは動揺しながらも言葉を返す。


「そりゃ……マチャがいれば心配ないって思ってたけど……」


「あたしは心配してなかったよ。だってマチャ強いもん」


「そんなこといってお前、二人が来るまでずっとソワソワしてたろ? ジッとしていられなくて部屋の中ウロウロしてたくせに、なに言ってんだよ?」


「あん? してねぇし。それよりもクレープうまッ!」


「おい、一人で全部食うなよ」


「取るなドロボウッ! クレープは全部あたしんだッ!!」


クレープの取り合いをするバニラとストロベリー。


マチャは、そんな二人を見て深いため息をついていた。


こいつらこんな酷い状況でも変わらないなと、溜まった疲労感すら呆れて飛んでいきそうだった。


「ともかくお前らが無事でよかったよ」


マチャはバニラとストロベリーにそう言うと、ダークレートに抱かれたカカオの頭を撫でて部屋の奥へと進んでいく。


中は外から想像できないほど広くなっており、冷蔵庫やテレビ、インターネットができるパソコンなど、一通りの電化製品とソファーやテーブルなどの家具も揃っている。


マチャに気が付いた他のホワイト·リキッドの従業員たちは、手にコンビニエンスストアで買ってきたであろう菓子パンを口にしながら彼女に手を振っていた。


そんな従業員たちに手を振り返し、マチャはシリアルに訊ねる。


「ジェラートさんはここにいるか?」


「うん。奥の部屋で兄さんといるよ」


「そうか。じゃあジェラートさんに挨拶と、グラノーラさんにあいつらを運んでくれた礼を言わないとな」


そして、マチャはシリアルと共にさらに奥へと歩を進め、ジェラートたちがいる部屋のドアの取っ手を掴んだ。

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