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ガンツの主張【ガンツ目線】

俺は、熊耳族のガンツ。耳だけが熊で、あとは人間の姿だ。


俺も、前世の記憶がよみがえる時がある。


俺の前世は、本当に熊だった。


折しも、熊が『指定管理鳥獣』に指定されたさなかだった。その頃、とあるツキノワグマがいた。


そのツキノワグマは、人里に出ては、農作物を食い荒らし、さらにはコンビニの中にまで入っていったこともあった。


そして、ついには、とあるおばあさんに危害を加えてしまった。おばあさんは大ケガをしてしまった。


この時に、おばあさんにケガをさせてしまったことは、今では本当に申し訳なかったと思っているよ。


そのおばあさんの旦那が、猟友会に入っていたおじいさん。怒りに震えるおじいさんは、自ら猟銃を持って、クマを撃ちに行った。


おじいさんの撃った弾は、クマの心臓のあたりに命中した。クマはほぼ即死。


そのクマが、俺の前世。絶対、地獄に落ちたと思ったら、気がついたらこっちの世界に飛ばされていた。そして、耳だけ熊で、あとは人間という姿になっていた。


「誰かいるー?」


しばらく歩くと、同じような、耳だけ獣であとは人間という姿の人(?)たちがいた。


そして、アインたちのいる集落にたどり着いたというわけだ。


それにしても、人間というのは、自分達に害をもたらすような、とりわけ自分達の作った農作物などに害をもたらすような鳥や獣や虫などを、『害獣』『害鳥』『害虫』などと言うが、

他の人間に害を与える、誰でもいいからと通り魔事件を起こすようなやつとか、自分の飼い犬や飼い猫に害を与えたり、その飼い犬や飼い猫を平気な顔して捨てたり、自分の子供にも平気な顔して害を与えるようなやつらとかは『害人』とは言わないのか、と感じた。

いや、これは別に俺の個人的な意見だから、別にいいんだけどな。

元『害獣』の俺が言うのもなんだけど、そういうやつらこそ、『害人』ではないか。『害獣』『害鳥』『害虫』以下の『害人』ではないか。

その悪事によって害をもたらすから『害人』と呼ばれ、社会からも駆除されるから、さらに害をもたらすようになる、という悪循環というやつになると、俺なりの解釈だ。

そういう『悪人』『害人』は、いったいなぜ、そのような考えに至ってしまうのか理解不能、と思うだろう。

それこそ、社会から駆除されるような『害人』に、好き好んでなるようなやつはいない。子供の頃に、なりたかった職業になれなかったとか、それを見つけられなかったとか、そういうのもあるのかもな。

もしかしたら、子供の頃になりたかった職業に、なることができていたなら、あるいはその後の人生も違ったものになっていたかもしれない。

といっても、小学生の時の夢と、中学生の時の夢と、また変わっているということもある。

しかし、自然環境を破壊し、これまでにも多くの野生生物を絶滅に追いやってきた、人間こそが一番、害をもたらしているのではないか。


相手が害をもたらすからといって、自分も同じように仕返しをするということは、結局のところ、その相手への逆差別へとつながり、どっちもどっちの不毛な、低レベルな足の引っ張り合いに終始するだけだ。


地獄に落ちた、存在すら消される、と思っていた俺に、めぐってきたチャンスだと思った。

今度の人生(?)は、真面目に生きてみるよ。それでどう評価されるのか。

俺は、魔法とかは使えない。力仕事ならお得意だ。

それに、俺はもともと格闘技とかが得意で、俺の攻撃方法はというと、熊のように腕を振り下ろして、爪で攻撃したり、熊がかみつくように、かみつき攻撃もする。

『世界格闘技大全集』という本を見つけた。

俺の愛読書の一つにしたいと思っている。

それに、俺は今、ブルドーザーとか、ショベルカーとかの重機に、興味を持ちはじめているところだ。

自分のためだけじゃなくて、この新しく創造されていく世界のために、自分の力を発揮してみることにするよ。


しかしまあ、どうもこの世界には、俺たち以外の人型種族とおぼしき者は、いないのか?と思うくらい、他の連中を見かけることが無いな。


俺からはここまで。次はタカヤスにバトンタッチするよ。




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