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総集編(2)

そして、記者会見の場となる。


女子アナ「えー、ただいまより、本物のケモミミの皆さんによる、記者会見を始めたいと思います。」


新聞社、テレビ局、それからネットテレビの人たちも集まり、テレビカメラも動いている中で、記者会見というものは行われる。

俺たち8人は、まずは一列に並びご挨拶(あいさつ)

一斉にカメラのフラッシュを浴びる。まぶしい。

なるほど、こうして写真というものを撮影するのか。

「それでは、これより記者会見を始めさせていただきます。」

目の前の機械に口を近づけて、声を発すると、部屋中に響き渡る声が出る。なるほど、これがマイクというものなのか。


そして俺たちは、これまでの一部始終について語る。


記者「すると、あなた方はその第三次世界大戦を事前に阻止するために、この時代までやって来たと?そうおっしゃるのですか?」

「はい。タイムマシンに乗って、今から約8000年後の未来から。」


一同どよめく。その後も記者との質疑応答が続いた。

第三次世界大戦を阻止すること、そのためにはあなた方メディアの力も必要だということなどを語った。

一方で、過去の時代を救うことで、未来の時代にもメリットをもたらすとも、考えていた。

過去の時代について、もっといろんなことを知ることができるとか、未来は今よりも良くなることにつながる、来世に向けた準備、投資であると。


さて、堅苦しい挨拶(あいさつ)も終わったことだし、あとは今までの思い出を振り返りながら、気ままにVRMMOのゲームでもやりながら過ごしていくとするかな。




「さあ、今日も夕方のニュースが始まりました。日比野(ひびの)舞音(まいね)です。」


夕方のニュースは、彼女の担当だ。

この女子アナ、見たことがある。確か、俺らが『ケモミミ祭』で通りかかった時も、取材の輪の中にいた。

その後の記者会見の時も、彼女は記者たちの輪の中にいた。あの時の、あの女子アナだ。

日比野(ひびの)舞音(まいね)というのか。あの女子アナ。


「今日のトップニュースは、タイムマシンの技術に関するニュースです。

タイムマシンで別の時代に行くときに、必ず通り抜ける亜空間。

この亜空間の、タイムマシンに人を乗せた状態での有人飛行に成功するのは、いったいどの国か?

