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#141

その後にマチャたちはバニラとカカオがいる病院へと向かった。


到着すると、受付にあるフロアで丁度出てきたのか。


白髪の頭のバニラが小さな(たる)を首にぶら下げて歩く小熊を連れて歩いていた。


「見舞いは終わったのか?」


「あぁ、お前らも来てたのか」


マチャは少し早い夕食に行こうとバニラを誘い、四人と一匹は早速レストランへと向かうことにする。


その前に、マチャが病院内にあったコンビニエンスストアに行ってキャップを購入。


バニラの頭に強引に被せる。


「うぐ!? なんだよマチャ? 帽子なんて?」


「お前、自分の立場をわかっているのか? 私たちはもうスパイシー·インクに(めん)が割られているんだぞ」


「メンがわれる? ラーメンやそばのことか?」


「違う、その(めん)じゃない。面が割れるっていうのは、その人物が誰であるかわかることや、名前や身元がわかる知られているってことだ」


このところ大分常識を覚えてきたバニラだったが。


学校へ行ったことのない彼には、まだわからない言葉が多かった。


それはダークレートもストロベリーも同じだったが。


彼女たちはバニラのあまりの知識のなさに呆れ、さらに簡単な変装すらしない彼を注意する。


「別にその言葉は知らなくていいけど、もうちょっと警戒しなよ、アンタは……」


「そうだぞ。あたしもそう思ってた。あんまあたしらに迷惑をかけんなバカ」


ストロベリーが厳しい言葉を吐き、ダークレートもそう言いながらカカオにも帽子を被せている。


パイロット風のすっぽりと頭が隠れるキャップだ。


それでも近くで見れば犬でも猫でもないことはわかってしまうが。


遠くから見ればすぐにはわからないという一応の処置だろう。


この人工島テイスト·アイランドで小熊を連れている人間など、彼女たち以外にいないのだ。


「よし、じゃあ焼き肉だ!」


「違う。今夜はベジタブルレストランに行くんだ」


「くぅッ!? 勢いでいけると思ったのに!」


「どうしていけると思ったんだよ……」


まだ肉を食べることを諦めていなかったストロベリーが行き先を叫ぶと、マチャがそれを制した。


ダークレートはそんな二人を見てクスッと笑みを浮かべている。


「つーかバニラも肉がいいだろッ!? マチャに言ってくれよッ!」


「いや、オレはそのベジなんとかレストランでいいけど」


「あたしを裏切るつもりかッ!? このバカでアホのド低能がッ!」


ストロベリーはバニラを自分側に引き入れてマチャを説得しようと(こころ)みた。


だが彼はストロベリーほど肉に執着がなく、作戦は失敗。


肉が食えない怒りをバニラへとぶつける。


「ほら、いつまでも文句言ってないで夕食を食べに行くぞ」


バニラに(わめ)いているストロベリーを注意し、マチャたちはベジタブルレストランへと向かって歩き始めた。

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