初めてのソロプレイ
学校から帰ると僕はVRゲームのヘッドギアを装着する。
そのままゲームを選び、サーバーにアクセスして、ゲームを始めた。
ゲームの中に入ると、人はまばらだった。
(この間起きた停電が関係してるのかな?)
先日、停電でログアウトに問題が生じ、ゲームに取り残されたと噂がある。
(所詮、噂は噂だろう。よくあることさ)
そう割り切ってゲームの世界を見渡す。
よくある剣と魔法のファンタジーな世界な広がっている。
このゲームに誘ってくれた友人は、今日は用事があると言っていた。
僕は始めたばかりなため、友人におんぶにだっこな状態で遊んでいる。
だから今日は初めてのソロプレイになり。薬草採取のクエストを受け町を出た。
☆
「ゲ~ヘッヘッヘ。そこの初心者さんちょっと待ちな」
クエストを受けて町を出てすぐに、ほかのプレイヤーに絡まれた。
(初心者狩りってやつかな)
このゲームはプレイヤー同士の戦闘は認められている。
(多くの場合、自分たちでルール決めてある程度戦ったら終了なんだけどね)
プレイヤー間の戦闘が、スポーツみたいなルールが決められている。
その理由は相手を戦闘不能にさせた場合、名前の色が赤くなってしまう。
(『私はほかのプレイヤーを倒しました』なんてのは知れ渡ると困るし)
今絡んできている人の名前は赤色で、僕は途方に暮れた。
「初心者さんは町中のクエストでもやってりゃ良いんだよ!」
相手が僕に言ってくる。
「さっきも思いましたが、初心者ってどこからそう判断してるんですか?」
僕は反論する。
「初期装備で、ソロで、町出てからずっときょろきょろしてるからだ」
相手がきっぱりと話す。
「慣れるまでは街中でお使いクエストこなしてお金稼いで装備整えておけよ」
ひょっとして心配してくれているのだろうか。
「はあ、ありがとうございます」
拍子抜けした僕は、相手にお礼を伝える。
「良いってことよ」
そのまま立ち去ろうとすると、相手は僕を呼び止める。
「世の中には情報料ってのがあってだな」
相手は金額を明示してくる。
僕はその金額を見て、目が飛び出る。
「ほぼ所持金全部ってぼったくりも良いとこですよ!?」
「命より高えもンがあると思ってんのか!」
一理ある。あるが情報の金額が適正かどうかも大切だと思う。
(このあたり、友人に聞いておけば良かったな……)
「おいおい、まさか踏み倒そうってのか?」
どうしようか考えていると、相手が難癖をつけてきた。