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ネコは日常を駆ける  作者: Thi
ネコとかいぬし
2/10

02

 

 同居者こと、ネコのキーの出会いは突然だった。


 大学からの帰り道。自転車の乗っているところへ飛び出してきた黒猫、それがキーだった。

 なんとか猫を轢かずに済んだと安堵しているところへ、彼女は前カゴに飛び乗り、ぬやぁ、と鳴いた。


「……いや、連れてけないって」

「ぬや」


 不機嫌そうに尻尾をフレームに叩きつけるが、もし飼い猫だったらただの窃盗だからな。

 そう思いつつ、ネコの胴体を掴んで地面に下ろすが、一瞬のうちに前カゴへと飛び乗られる。


「や」

「そうか、そういうつもりか」

「ぬやり」


 こうして、前カゴを巡る戦いの火蓋は切られたのであった。





 ーー数十分後。



「はぁはぁ、お前、やるな…」

「……お前(アンタ)こそ」


 こうして、俺と彼女の友情が生まれたのであった。



 ……妄想の中で。



「ぬやん」

「あっ、ちょ、逃げるのか、俺との友情は?!」


 まぁ、現実は非常である。

 飽きたのか、突然前カゴとは違う方向へ走り出す黒猫。先ほどまでの数十分間はなんだったのか、とばかり呆然とする俺だけがその場に残されたのだった。



 …


 ……


 ………



「ぬやん」

「で、俺の家に先回りってか」

「ぬやぁ」


 なんでドヤ顔してんだ、このネコ。





 まぁ、その後の後日談だが、この時にちょうど居合わせた隣の幼馴染み兼JK美少女(自称)に飼うことを勧められ、ペットの道具やなんやらを買いに行かされたのであった。


 後日、よく話を聞くとこの猫は元々お婆さんが飼っていたらしいが、その飼い主が亡くなり、引き取り手を探していたらしい。そして、事故で両親を亡くしたばかりの俺の癒しになれば、と思って、やや強引に勧めたのだとか。



「ぬやぁ」



 ……まぁ、癒しにはなるな。


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