自己紹介1【ガンツとタカヤス】
俺は、熊耳族のガンツ。耳だけが熊で、あとは人間の姿だ。
俺も、前世の記憶がよみがえる時がある。
俺の前世は、本当に熊だった。
折しも、熊が『指定管理鳥獣』に指定されたさなかだった。その頃、とあるツキノワグマがいた。
そのツキノワグマは、人里に出ては、農作物を食い荒らし、さらにはコンビニの中にまで入っていったこともあった。
そして、ついには、とあるおばあさんに危害を加えてしまった。おばあさんは大ケガをしてしまった。
この時に、おばあさんにケガをさせてしまったことは、今では本当に申し訳なかったと思っているよ。
そのおばあさんの旦那が、猟友会に入っていたおじいさん。怒りに震えるおじいさんは、自ら猟銃を持って、クマを撃ちに行った。
おじいさんの撃った弾は、クマの心臓のあたりに命中した。クマはほぼ即死。
そのクマが、俺の前世。絶対、地獄に落ちたと思ったら、気がついたらこっちの世界に飛ばされていた。そして、耳だけ熊で、あとは人間という姿になっていた。
「誰かいるー?」
しばらく歩くと、同じような、耳だけ獣であとは人間という姿の人(?)たちがいた。
そして、アインたちのいる集落にたどり着いたというわけだ。
あ、そうそう、さっき思い出したんだが、俺は
偶然、人間の仕掛けた罠の解除の方法を覚えたんだが、どこで覚えたのかは、覚えていない。
そこで、これも偶然だが、人間の仕掛けた罠に
はまったキツネを、罠を解除して助けたことがあったんだよ。
たしか、くくり罠という種類の罠で、外す時は思いのほか簡単に外れたというのを覚えている。
あのキツネ、今ごろどこでどうしているかな・・・。
その時のキツネが、ミム。熊はガンツ。
しかし、お互いにその事に気づかないまま、現在に至っている。
猟銃で撃たれて、死んだその瞬間はまさに、地獄に落ちた、存在すら消される、と思っていた俺に、思わぬ形でチャンスがめぐってきたと、その時にあらためて思った。
今度の人生(?)熊生(?)は、真面目に生きてみるよ。それでどう評価されるのか。
俺は、魔法とかは使えない。力仕事ならお得意だ。
他の仲間は、どちらかというと魔法の方がお得意なのかな?
それに、俺はもともと格闘技とかが得意で、俺の攻撃方法はというと、熊のように腕を振り下ろして、爪で攻撃したり、熊がかみつくように、かみつき攻撃もする。
『世界格闘技大全集』という本を見つけた。
俺の愛読書の一つにしたいと思っている。
それに、俺は今、ブルドーザーとか、ショベルカーとかの重機に、興味を持ちはじめているところだ。
自分のためだけじゃなくて、この新しく創造されていく世界のために、自分の力を発揮してみることにするよ。
しかしまあ、どうもこの世界には、俺たち以外の人型種族とおぼしき者は、いないのか?と思うくらい、他の連中を見かけることが無いな。
俺からはここまで。次はタカヤスにバトンタッチするよ。
俺はタカヤス。オオカミ族だ。
オオカミは、イヌ属、イヌ科の動物の中で唯一、人間に家畜化されていない。イヌ科の最大の動物とされる。
これは世界大図書館の中にある本の中に書かれてあった。ここにはオオカミに関する本もあるようだ。
世界大図書館の中には、ありとあらゆる文明の利器がある。たとえば鏡もその一つで、俺の顔を映し出す。オオカミの顔が、そこにはあった。
なるほど、鏡とは、自分の真実の姿を映し出すということか。
俺は、転生者ではない。ガンツが転生してきたのが転生者との最初の出会い。
それから、アインがここに来た。とはいっても赤ん坊の時から見てきているから、幼馴染みのようなものだ。
世界大図書館のような大きな建物の中には入ったことが無かった。自動車、ジープに乗ったのも初めてだ。
俺は、オオカミについて調べているうちに、ライカンスロープとか、人狼とか、ワーウルフ【ウェアウルフとも】などという言葉を知る。
ライカンスロープとは、獣に憑依されるなどした人間で、普段は普通の人間だが、満月を見たり、戦闘で大きなダメージを受けたりするなどした時に、獣に変身するという、半獣半人の種族だという。
俺も、人狼といえば人狼だが、ライカンスロープではない。厳密に言えば、もともとオオカミの顔ではある。ただし、満月を見たら姿を変えるようなことは無い。
いや、思いきって、満月を見たら姿を変えて、何かすごい能力を身につけられたらなあ、と、そんなことを思った。
そういえば、アインたちが何か、この世界に未来の乗り物や施設を建造するつもりらしい。
建造予定の未来の乗り物、施設
エナジートレイン
未来の鉄道、電車。人身事故も一切無し、電車遅延など一切無しの、最新ダイヤシステムによって定刻通りに走る電車。
リサイクルシステム施設
ゴミと呼ばれていたものを、何度でも何にでも、
リサイクルし放題のシステム施設。
あとは、海水を真水に変えて、飲み水にできるシステムとか。飲める水も不足しているみたいなんだ。
たとえば、汚染水とかも、無害な水に変えて、本当にそれをそのまま飲んでも全く無害になるとか。
この時代にこそ、必要ある発明だといえるな。
なんたって、第三次世界大戦から1万年後の未来だからね。それが、1万年経って、こんな原始時代も同然の環境だからな。
いや、第三次世界大戦が無かったら、あるいはそれ以前に、どこかの時代の発明家か誰かが、実現させていたんじゃないか。
それこそ、それを発明した発明家は、ノーベル賞推薦ものだな。
先の戦争で何もかも無くなり、焼け野原どころか、燃えカスすら残らず、前の時代の痕跡が跡形も無く消え失せた、今の時代。
その今の時代に、一からでは無く、まさにゼロから、再び新たな文明社会を築いていくという。
それにしても、本当に原始時代も同然の環境に逆戻りしてしまったようだ。なんだかわびしいね。




