聖来、問う
上空では山田&白獏組対黒獏の戦いが繰り広げられている。一方の地上では花咲里と、仏像な聖来と戸内が対峙する格好になっていた。
「花咲里さん、どうなってるの? もしかしてあの時の相談て、こういうこと?」
「相談? ああ、あれは嘘よ」
「嘘?」
それを聞き、クラスメートが脈絡もなくかけて来た電話を嘘の一言で片づけたことに戸惑う聖来に戸内が花咲里の策を公開した。
「そう。聖来さんが神社に来るように電話を受けたのは、彼女が君をそこまで導くための嘘。どうせ黒獏が呼んで来いとでも言ったのだろう。君が来れば、君を守ろうとして私達の動きは鈍くなり、あいつの目的も達成しやすくなる」
「占い師さん、頭いいんですね。その通りですよ」
どうやら戸内の推量は当たっていたようだ。
「でもなんで、花咲里さんが黒獏となんて」
「クス、フフフ――」
花咲里は口元に手を当て、失笑を堪えている様子だった。
「どうしたの?」
唐突な笑いに聖来はついていけない。今の話しの展開ですら、彼女には理解しがたいものだった。
――あんな変なのと連絡を取り合うような仲って……。そんなに変わった子にはクラスでも見受けられなかったのに。ただ物静かな子かと
だから、
「どうしたのって、制服を着た仏像に心配されても、おかしいでしょ」
と言われ、場の雰囲気が一瞬だけ緩んだものになった。
「いや、それは私も致し方なく被っているだけで、私が仏像なわけじゃないし」
「そうね。さっきもその人に言ったのだけれど、私はここを守りたい。だから、こうしているの」
その一言で、再び場の雰囲気が緊迫した。そして花咲里鈴音はここに至った発端を話し始めた。