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幼馴染の忘れ物

共同生活が始まって1週間が経過した。


今まで家族としか一緒に生活してこなかったから、帆奈美との生活はなかなかに新鮮であった。


まあ、慣れない共同生活だから最初の数日はいろいろあったがな。


・・・ラッキースケベ的なものもあったが、あれはもうこりごりだ。



そんな感じで、一緒に住み始めて今日は土曜日。

春休み中でもあるから、あんまり曜日も関係ないが帆奈美はバスケ部の練習で朝から出かけている。


この1週間ずっと一緒にいたため久しぶりに一人の時間を過ごしているが、一人の時間もなかなかにいいものだな。


そう思いながら、家の中を掃除しているとテーブルの上にあるものが乗っていた。


「あいつ、弁当忘れてやがる」


そこには、俺が作った弁当が置いてあった。


今日は朝から練習があるからって、昨日の夜から作っておいたのに朝ぎりぎりに起きていったから忘れていったんだな。


「・・・仕方ないな、届けに行くか」



俺は、外出用の服装に着替えて家を出た。一応学校側には事前に連絡を入れてある。最近は防犯対策で休み期間は警備員を入れているとのことだったから、連絡なしで向かうと不審者扱いになってしまう。



私立桜香高校。俺の通っている青陽高校から20分前後にある高校である。

校風が緩いとは言われているが、学校の偏差値はかなり高い。さらに部活動も活発であり、多くの部活動で表彰されている学校である。



「すみません、先ほどお電話した小泉八雲といいます。こちらの生徒である八坂帆奈美さんの忘れ物を届けに来ました。」


「あ、はい。今担当の先生を呼びますのでこちらの用紙にご記入を。」


用紙に記入している間に、警備員さんは顧問の先生に連絡してくれたみたいで数分もしないで一人の先生がやってきた。


「君が八坂の知り合いの人の小泉君か。私は星乃紗枝です。忘れ物を届けに来てくれたとのことだが。」


「はい、このお弁当を忘れていったので代わりに届けに来ました。」

「そうだったのか、すまないな。良ければ少し見学していかないか?もう少しで休憩時間に入るからその時にでも渡してあげてくれ。」



顧問の先生に押されて、俺は帆奈美の練習を見ることになった。


「にしても桜香高校は流石ですね。春休み中でも校内には多くの学生がいますね。」

「いやいや、それよりもあいつに男の友人がいたとはな。」

「いわゆる幼馴染というやつですよ。そういえば、八坂はどうですか?」

「あいつはいい選手だよ。将来はいい選手になるよ。・・・それじゃここでちょっと待っててくれ。もう少しで休憩に入るから。」



そういって、星乃先生は体育館に入っていった。

中では、軽快にボールが弾む音が聞こえ男子の声や女子の声が軽快にこだましている。



「・・・あれ、君見ない顔だね。ここで何をしているの?」


ぼーと待っていると、知らない女子から声をかけられた。


「あ、バスケ部の人の忘れ物を届けに来たんだ。顧問の先生がもうすぐ休憩するから待ってろと。」

「あ~そうだったんだ。私は佐枝木稲さえぐさこのみ。女子バスケ部なんだけど君の名前は?」

「俺は小泉八雲、女子バスケ部なら八坂帆奈美さんは知ってる?彼女に忘れ物を届けに来たんだ」

「知ってるも何も同じ学年だからね。そういえばお昼ご飯忘れたって叫んでたっけ。」


あいつそんな恥ずかしいことしてたのかよ。なんか届けに来たこっちも恥ずかしくなってきたぞ。


「小泉君、待たせた・・・って佐枝、何してるんだそこで。」

「あ、先生。お手洗い行ってたら見ない顔の人がいたからお話してたんです。」

「そうだったのか、佐枝もさっさと中に戻れ。八坂、お前にお客様だぞ。」


体育館の中をのぞくとそこにはジャージ姿の帆奈美がいた。


練習していたのもあるが、首からタオルを下げて長い髪をポニーテールにしていて少しドキッとした。


「あ、八雲。わざわざ届けに来てくれたんだ。ありがとうね。」

「おう、忘れるなよ。はいこれ。後、今日の晩飯何がいい?」

「そうね、今日はオムライスがいいわ。」

「了解、んじゃ気をつけて頑張れよ。星乃先生、失礼しますね。」

そういって俺は桜香高校を後にした。

「にしても、やっぱりすごいよな帆奈美は。帰ったらおいしいご飯作って・・・あれ?俺さっきあそこで・・・あ」



一方そのころ


「八坂、今の話詳しく教えろよ。」

「帆奈美ちゃん、私にも詳しく教えて。」

「・・・やっちゃった。」



その日の夜、俺は帆奈美に怒られてしまった。ちなみにオムライスはおいしく完食していた。

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