#142
ベジタブルレストランへと到着し、店員に四人用のテーブルへと案内される。
ここは以前にマチャがラメルと来たことがあるらしく、ディナータイムには、メインやサラダなどを選べるビッフェプレートなどのサラダボウルがオススメの店のようだ。
完全ベジタリアンの人間にも、緩やかにビーガンメニューを取り入れたい方にも最適。
野菜ばかりが乗ったメニューを見て、ストロベリーがうぐぐと表情をしかめている。
「お前たち、決まったか?」
マチャに訊ねられたバニラ、ダークレート、ストロベリーは、まるで習慣のように返事をする。
「よくわかんないし、マチャに任せる」
――バニラ。
「アタシも。カカオが食べられればなんでもいいや」
――ダークレート。
「あたしが食えるもんを選んで」
――ストロベリー。
と、三人は特に食べたいものがなかったらしく、何を注文するかをマチャに一任した。
マチャは特に気にすることなく、四人分の食事を注文。
彼女が頼んだのは、店のオススメのビッフェプレートとトースト、メイン料理は大豆ミートを使ったハンバーグやチキンなどだった。
出された料理を見てストロベリーの目が輝く。
「なんだ肉あんじゃんッ!」
「違う。これは大豆ミートを使ったものだ」
「でも肉じゃん。味も肉だし」
「気に入ったんならそれでいいが、お前は野菜も食えよ。あといただきますをしてから食え」
運ばれた料理を手で摘まみ、早速口に放り込むストロベリー。
マチャはそんな彼女を注意すると、サラダを取りに行く。
先に話に出てきたように、この店はビッフェ形式のため、すべてセルフサービスだ。
彼女に続いて、バニラたちも様々な野菜が並んでいる場所へと向かう。
「アンタ、コーンとポテトサラダしか乗せてないじゃん。緑が足りんぞ」
「いいんだよ。これだって野菜じゃん」
ストロベリーの持ったプレートを見て苦言を口にするダークレート。
どうやらストロベリーは、意地でも緑黄色野菜を食べたくないようだ。
注意をしたダークレートの膝の上で、カカオも「レタスやトマトも食べなさい」と言いたそうに、強く鳴いている。
「ねえ、マチャ。ストロベリーが野菜食べないんだけど」
「ストロベリー。野菜食べないなら、もう焼き肉には連れて行かないぞ」
ダークレートはマチャに声をかけ、彼女がストロベリーへそう言った。
選択を迫られたストロベリーは、なくなくプレートを持って緑黄色野菜を取りに行く。
「あいつ、いつになったら野菜を食べれるようになるんだか……」
「あ、戻ってきたよ」
戻ってきたストロベリーのプレートには、わずかに緑が増えていた。
それはとても食べるうちに入らない量だったが。
彼女なりに頑張った結果だろうと、マチャは何も言わずに食事を始めることにする。
「よし。じゃあ、いただきますをして食べるとするか」




