ポンコツ
物凄い轟音と光とともにその男はこの世界に現れた。
だがその男は本に夢中で全く気づいていない。
その変化に気づいているのは四人の大きな本を持った者たちだけだ。
他の誰にも気づかれない様に隔たりを作り出しその男をこの世界に呼び寄せたのだ。
『なんであんな大きな音がしてるのに気づかないんだ?ヤバスギじゃないか?』
『そ~だ、そ~だ♫』
『逆に期待出来るんじゃないでしょうか!逆に!』
『むー!様子を見るしかないですね。』
その男は本を読み終え周りの変化に気づいた。
異世界に来たというのにあまり動揺する素振りを見せない。
そして攻略本通り時計台に向かった。
だがお腹が減っていたので何も考えずご飯屋に飛び込んだ。
『なにやってんだよ。まっすぐ時計台に向かへと書いているだろうが!どうする気だ。』
赤く大きな本を持ったタクミが声を荒げた。
『もしかして♪もしかして♪』
まくし立てているのは桃色の大きな本を持ったスズカだ。
しばらくしてその男はその店から一目散に逃げ出した。
『そら見たことかっ!!ポンコツがぁ!!』
タクミが胸に溜まったものを一気に吐き出す。
『むー!フォローしなくちゃですね。』
緑色の大きな本を持ったココロはいきりたった店員に金貨を手渡した。
その男はそんなことが起こっていることを知るはずもなかった。そして持っている本が少し黒くなっていることにも気付くはずもなかった。
『いきなりブックスを黒くしてしまうとは!逆に更に期待出来るんじゃないでしょうか!逆に更に! 』
青いブックスを持ったキクは少し興奮していた。