という、国をあげた競争が続いている中で、民間企業が先を越す、という可能性もあるようです。」


人を乗せた状態での有人飛行なら、すでに俺たちが、はるか未来から2024年まで飛んできて、達成しているけど、このことは誰にも内緒のままだ。

こんどは、2024年を起点として、そこから過去の時代へ、あるいは未来の時代へと、有人飛行を実現させるのが、目下の目標となるな。


その次は、政党支持率の調査で、支持政党無しが過半数を越えていること。

さらに、解答拒否も数%ほどいて、政党支持率調査に向かった調査員が、解答を拒否した調査対象者から暴行を受けるという事件も発生したという。

それに対して、「この非国民が!」というような書き込みもあったとか。


「それでは、次にお伝えするのは、今世間では、ちょっとしたケモミミブームになっているということです。」


日比野(ひびの)アナも、いつの間にかケモミミをつけて、コスプレを身につけていた。

それにしても、なんてかわいいんだ。これが、彼女がいながらにして、彼女以外の魅力ある女性に、目移りする、思わず見とれてしまうという感覚なのか、と思った。


そのまた次の日の夕方のニュースも、引き続き彼女の担当だ。


「さあ、今日も夕方のニュースが始まりました。日比野(ひびの)舞音(まいね)です。」


夕方のニュースは、彼女の担当だ。

この女子アナ、見たことがある。確か、俺らが『ケモミミ祭』で通りかかった時も、取材の輪の中にいた。

その後の記者会見の時も、彼女は記者たちの輪の中にいた。あの時の、あの女子アナだ。

日比野(ひびの)舞音(まいね)というのか。あの女子アナ。


「今日のトップニュースは、今最も大きな話題になっているVRMMO、『オールジャンルゲームス』の話題です。ちなみに、私は今日も、ケモミミルックです。」


存在するだけで、間接的に世の中に影響を与えているアインたち。

ケモミミであるアインたちが未来の世界から現代の2024年に、やってきてからというもの、ちまたではケモミミルックなるものが流行っているとかいないとか。

そして、あの記者会見の動画も、彼女の担当する、このニュース番組の中で繰り返し流されている。

第三次世界大戦を阻止して、新しい歴史をここから築いていこうという意図は、確実に伝わっているようだ。

「今日も夕日がきれいですね。」

夕日がきれいだということも気にしたことが無かったが、夕日がきれいであることに目を向けられるのは、平和な国である証拠、あらためて、平和の大切さを思うところだ。


アイラ「わー!本当だ!きれいな夕日ね。

ねえねえ、私たちの時代の夕日と、この時代の、2024年の夕日とでは、夕日の色が違うのよ。

まだ第三次世界大戦になる前の時代の夕日を、こんなふうに見ることができるなんて。」


それだけでも、わざわざタイムマシンを発明して、タイムマシンに乗って、こっちの時代に来ただけの甲斐はあったというもの。


アイン「そうなんだな。俺たちの時代の環境が、当たり前のものだと割りきって、そうして生きてきたからなあ。」


しかし、それよりも何よりも、今世間をにぎわせているのは、『オールジャンルゲームス』というゲームの話。

とにかく、選べるジャンルの数がハンパない。大きく分けて、7つの大ジャンルがあり、さらにその中には、無数の中ジャンル、小ジャンルが枝分かれして、その数ある選択肢の中から、好きなジャンルを選んで、存分にプレイすることができる。

1つのジャンルを極めるもよし、複数のジャンルを掛け持ちするも良し、なのだ。

例えば、第二次世界大戦は【日本軍】【ドイツ軍】【連合国軍】の中から選べるといった具合に。

シナリオによっては、ソ連と戦ったり、あるいはアメリカ軍の作戦が大幅に遅延して、ここから日本軍が反攻の機会をうかがうなどのシナリオも、全部入っているという。

これは、ジャンルとしては戦争のゲームになるわけだが、勝負するならゲームで勝負だ!理屈抜きで勝負しよう、と言えるような時代が来ないものかと、思っている。

格闘技は、総合格闘技、プロレス、ボクシング、さらには日本が誇る柔道や相撲や、空手や、さらにはテコンドーやムエタイも選べるという。




日比野アナの紹介で、彼女がファンだという人物に会わせてもらえることになった。

その人物こそが、アイダ・マサノリだった。


アイダ「やあ、君たちが噂のケモミミたちだね。僕はアイダ・マサノリ。

日比野アナからは、かねがね話は聞いているよ。」

これはまさに、運命の再会だと思った。


アインと、アイラの2人で会いに行った。


僕とアイラは、今までの事の成り行きを、

アイダ・マサノリに話した。


アイダ「そうなんだ。それで今は、自分たちの本来いる時代に戻れないで、こっちの時代で過ごしている、というわけか。」


僕らは、アイダ・マサノリのトリミングを受けた後に、心優しい飼い主に引き取られ、幸せな日々を過ごしていたが、ある日、戦争が始まり、ミサイルが自宅に着弾して、その時は死んだと思ったが、気がついたら、その本来いる時代に転生していたということ。

それから、知恵の統治者と名乗る人物の使いとしてやってきた、レオニダス一家に連れられ、世界大図書館という場所に行ったということなど、全てを話した。


アイダ「知恵の統治者か。それなら、僕もプレイヤーとして登録している、

『オールジャンルゲームス』の『タイムマシン』編の僕の登録名が『知恵の統治者』というんだよ。

そういえば、さっきから君たちが話している内容って、その『オールジャンルゲームス』の『タイムマシン』のストーリー設定の話にそっくりなんだよね。どうしてなんだろうね。」

これは、衝撃的な事実を聞いた。

あの時、世界大図書館で耳にした、知恵の統治者の正体は、やはりアイダ・マサノリだったのか!?

いや、ここにいるアイダ・マサノリではないにしろ、アイダ・マサノリが、未来の時代に転生してきた姿が、知恵の統治者ということなのか。


アイダ「いやいや、しかし君たちの話を聞けば聞くほど、驚くようなことばかりだよ。

そんなことが本当にあるなんてね。

となると、僕はこの後、殺人AI兵器によって、撃ち殺されるわけだ。

それで、君たちはミサイルの直撃を受けて、僕も、君たちも、一緒に、あっちの時代に転生ってのをすることになっているってことなんだね。」


僕らの話を聞いた、アイダ・マサノリも、日比野アナも、まだ半信半疑の様子だ。


アイダ「そうだ、それならその、柴犬のアイン君に会いに行こうよ。」


そして向かった先は、かつて僕が柴犬だった頃に過ごしていた、飼い主の家。

心優しい飼い主の夫妻と、その、かわいい娘と。

「アイン!アイン!ごはんよー!」

懐かしい匂いがした。ごはんの担当は、この、かわいい娘だ。

あの核戦争にならなければ、あの時、あのミサイルが直撃しなければ、きっと僕らは、あのままずっと、最期の時まで飼い主の夫妻と、その娘に可愛がってもらいながら、最期の瞬間も、彼らに看取ってもらいながら、天寿を全うしたことだろう。

