#159
ダークレートはホワイト·リキッドへと電話を掛けたが。
誰も出ず、ほぼ同時に送ったメッセージの返信もなかった。
それを聞いたマチャは、渡されたクレープを食べながらその顔をしかめる。
やはり店のほうもスパイシー·インクに襲撃されたのかと。
「連絡はつかないか……」
「どうしようマチャ? この感じだとホテルのほうもヤバいよね」
「とりあえずバニラとストロベリーにも連絡してみてくれ」
「わかった」
ダークレートは、言われた通りにバニラとストロベリーに連絡をした。
バニラのほうは反応がなかったが、ストロベリーのほうはすぐに電話に出た。
《はいはい、あたしだよ。そっちは生きてるか~?》
とぼけた声で電話に出たストロベリー。
ダークレートはいつもと変わらない彼女の声を聞いてホッと胸を撫で下ろす。
「死人が電話しないでしょ。アタシもマチャも無事だよ。そっちはどう? バニラもカカオもケガしてない?」
《全然ピンピンしてるよ。カカオはアンタたちが心配でみたいでちょっと元気ないけど》
ストロベリーたちの無事を確認したダークレートは、合流地点だったホテルは変更することを伝え、今彼女らがどうしているかを訊ねた。
訊ねられたストロベリーは自分たちがグラノーラといるとことを伝え、これから生き残ったホワイト·リキッドの仲間がいるところへ向かっているという。
「アンタねぇ……。なんでそんな大事なことをすぐに連絡しなかったんだよ……」
《あッゴメン。忘れてた》
「忘れてたって……。アンタもバニラもやっぱ肝心なとこで抜けてるな……。まあ、いいけど」
その話を聞いたダークレートは、呆れながら呟くように声を出した。
ストロベリーのほうはまったく気にすることなく、グラノーラから話があると言って彼と電話を替わる。
《ダークレートか? 俺だ、グラノーラだ》
「グラノーラさんも無事でよかったです」
《おッ、俺の心配もしてくれんだな。相変わらず優しいね、ダークレートは》
「こんなときにからかわないでください。それよりもこれからどうしましょう?」
ダークレートに訊ねられたグラノーラは答える。
彼はジェラートの指示で、トランス·シェイクを使用できるバニラ、ストロベリー、ダークレートを、マチャが予約したホテルへと迎えに行った。
そこで彼女たちが朝から遊園地へと行ったことを知って向かい、そこでバニラとストロベリー二人を回収。
そして、これからジェラートたち――ホワイト·リキッドの仲間たちがいる隠れ家へと行くことを伝えた。
《そこにマチャもいるんだろう? 場所はスマホに送っておくからお前らもそこへ来てくれ》
「わかりました。マチャにはアタシのほうから伝えておきます」
《気を付けろよ。スパイシー·インクの奴ら、街のほうでもそこら中にいやがるからな》
《はい、グラノーラさんたちも気を付けて》
電話を切り、ダークレートはグラノーラから聞いた話をマチャへと話し、運転していた彼女はアクセルを踏み込んだ。
それからグラノーラから隠れ家の地図が送られ、ダークレートがマチャへ道を伝える。
「そこなら知ってる。街に入ったら車を捨てるか」
「え~、歩くのかぁ……」
「我慢しろ。死にたくないだろう」
トホホと肩を落とすダークレートに、マチャはからかうように声をかけた。




