06
4話ほど続くため、1日2話更新します。
次は15時更新です。
「ただいまー」
「にうー」
今日の講義は午後だけだったのだが、構内で発生した謎の爆発により中止となった。本来はいつも立ち寄る本屋で時間潰しをし、軽く昼食を食べて授業を受ける予定を組んでいたのだが、先ほどの連絡で予定を変更せざるを得なくなり、午後の時間潰し用にラノベを二、三冊買って自宅へと戻った。
軽く昼食を終え、買ってきたラノベを開く。今流行りの異世界転生モノと異世界転移モノ、そしてVRモノである。
「なーぅ?」
「ん、これか、小説だよ。 ライトノベルって言った方がいいのかな」
「にゃ。」
私にも見せとろばかりに太ももの上に乗っかり、ジッと本の巻頭の絵を眺める同居者。フンフンと鼻を鳴らした後に、軽く手を乗せるが……
「にう?」
「どうした?」
「にゃう」
同じ場所を何度も叩きながらもこちらをチラチラと見る。やがて、猫の手は俺の頬に飛んでくる。うんうん、可愛いなぁ。
「なうー!」
……あ、はい、次のページですよね。なんとなく最初から分かってました。だからちょっと爪出すの止めなさい。
「にう」
次のページを開いてもまだ巻頭の絵は続く。基本的にこの巻のワンシーンから取った内容なので出来れば読了後にじっくりと眺めたいものだが、同居者は違う流派らしい。
絵には主人公と思しき人が、聖剣を引き抜くシーンが描かれている。
「……俺も聖剣の一つや二つ欲しいなぁ」
まぁ、有っても使い道はないががががーー!?
「にう!?」
「うお?!」
何かが落ちたような音と同時に、激しく地面が揺れる。しかも近い、恐らく庭から聞こえた気がするが「にうっ!?」ーーえ?
胸元にいた同居者が俺の顔目掛けて体当たり。その衝撃で椅子ごと倒れ、後頭部強い痛みが走る。流石のキーでも、今のには驚いたのか。 と思っていたが、猫の鳴き声と共に第二発、三発目が頭に集中する。
ちょ、ちょっと待って、キー、やりすぎ……。
…
……
………
「にう? ぅ…」
猫思う。 あ、やりすぎちゃった、と。
こういう時、同業者になんと言えばよいか、を教えてもらっていた気がする。
「にうー。 にゃ!」
「にゃは☆」
満足した猫は、その場を去る。ちなみに本猫は、てへ、と言って舌を出したつもりである。だが、それを理解できる者は誰もいなかった。