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久々の帰還【回想】

何日滞在しただろう。久々に大図書館から、自分達の集落に戻ってきた。

アイラの住んでいる、ネコミミ族の居住区に向かった。ネコミミ族はケモミミ族の中でも比較的、文化的な生活をしているという。


「アイラだー!おかえりー!」


アイラを出迎える友達。


「今日は、私の友達を紹介するね。」


ネコミミ族といっても、ネコの中にもいろんな種類がいるように、ネコミミ族にもいろんな種類がいる。


アイラの友達紹介


ミケ 三毛猫 白、黒、茶の三毛


ペルシャ ペルシャ猫


ミミ 黒白ブチ猫


シロ 白猫


レミ 黒猫


「ちなみに私、アイラは、茶トラ猫のネコミミ族です。」


この日は食事会。ピザ、フライドチキン、チキンナゲット、ソーセージ。ネコミミ族は肉食だから、肉系統が多いな。

飲み物は、オレンジジュース、お茶、ミネラルウォーターなど。ペットボトルの飲み物は、旧人間社会時代からある。デザートは、プリンアラモードを食べる。


アイラの友達が、簡単な自己紹介をするという。


ミケ「ミケです。」

ペルシャ「ペルシャです。」

ミミ「ミミです。」

シロ「シロです。」

レミ「レミです。みんなアイラちゃんのお友達です。」


キャアキャアとはしゃぎながら、おしゃべりをしたり、食事会をしたりするのが好きなようだ。そんな彼女たちの姿を見ているだけで、心が癒やされる。

食事会は楽しく盛り上がっていた。ほぼ人間が普段食べているものと同じようなものを食べている。




さて、大図書館にいる間に、かつての人間族の生態について、本を読んで調べていた。


すると、ある特定の趣味に没頭(ぼっとう)するような人間たちがいたことを知った。

鉄道・電車に興味を持つ『電車オタク』なる人たちがいたことを知った。


それでか。『鉄道模型・ミニカー博物館』というものを建設した理由は。実物の鉄道に乗ったり、鉄道の写真を撮ったり、鉄道関連のグッズを買い集めたり、鉄道関連のコレクションを収集するコレクターという人たちがいたり、鉄道模型を買い集めて、セットを製作して、模型の車両を走らせたり、趣味は多岐にわたる。

『オタク』にも、いろんな種類のオタクがいるものだと、あらためて思った。


『世界大図書館』から始まる。新たな歴史。


料理の本や、経済関連、著名人の書いた、かつては話題になったような本、

それから、音楽や、美術の本もある。

子供向けの絵本や、格闘技、スポーツの本もある。


知恵の統治者が築いたのは、この世界大図書館だけではなく、


世界絵画・彫刻美術館

ケモミミ音楽ホール

鉄道模型・ミニカー博物館

世界名所ミニチュアスクエア


などといったものを建設したという。なんとすごい人物なのだろう。ますます顔を見てみたいと思った。

そしてこの場所が、在りし日の人間たちの遺産を現在に伝える唯一の場所になっているのだ。

そうだ、ケモミミ族も、その遺産を引き継ぎ、もっと豊かで便利な生活をしよう。

人間たちが、豊かさ、便利さを謳歌おうかした時代は、あの時代で終わり。次はケモミミ族の番だと確信した。


タイムトラベルの原理。この謎を解き明かせば、

過去に存在しないはずのものが過去に存在したり、未来に存在しないはずのものが未来に存在したりする、その謎が解ける。


最も解りやすい説明をすれば、何者かがタイムトラベルを使って、自分たちの時代のものを別の時代に持ち込み、それがそっちの時代で普及していくというもの。


俺たちの時代が、どんな時代か、一番肝心な説明を忘れていたような気がした。


俺たちの時代には、『(くに)』などというものは存在しない。いくつかの集落があるだけだ。


俺たちの集落の他にも、集落はある。しかし移動手段もこれまで無かったので、行ったことは無かった。


『世界大図書館』で本を読みあさっていたのは、そのタイムトラベルの原理を見つけるため、そして、エナジートレインという移動手段を持ち込んで、それによって、世界中をつなぎ、交流を図るため。


タイムトラベルの原理があれば、俺たちも、遠い過去の時代や、未来の時代に、行ったり来たりできる。いや、20XX年の時代から見れば、俺たちの今生きている時代もまた、遠い未来の時代だろう。


俺も、行ってみたくなった。20XX年の時代へ。


どんな時代だったのか、この目で実際に見てみたくなったのだ。もちろん、前世の俺、柴犬だった俺に偶然会ってしまうというリスクはあるが。


20XX年に行きたくなった理由はもう一つ。

それは、あの第三次世界大戦を起こした人間たちが、どのような考えの人間たちだったかを見てみたいと思ったから。そして、一言ぐらい言ってやりたいと思ったから。


しかし驚いたことに、西暦20XX年に関する記録の中でも、2020年代前半の、2020年1月から2024年3月頃までの、ある事柄に関する、いっさいの記録が残されていないという。

これはいったいどういうことなのか。同時代の記録の中でも、スポーツやエンタメの記録は逐一、残っているというのに、ある感染症に関する記録と、それから、とある国際紛争に関する記録が、見事に、いっさいがっさい、消されているという。

これは明らかに、不都合な真実を後世に伝えられたくないと思った、しかるべき立場の人物の指令によって、意図的に消された、と考えるのが妥当ではないか。


西暦でいえば、2020年代。その前の2010年代、2000年代、1990年代、1980年代と呼ばれた時代も含め、ありとあらゆる分野の記録の宝庫となっている。


タイムトラベルの原理によって、タイムマシンが完成すれば、書物や遺物、写真や映像といった媒体だけでなく、実際にタイムマシンを使ってその時代に行ってみて、調査をすることもできるようになる。


さて、タイムマシンの開発は科学者連中に任せて、俺たちはただひたすら、タイムマシンの完成の報を寝て待て、という指令だ。




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