無気力少女の異世界譚。
またも短編に挑んでしまった。
誤字脱字等あればご指摘いただきたいです。
「ここ、どこ?」
おっかしーなぁ。
今日は休日。いつも通り、家でゴロゴロと過ごしているはずだった。
そう、はずだった、のだが。
私が今いるのは、檻の中。
あれだ、動物園の動物を運ぶ時に使う、移動ができるような、檻。
大きさもそんなになく、広さもない。
かといって、すっごく狭い、って言うわけでもないけど、まぁそれなりに狭い感じ。
周りを見ると、私以外にも、私のように檻に入っている人も何人か見受けられる。
性別、年齢とバラバラ。
泣いている人もいれば叫んでいる人もいるし、何も喋ってない人、精神がおかしいのか、謎の行動をする人もいる。
夢か、夢なのか?
いや、にしてはリアルすぎる。
とりあえず。
「ここ、どこ。」
何でこうなってるんだよ。
あれから、しばらく、と言っても1時間も経たずに、一人の男性が入ってくる。
見た目はあれだ、某映画の、勝手に料理を食べて豚になった両親の姿。
いや、流石に現れた男性は人間だが、見た目っていうか、体型がまんまあれ。
入ってきたその男性は、お前らは今から奴隷として売られるんだ、なんてことを言ってきた。
「ひひ、お前らは運が悪いなぁ!今からお前らは、奴隷として売られる!いいご主人様に出会えるといいなぁ?精々、可愛がってもらえるように愛想振りまくんだなぁ!ひひ!」
そう言って、出ていく。
それを聞き、騒がしかった、この檻だらけの部屋が一層騒がしくなる。
泣き声や怒鳴り声が大きくなったり、絶望するものや呆然とするもの、人それぞれである。
そんな中、私はといえば。
「あー、どーしよ、これ何気やばいよね。」
そこまで危機感を抱かないような考えをしながら、体育座りの体制になる。
というか、状況が理解できないのだが。
あれ、ほんと、なんでこうなってるの?
そもそも、ここ、どこだよ。
うっわ、やべぇなぁ。人生早々に詰んだ?
男性が来て、そこまで経たないうちに、周り、というか檻が置かれてる部屋の外だろうか、とにかく、周りが騒がしく感じる。
すると誰かが、あぁ、ついに始まってしまった、とうとう売られるんだ!と叫んだ。
それを聞き、落ち着こうとしていた人もまた落ち着きがなくなる。
そして、ガタイのいい男の人達が入ってきたかと思うと、人が入った檻が、運ばれていく。
そして、運ばれてしばらく、また再び運ばれて…を繰り返し始める。
今、売られている真っ最中なのだろう。
未だに状況は理解できてないが、今分かっていることは、予想だが、人間売買されてるんだろう。
そしてそこに私はいる。商品として。
え、じゃあ誘拐されたのか?
家の中に侵入されたの?で、ゴロゴロしてた私を誘拐した的なやつ?
でもな、それだと結構疑問なんだよなぁ。
色々あるけど、とりあえず1番気になるのは。
顔が、日本人の顔じゃない。
髪の色とか、黒はいない。むしろ私だけ。
瞳の色も違うし、何ならオッドアイらしき人もいる。
外国か?いや、少し違う気がする。
あれじゃない、これじゃない、でもだとすると…などと考えていると、不意に私の入っている檻が揺れる。
「う、わっ。」
きゃ!なんて女子力あるような声は出ない。
あぁ、何かと思えば、運ばれているのだ。
気づけば出番、というか、売られるのは私らしい。
そして、運ばれた先で見たのは。
「六百!六百だ!」
「なら俺は七百だそう!」
「儂は七百五十!どうだ!」
「九百!!!」
「おおっと、九百、でました!他にお客様は!?……いらっしゃらない!なら、九百で、落札です!」
見渡す限り、人、人、人…。
場所はステージのようになっており、の上に司会者らしき人、護衛的な人、運ぶ人、そして檻に入れられている人。
そして、そのステージの下には、叫ぶように数を言う人達。
檻にいる人の様に、性別年齢、全てバラバラである。
私の出番は次らしい。
今の、九百で落札されたらしい、金髪の美女さんは、顔が厳つい、でも見る人にはイケメンと感じるであろう人に買われていった。
あと、絶対この数字桁違うよね。
この数字の後に、ゼロ何個つくんだろ…。
そして、いよいよ私の番となる。
「さてさて、お次は珍しい黒髪、黒目の持ち主の少女!メイドとして働かせるもよし、愛玩として可愛がるもよし、剥製にしてかざるのもよし!値段は、五百からスタートです!さぁ、どうぞ!」
テレビで見るような、司会者並のテンションでしゃべる男が紹介し、オークション形式で先程のように始まる。
次々に値段と思わしき数字を上げ、徐々に金額は大きくなっている。
先程の女性の落札された金額よりも数字は大きいため、予想だが、それなりに価値のありそうな人を後から後から出していって、最後に目玉商品、という感じだろうか。
私のいた、檻がおいてあった場所には、私が連れてかられた時にまだ数人残っていたから、私はまだまだ序盤の盛り上がりに使われているのだろう。
そんなふうに考えている間も値段は上がり続け。
「千百!」
「千百五十だ!」
「千百七十!!」
ほんとに、先程の女性のように大きくは上がらないが、それでも上がり続けている。
うーん、買われても、なんにも役に立たないと思うんだよなあま。
基本めんどくさがりだし、物事にも熱しにくく冷めやすいし、性格も結構クズいと思うんだよね。
ヒーロー物の話とかは、毎回悪役応援してたし、ヒーロー側の矛盾点とかおかしいとことか、粗探してみてはボロクソに思ってたんだから。
「千三百!」
「おお!千三百出ました!もういらっしゃいませんか!では、千三百で――――。」
あー、千三百かぁ、ま、いいほうなんじゃない?
