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#138

ジェラートはいつまでもホテル暮らしをしているのも落ち着かないだろうと、マチャたちの新しい住処(すみか)を用意したと言う。


いくつか候補があり、今日彼女たちを呼び出したのは、それらの物件を選んでもらうためだった。


「プールのあるタワーマンションとか、自宅のある建物でショッピングできるものまでいろいろあるけど、どれがいい?」


「マジでッ!? それってヤバくないッ! あたしらセレブの仲間入りじゃんッ!」


「ずっと頑張ってくれていたんだし、いい機会だから快適な部屋をと思ってね」


ジェラートの言葉を聞き、部屋のカタログを手に取ったストロベリーは大はしゃぎ。


これから自分たちが住むであろう物件を見て目を輝かせている。


そんな彼女とは対照的に、マチャは興味なさそうにダークレートに声をかける。


「ダークレート。お前もこういうところに住みたいのか?」


「アタシはいいや。デカい部屋なんて落ち着かないし、掃除も面倒くさそうだし。ペットオッケーで人数分の部屋があればそれでいいよ」


「うん。私も同じ意見だ。というわけで、せっかくこういう部屋を探してくれたジェラートさんには申し訳ないですけど。私らは今まで住んでいたようなとこでいいです」


「はぁッ!?」


マチャとダークレートの意見に、ストロベリーは声を張り上げた。


誰もが憧れる高級マンションでの生活ができるというのに、それを棒に振るつもりかと、二人に食って掛かる勢いだ。


「なんで前と似たようなとこがいいんだよッ!? あり得ないっしょッ!?」


「それはダークレートが今言っただろう。広い部屋は落ち着かないし、掃除も面倒だからだ。第一にそんな高い部屋を借りるなんてジェラートさんの負担になる」


「でもセレブだよッ!? ネットにその生活ぶりをアピールしてリア充になれるんだよッ!? シャンパンライフに寿司屋の大将、イタリアンやフレンチシェフをデリバリーして毎日パーティーして優雅に暮らせるんだよ!」


「暮らせてたまるか。そんな生活してたらうちが破産してしまうわ」


絶対に高級マンションに住みたいと駄々をこねるストロベリーに、マチャは現実を突きつけた。


そんなところに住んでも、食べるものも着るものも何も変わらない。


住むところを変えるだけではブルジョアにはなれないのだと、高級マンションに住むことを却下(きゃっか)する。


「そ、そんなぁ……。あたしのセレブ生活が……」


「アンタは一体なにを目指してんだよ……」


その場に両膝をついて崩れ落ちるストロベリーに追い打ちをかけるように、ダークレートが冷たい声を吐きかけていた。


そんな三人のやりとりと見て、ジェラートがクスクスと微笑んでいる。


「あなたたちらしいね。じゃあ、以前と同じような間取りの部屋でペット可の物件を探しておくよ」


「すみません。手間取らせて」


「いいよ、そんなこと」


マチャはジェラートに頭を下げると、それまで彼女の後ろにいたダークレートが前へと出てくる。


そしてダークレートはジェラートの目の前に立つと、その強張った顔のまま口を開いた。


「ちょっと訊きたいんだけど。なんであのリコンカーンってヤツはバニラを狙ってたの?」

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