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#128

大きなつばの帽子――ソンブレロを被ったスーツ姿の男。


リコンカーンが笑っている。


その傍では手足を太いロープで縛られたマチャとダークレートがおり、バニラは声を張り上げる。


「お前らッ! 今助けるからなッ!」


「なんで一人で来たんだバニラッ!?」


マチャが顔をしかめて叫び返すと、リコンカーンが彼女の顔面を蹴り飛ばした。


リコンカーンはマチャを黙らせると、バニラのほうを向いて口を開く。


「お前は静かにしてろ」


「マチャッ!? テメェェェッ!!」


「おいおい、落ち着けってこいつらには何もしちゃいねぇよ。ちょっと黙らせただけだ。それよりもせっかく来てくれたんだ。ちょっと話をしねぇか」


リコンカーンは両手を広げ、自分が敵意がないことをアピールしていた。


実際にマチャとダークレートは無傷に見え、特に拷問をされたような跡はない。


それでもバニラは突っぱねる。


すでに冷静な考えができない彼は、薄ら笑っているリコンカーンに苛立っていた。


「話? お前と話すことなんかねぇよ!」


「冷たいねぇ。ま、そう言うなよ。俺はお前に用があったんだ」


リコンカーンがそう言うと、警棒を構えたスパイシー·インクの社員たちが集まってきた。


出入り口で数人倒したが、まだ相手の数は多い。


周囲を警戒するバニラ。


リコンカーンは部下に手を出さないように言うと、バニラに話を続ける。


「なあ白髪。お前の両親はどこにいんだ?」


「知らない。父親はオレが生まれたときにはもういなかったし、母さんはどっか行っちまった」


「じゃあ、父親について知りたくねぇか?」


「うっせぇッ! 今そんなことは関係ないだろうがッ!」


バニラは叫び返した瞬間に、周囲を取り囲んでいたスパイシー·インクの社員たちと飛び掛かっていた。


構えていた社員たちが警棒を振る前に、トランス·シェイクによって身体能力向上しているバニラがまるで風のように駆け抜けていく。


マチャに鍛えられたことによって、格闘技術が上がっていることもあったのだろう。


常人を超えた力を持つ上に、人を倒す技を覚えた彼のことを誰も止められない。


「スゲーな。ありゃ俺じゃ(かな)わねぇわ」


「そう思うならさっさと降参すれば? このままじゃアンタもあいつにやられるよ」


これまで一切口を開かなかったダークレートがリコンカーンへ言うと、彼は被っていたソンブレロの位置を直して不敵に笑う。


ダークレートは、何故こんなときにリコンカーンが笑っているのかがわからなかった。


先ほどバニラが入ってきたとき。


リコンカーンは明らかに彼が来ることをわかっているようだった。


もしかしたらリコンカーンの狙いは、初めからバニラだったのか。


ダークレートがそう思っていると、バニラはすべて警備員たちを倒してリコンカーンの前に立つ。


「あとはお前だけだぞ」


「そうだな。だが、別に俺はお前に勝ちたいわけじゃねぇんだ」


「なにいってんだ、お前?」


不可解そうにするバニラを見て、リコンカーンは拳銃を手に取った。

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