しかし、その一方で、あの核戦争で転生することが無かったら、あっちの時代で、あっちの時代の仲間たちに会うことも無かったのではないかと思うと、なんとも皮肉な話だとも思える。


さて、これから先、どうしようか。


懸念として残っていることは、もしもこのまま、タイムマシンが修理できないまま、この時代に取り残されてしまった場合、この先いったいどうなるのだろうということ。それがずっと気がかりだった。


何もしないで手をこまねいているわけでもなく、こちらの時代に持ち出しておいた、タイムマシンの関連本などを読みあさり、原因や修理方法などを探ったりもした。


そんな中、また新たなタイムマシンが現れた。

そしてそのタイムマシンには、レオニダスと、レオパルト、ミッフィー、そしてタイムマシンの発明プロジェクトチームの科学者たちも乗っていた。


レオニダス「君たちがいつまで待っても戻ってくる気配が無いから、こちらからタイムマシンに乗って、来てみたら案の定だ。」


「よかった!これで元の時代に帰れるかもしれない!」


そしてその願いは、意外にも早く叶えられることになった。

タイムマシンの修理が、思ったよりも早く完了することになり、早く帰還できることになった。やれやれ、これでまずは一安心だ。


レオニダス「さあ、アイン君。まずは君が操作してみることだ。」


さっそく操作してみる。全て順調に動く。

それにしても、タイムマシンの発明プロジェクトチームの科学者たちは、実に優秀だな。修理もこんなに簡単にこなせるとはな。

とにもかくにも、タイムマシンを操作。


キュイーン!


一瞬で亜空間へ。そして時間の方は、あっという間に西暦2119年まで来た。


時間の移動も順調。どうやら、未来の特殊な修理器具を使えば、どんな不具合でも簡単に直せるらしいとのこと。

そして、約8000年の時を越えて、元の時代へ。

相変わらず、元の時代は何もない原野の中に、わずかに集落や施設があるだけの光景で、広い土地に、人が少ししかいないという状況だ。


オブリガード先生が出迎えてくれた。


オブリガード「おお、みんな無事に帰ってきてくれたようだな。」


オブリガード先生にも、2024年の時代の状況を伝えた。

それよりも何よりも、かつて東京という都市があったあたりに、ネオ・トウキョウ・シティという都市が、突然現れたという。


まさか、僕らがタイムマシンで過去の時代に行った結果が、これなのか?

「ネオ・トウキョウ・シティか。約8000年後の東京は、こんなすごい町になるんだな。」

しかしながら、ただちに足を運ぶのは、おすすめではないと、オブリガード先生からも、クギをさされた。あの都市に危険が待ち受けているかもしれないからと。

いずれにしても、東京と名前はついていても、2024年で見てきたあの東京とは、違う東京になっているかもしれないということなのだ。




それから、僕らはまた、2024年に戻ってきていた。


アイダ「そうか、君たちがここにいるということは、結局タイムマシンは修理できなかった、元の時代には戻れなかった、そういうことだね。

いや、何も言わなくていいよ。それならそれで、こっちの時代に留まればいいんだから。」


アイン「いえ、実は、そうじゃないんです。」


アイダ・マサノリにも、その話をした。


アイダ「ええっ!?それじゃあ、いったん自分たちの時代に戻って、そしてまた、こっちの時代に来たってことになるの!?

それ聞いて驚いた!だけどそれ聞いて安心した!

しかも、これからはいつでも、お互いの時代を行き来することができるってことなんだね!

そうなると、これからはいつでも、お互いに会いに行けるってことなんだね!」


これでもう、本当にお互い安心になる。

あとは、殺人AI兵器の機銃掃射で殺されないことを祈るだけだ。


ここから、いよいよ『オールジャンルゲームス』の本格的な攻略に入ろうと考えた。


俺とアイラは、『ファンタジー』の『ダンジョン攻略』を選んだ。


ガンツとミムは、『スポーツ』の『格闘技』を選ぶ。


ユイとホースは、『全メニュー制覇』を選び、まずはコンビニの全メニューを食べ尽くすことを目指す。


そして、タカヤスとマインは、『SF』の『ディストピア』を選んだ。


さて、攻略開始といこうか。


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