鶴族の予言【回想】
私は、鶴族のマイン。鶴族は遊牧民族が住む、ゲルというテントのようなところに住んでいて、古来より魔法の民族なの。
犬族や、猫族に魔法を広めたのも、私たち鶴族なのよ。
次の瞬間、空の上で何かが開くような音がした。
どうやら、この世界と異世界をつなぐ扉が開かれ、さらには、先の大戦前の時代と、こちらの時代とがつながり、いつでもそれぞれの世界、それぞれの時代を行き来することができるようになったという。
そうなると、招かれざる存在、たとえば魔物や、しまいには魔王まで、こちらの世界に来る可能性もあるということになる。
そんな、大変なことが起こっているなどとは、この時の彼らは、まだ思いもしなかった。
どうやら、私たち鶴族の広めた魔法の力を、役に立てる時が来たようね。
現れた敵は、スライム、コボルト、キラービー、それから、カークリノラース。
いわゆる、下っ端の魔物たち。まだ攻めてくる様子も無く、まずは様子見といったところかな。
せっかく、タイムマシンを発明するというのに、魔物まで現れるとはね。
さて、鶴族の食事はというと、植物の新芽、葉っぱ、種、木の実、果実、それからエビ、貝、魚、それから肉も、何でも食べる雑食よ。
だけど、この体型を維持するのは大変よ。
時々、プロテインを飲んでいるわ。
『レベル上げ』モード 『過去改変』モード
『ダンジョン攻略』モードが解放されました。
もしかしてこれは、何かのゲームに登場するものなの?
私もちょっと、過去の時代の本とか読んで、調べてみようかな。
私たち鶴族の予言によると、このあたりにダンジョンが突然現れるらしいの。
そして、その予言は的中した。なんと、予言した通りに、突如としてダンジョンが現れたのだった。
しかも2つ。1つは『どこまでも続く深いダンジョン』。もう1つは『どこまでも続く高い塔』である。
そして、敵が現れた。
いよいよ自分たちは、武器を手に取り、パーティーを組んで戦うことになる。
パーティーが戦った初めての敵は、カークリノラースという敵だった。
名前からすると、どんなやつなのかと思うかもしれないが、単なる犬、野良犬である。
しかし、柴犬族であるアインにとっては、これが難儀なのだ。
「アイン君、同じ犬族が相手だからといって、情けをかけちゃだめだよ。」
アイラが言った。アイラは弓矢で、1匹のカークリノラースを射抜く。
「この野良犬が!」
というような言葉が耳に入ると、ビクッと反応してしまう。
それでも、ダガーナイフを投げつけ、1匹のカークリノラースを討ち取る。
しかし、あと3匹、いや4匹いる。
1匹では大して強くないが、数にものをいわせて攻めてくる。実際、弱いわりに意外と手こずることもあるという。
そこに、マインの登場。エルファイアを唱えた。
カークリノラースの集団を炎で包み込む。
「ふう、魔物が出てきたというから、どんなやつが出てきたのかと思ったけど、弱っちいやつだったね。」
しかし、それもつかの間、今度はキラービーが、6匹現れる。
ダメージを受けると、毒のダメージも加わるので、ダメージを受けないようにしながら、こちらも攻撃するが、素早いので、こちらの攻撃が当たりにくい。
飛んでる敵は、弓矢で攻撃するのがいいという。
「アイラ、頼む。」
アイラは次々と矢を射る。キラービーは次々と撃ち落とされていく。
最初の戦いは、どうにか勝利した。しかし経験値は手に入り、全員のレベルが上がったものの、
キラービーやらカークリノラースやらが金を持っているわけがなく、金は手に入らなかった。
なにしろ、貨幣経済が崩壊して、金貨、銀貨、銅貨は、お金としての価値ではなく、それぞれの金属としての価値になる。紙幣に至っては、紙くず同然になってしまっているのだ。
ステータス表 初期ステータス
アイン LV1
職業 集落の青年
HP 150
MP 20
初期装備
ダガーナイフ
ガンツ LV1
職業 格闘家
HP 300
MP 0
初期装備
武器は持たない主義
タカヤス LV1
職業 剣士
HP 200
MP 0
初期装備
兵士の剣
アイラ LV1
職業 弓騎士
HP 150
MP 20
初期装備
鉄の弓矢
ミム LV1
職業 踊り娘
HP 100
MP 120
初期装備
踊り娘の扇
ユイ LV1
職業 遊び人
HP 80
MP 80
初期装備
ひのきの棒
ホース LV1
職業 落語家
HP 250
MP 0
初期装備
落語事典
マイン LV1
職業 魔道士
HP 80
MP 120
初期装備
魔道士の杖
オブリガード LV1
職業 軍師
HP 450
MP 100
初期装備
昔から使っている、使い古しの剣
性別、種族、職業など、まるでバラバラの8人だが、パーティーを組むと、心は一つ、ということらしい。
なんてこった!貨幣制度があってこそ、所持金を手に入れる価値があるというのに、その所持金が、所持金としての価値を果たさなければ、それじゃあ、装備やアイテムを買う時とか、どうするんだよ、という話だ。
というわけで、オブリガード先生の助言により、
貨幣制度を設けることになった。
銅貨1枚=日本円で1円 これを基準にして
銅貨100枚=銀貨1枚 日本円で100円
銅の剣は100円で買える計算になる。
銀貨10枚=金貨1枚 日本円で1000円
鋼鉄の剣は1500円で買える計算になる。