私を買ったと思われるのは、高齢のおじいさん。ひげや頭の髪は白く、長さも両方それなりにある。体型も太くなく、でもガリガリではなく、いい感じのスマートな体型。
少し厳しめそうなイメージを持ったが、まだいいほうだ。
でもな、これからどうなるんだろうか。
さぁて、どーすっかなぁ、なんて考えていると。
「千五百。」
「!」
「…っ!…おおっと、更に上を行くお客様だ!」
「っ…!」
出てきた数字は、決まりかけてた数字のさらに上を行くもの。
声のする方を見ると、すっごい美形のお兄さん。そばには、お付きの人らしき人もいるが、その人も顔が整ってる。
え、めっちゃイケメンじゃないか。
あー、こういう時、イケメンに助けてもらった!とか喜んだり、実はお忍びの高貴な方で…!って感じで、きゃ♡ってなったりするんだろうけど。
私が思ったのは。
めんどくせぇぇぇぇ!
いやだってさ?イケメンだけど、イケメンだけどね?
なんか、こういうのって結構めんどくさいこと色々と絡んでるじゃん。いや無理、しんどい。
さらに言えば、そのお兄さんが言った瞬間、皆さんの目が若干怯えたような感じしたよ?
何なら地味におじいさんも動揺したし、司会者の人もビビってたよ。
…いや、まだ期待しよう。あれだ、金額が大きいからびっくりした、ってのもあるかもだし、うん。
しかし、数字はこれ以上は上がってこず、そのお兄さんに買われることとなった。
その後、私は檻ごと運ばれ、別室に移動。
移動されたものの、未だに檻の中。
え、そろそろこっから出たいな、なんて思うんですがね。
あー、でも移動歩かなくて楽っちゃ楽。快適。
しばらくすると、私が入ってきた入り口とは別の入口から、先程私を買ったお兄さん、ではなく、そのお兄さんのそばにいたお付きの人らしき男性がやってくる。
そして、結構前、オークション?が始まる前にやってきたあのメタボな男性と会話し、気付けば檻が開けられ、首輪と手枷をつけられて外に出る。
会話の内容?
まったくもって聞いてなかったし、何ならちょっと寝かけてたよ。あれだ、現実逃避もかねてね、うん。決して色々と考えるの面倒くさくなったとか、そんなんじゃないよ、うん、ね。ははは。
そしてそのまま首輪や手枷についている鎖を引っ張られて移動かな、と思うがそうではなく、抱っこ移動。
お姫様抱っこではない。
あれだ、ちっちゃい子を保護者の人が運ぶときみたいな、腕に腰を乗っけて移動、みたいなやつ。
つまり私は、男性の腕に腰掛けて抱っこされている。
え、めっちゃ力持ちだな。
私体重普通にあるよ?かるーい、とかで済ませれるやつじゃないし。具体的な数字はノーコメントでいるけど。
そして運ばれていき、外に出る。
ガチの外だ。
外は、昔の外国の様。
馬車が走り、ドレスや漫画などで見る貴族が着るような服を着て歩いている。
そして誰もスマホとか持ってないし、携帯とかない。
…え、もしかしてタイムスリップとか?
それとも、あの異世界トリップってやつか?
私を抱えている男性はスタスタと歩き、1台の、ひと目で豪華だな、とわかるような馬車に向かって歩きだす。
「失礼します。お待たせいたしました、連れてきました。」
「そうか、入れ。」
「はい。失礼します。」
そう言うと、馬車の扉を開ける。
中にいたのは、先程私を買ったと思われる、若い男性。
「やぁ、初めまして。君を買った、君の主人だ。よろしくね?」
「は、はぁ。よろしくお願いします…?」
「ふふ、なに、固くならなくてもいいよ。ほら、リラックスリラックス。」
そう言うと、私を抱えていた男性に、私を男性側へ渡すように指示をし、私は“主人”と名乗る人の足の上に向かい合うように座る。
顔近いなぁ、やっぱりイケメンだ。国宝級美形。
やっべ、まつげ長、肌めっちゃキレイ…。
そんなことを考えていると、馬車が動き出す。
ちなみに、その間ずっと私も男性も無言。
ガタガタと、不快にならない程度に揺れ、なかなかに心地良い。
しばらくすると、眠気が襲ってくる。
こんな状況で寝るなんて、呑気だって?
だってさ、ただでさえいきなりのことが多すぎて、未だに色々とついていけてないんだよ?
疲れたわ。
あ、それにリラックス、ってこの男性も言ってるし、いいよね?
ということで。
「寝る…。」
そこから意識はない。
ただ、私を膝に乗せている男性が、おやすみ、と言った気がした。
このあと目覚めた時、バカでかいお屋敷に連れて行かれ、私を買った、主人となった男は、実はこの世界の裏組織の数ある中の、そのトップにたつ組織のボスだったり。
私は所謂異世界トリップをしていたことだったり。
組織の幹部のメンバーに執着されたり、扱いが“組織の愛し子”って感じになったり。
私の無気力さに皆が甲斐甲斐しく世話してくれたり、過保護になったり。
色々と慌ただしい日々を送ることになるなんて思っても見なかった。
とりあえず、まぁ。
どうにでもなれ、って感じで日々を無気力に過ごしますか。
あとさ、今更だけど、なんでこうなった…?
あっれ、おかしいな、登場人物の名前が出てこないぞ。
デジャヴュ…?