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026:魔勇家襲撃、災厄で最凶の邪竜

 この世界には魔王と勇者に匹敵する力――存在がもう一つあった。

 それは〝災厄で最凶〟と恐れられていた存在――邪竜だ。

 その邪竜の名はカタストロフィー。〝災厄で最凶〟という異名に因んで、人々からそう呼ばれるようになったのである。

 三千年前は別の名で呼ばれていたが、それはまた別の物語で――。



 魔王マカロンと勇者ユークリフォンスと邪竜カタストロフィーは三つ巴関係にあった。

 個の力のみを考えた場合、邪竜カタストロフィーの力が群を抜いていた。


 しかしそれは個の力のみで考えた場合だ。

 勇者パーティーとしての勢力をぐんぐんと上げていった勇者ユークリフォンスの前に、邪竜カタストロフィーは敗北を(きっ)することになったのだ。


 邪竜カタストロフィーは勇者パーティーとの激しい抗争(こうそう)の末、姿を消した。


 邪竜カタストロフィーの敗北を発端に、世界大戦がさらに激しさを増していったと言っても過言ではないだろう。

 まるで止まっていた時間が動き出したかのような、そんな感覚を誰もが味わっていたのも事実だ。

 三つ巴関係にあったからこそ、保たれていた世界の均衡(きんこう)があったのかもしれない。

 邪竜カタストロフィーの敗北により、その均衡が完全に崩壊したのだ。


 それ以来邪竜カタストロフィーは一度も姿を現さなかった。

 世界大戦が終結してもなお、姿を現す事がなかったのだ。


 そんな姿を消したはずの邪竜カタストロフィーは今、元魔王城を――担々麺専門店『魔勇家』を上空から見下ろしていた。


『感じる。感じるぞ。余を(おとしい)れた存在の気配を。余を敗北へと(いざな)ったあの頃よりも成長しているようだが、余も力を蓄えた。お主がどんなに成長していようとも、今の余には決して敵わないであろう!!』


 勇者ユークリフォンスの気配を感じ取った邪竜カタストロフィーは、歓喜の色に染まっていた。詰まるところ邪竜カタストロフィーの目的は復讐だ。


『しかし、もう一つの気配はなんだ? 奴と同等の気配……まさか魔王ではあるまいな? 否、あり得ぬ。勇者と魔王が一緒にいるなどあり得ぬ』


 勇者と同等の気配。それは紛れもなく魔王の気配だ。

 邪竜は勇者ユークリフォンスと魔王マカロンが同じ空間にいるのにも関わらず、争いが起きていない状況から、もう一つの気配は魔王マカロンのものではないと判断する。

 気になりはするものの、目的である〝復讐〟を果たすため、邪竜カタストロフィーはその巨口に魔力を集め始めた。


『同等の気配などどうでもいい。全てを壊してしまえばいいのだから――』


 ドス黒く怨念が込められた魔力だ。

 その魔力が魔王マカロンと勇者ユークリフォンスがいる城に――担々麺専門店『魔勇家(まゆうや)』に向かって一気に放出された。



 ――ドボゴバァァァァアアアアアッ!!!!!!!



 邪竜カタストロフィーが放出した光線を直に受けた城は、木っ端微塵に崩壊する。


 城内にいた魔王マカロンと勇者ユークリフォンスは、突然の出来事に為す術もなく瓦礫の下敷きとなってしまっただろう。


『まだ気配はあるか。しぶとい奴だ』


 勇者ユークリフォンスの気配がまだ消失していないことを感じ取った邪竜カタストロフィーは、再び巨口に魔力を集めた。

 そしてそれを放出する。



 ――ドボゴバァァァァアアアアアッ!!!!!!!



 二度目の光線。先ほどと威力はほぼ変わらない。

 この光線によって辺り一帯は火の海と化した。

 そして勇者ユークリフォンスと魔王マカロンの気配も完全に消失した。


『余を怒らせたからこうなったのだ! お主自らが巻いた種。恨むなら己自身を恨むんだな』


 邪竜カタストロフィーは城の崩壊と勇者ユークリフォンスの気配が消失したことに満足したのか、その場を後にした。

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