オオカミの立ち位置【タカヤス目線】
俺はタカヤス。オオカミ族だ。
オオカミは、イヌ属、イヌ科の動物の中で唯一、人間に家畜化されていない。イヌ科の最大の動物とされる。
これは世界大図書館の中にある本の中に書かれてあった。ここにはオオカミに関する本もあるようだ。
世界大図書館の中には、ありとあらゆる文明の利器がある。たとえば鏡もその一つで、俺の顔を映し出す。オオカミの顔が、そこにはあった。
なるほど、鏡とは、自分の真実の姿を映し出すということか。
俺は、転生者ではない。ガンツが転生してきたのが転生者との最初の出会い。
それから、アインがここに来た。とはいっても赤ん坊の時から見てきているから、幼馴染みのようなものだ。
世界大図書館のような大きな建物の中には入ったことが無かった。自動車、ジープに乗ったのも初めてだ。
俺は、オオカミについて調べているうちに、ライカンスロープとか、人狼とか、ワーウルフ【ウェアウルフとも】などという言葉を知る。
ライカンスロープとは、獣に憑依されるなどした人間で、普段は普通の人間だが、満月を見たり、戦闘で大きなダメージを受けたりするなどした時に、獣に変身するという、半獣半人の種族だという。
俺も、人狼といえば人狼だが、ライカンスロープではない。厳密に言えば、もともとオオカミの顔ではある。ただし、満月を見たら姿を変えるようなことは無い。
いや、思いきって、満月を見たら姿を変えて、何かすごい能力を身につけられたらなあ、と、そんなことを思った。
そういえば、アインたちが何か、この世界に未来の乗り物や施設を建造するつもりらしい。
建造予定の未来の乗り物、施設
エナジートレイン
未来の鉄道、電車。人身事故も一切無し、電車遅延など一切無しの、最新ダイヤシステムによって定刻通りに走る電車。
リサイクルシステム施設
ゴミと呼ばれていたものを、何度でも何にでも、
リサイクルし放題のシステム施設。
あとは、海水を真水に変えて、飲み水にできるシステムとか。飲める水も不足しているみたいなんだ。
たとえば、汚染水とかも、無害な水に変えて、本当にそれをそのまま飲んでも全く無害になるとか。
この時代にこそ、必要ある発明だといえるな。
なんたって、第三次世界大戦から1万年後の未来だからね。それが、1万年経って、こんな原始時代も同然の環境だからな。
いや、第三次世界大戦が無かったら、あるいはそれ以前に、どこかの時代の発明家か誰かが、実現させていたんじゃないか。
それこそ、それを発明した発明家は、ノーベル賞推薦ものだな。
先の戦争で何もかも無くなり、焼け野原どころか、燃えカスすら残らず、前の時代の痕跡が跡形も無く消え失せた、今の時代。
その今の時代に、一からでは無く、まさにゼロから、再び新たな文明社会を築いていくという。
それにしても、本当に原始時代も同然の環境に逆戻りしてしまったようだ。なんだかわびしいね。




