第6話 井戸の中
今回ちょっと展開微妙かもしれません……
あとで修正するかもしれないです。
「……なんだよこれ。本当に井戸の中なのか?」
井戸の中は灯りもなく、薄気味悪いところではなかった。
周りには新しいランプが所々についており、井戸の中全体を明るく照らしていた。
しかし、井戸の割にはかなり広い。
というよりも、下水道と繋がっている?
「井戸の事とかよく分からないですけど……こういうものなのでしょうか?」
「俺もあんまり詳しくないから……」
「私も分かんない」
誰かが工事でもしたのか?
そう思うくらい、綺麗なところだ。
匂いとかかなりカビ臭いのをイメージしてたけど、全然匂いがしない。
むしろ、空気が澄んでいるようだ。
ここまで来ると、少し不気味に思える。
誰も入ったことがない……そう思ってたが、これは普通に入ってる気がする。
「きゃあああああ!!!」
「ティーナ!?ティーナ!」
ユリアが大声で呼びかける。
「……ユリア?ユリアですの?」
「待ってて、すぐ助けるから!」
「だめですわ!ここに来ては……きゃあああああ!!」
「ティーナ!」
声が聞こえる方へ走る。
だが、そのティーナの姿が見当たらない。
奥には大きいフェンスがあり、先には進めないが、近くにはレバーがあった。
おそらく、このレバーを引けば大きいフェンスが開くと思
う。
そうすれば、ティーナの元へ早く辿り着くことが出来るかもしれない。
だけど、何が起きるか分からないし、むやみに下水道の中のものを触るのはかえって危険だ。
周りを見渡すと、他にも道はあるようだった。
ここは別の道を……
「このレバーを引けば近道になるんじゃない!?」
巡は、戸惑うことなくレバーを引いた。
俺とユリアもしっかりレバーを引くところを見ていた。
「……え?」
「え?………私、やっちゃった?」
その予想は見事に的中。
大きいフェンスが開き、大量の水が襲いかかってきた!
抗う術もなく、俺たちは大量の水に呑み込まれてしまった。
そもそも、巡がフェンスを開けたからだ!
「巡……罠に……決まって……るだろ!」
「だ、だって……」
「捕まってください、メグル!」
「あ、ありがとう。でも探が!」
「俺……なら大丈夫だ!ユリア、レバーを戻してくれ!巡をこっちに!」
「は、はい!」
なんとかパイプを手で掴み、流されることはなかった。
ユリアは俺に巡を引き渡し、レバーを戻しに行った。
それにしても、巡の手を取って流されないのは凄いと思った。
水の流れはかなり速いのに……
ユリアが実は力持ちなんだとその時思った。
ユリアがレバーを戻したおかげで、水の流れがだいぶ緩やかになった。
水の深さはそこまででもなく、靴が全部埋まる程度だ。
それでも、靴は濡れて足はかなり冷たくなっている。
風呂で早く温まりたい……
そう思いながら歩いていると、何かを踏んだような感触があった。
手で探ると、金属のようなものが落ちていた。
それを手に取り、確認してみる。
「……歯車?」
「どこかで使うのでしょうか?」
「そんなところなかったと思うけど」
「見て見て!左の通路にもう一つフェンスがあるよ」
左の通路にも、前のフェンスより少し小さいサイズのものがあった。
周りの壁を見ると、歯車がいくつも並べられていて、一つだけ欠けている部分があった。
この歯車をはめればこのフェンスが開くのだろう。
「ねえ、はめてみれば?」
「そうしたら、また水が流れてきますよ」
「その時は、その時よ!」
「一か八かやってみるか」
俺は歯車をフェンスから水が流れないか警戒しながらはめた。
すると、歯車は一斉に動き始め、フェンスがゆっくりと開いた。
………水は流れてこない。
「よかったですね」
「なんだ、流れてくると思って損したよ」
「これで先に進めるね!」
フェンスの奥へと足を踏み入れた瞬間、試練の洞窟で落盤した時と同じくらいの轟音が響いた。
明らかにフェンスの奥からだった。
「何、今の?」
「落盤ではないみたいですけど……」
「用心しておいた方がいいな」
フェンスの奥には、左と右と真ん中の三つに分かれた道があった。
そして、その近くにレバーも三つ。
左と右のフェンスは閉まっていたが、真ん中は開いていた。
レバーを引くのは後にし、真ん中へ進むことにした。
すると、
「きゃああああああ!!」
ティーナの声が聞こえた。
かなり近い場所にいる!
奥へと走ったが、それと同時に不思議な音が聞こえてきた。
水が跳ねる音。
まるで、子供が長靴を履いて水溜りで遊んでいる時のような音だ。
進んで行くと、かなり広い場所に出た。
そこには、人形のように小さく、美しい羽を持ち、空を自由自在に飛べる、ユリアと同じ……妖精がいた。
確か名前はティーナだったはず。
ティーナは、大きい翼を持った靴にしがみついている状態だった。
水が跳ねる音は、この靴が出していたのか!
しかし、大きい翼を持った靴は、何かから避けているような不規則な動きをしていた。
何か様子が変だぞ?
「あれは……古代の秘宝の一つ『大翼の靴』! ティーナ!大丈夫!?」
「……! あなたたち、危ないですわ!」
危ない?
すると、目の前にとてつもない速さで大きな糸が落ちてきた!
……糸?
「ここは危険ですわ!早く逃げて!」
「でも、その靴に襲われて……」
「まさか!この子は私を助けてくれましたわ!とにかく、上を見て!」
「上?」
……俺は見てはいけないものを見てしまった気がする。
巨人のように大きく、金属のような皮膚を持ち、包丁のように鋭い牙を持つ、大きい蜘蛛。
一目見た瞬間、すぐに分かった。
これは逃げないとまずい。
丸腰の俺たちに勝てるわけがない、と。
「その蜘蛛が吐く糸には毒がありますわ!当たったら、絶対に助かりませんわ!」
大翼の靴は俺たちの方へと向きを変え、何かを伝えようと跳ねていた。
「この子に捕まって!一緒に逃げますわよ!」
「に、逃げるってどこに!?」
「外にですわ!さあ、早く!」
俺たちはティーナに従い、靴に捕まって、来た道を戻ることにした。
それと同時に、上にいた大きい蜘蛛が下に降りてきた。
蜘蛛は俺たちを狙って、追いかけてくる!
突如現れた謎の大きい蜘蛛。
新しいユリアの仲間の妖精ティーナと、古代の秘宝の一つ『大翼の靴』。
急にいろいろなイベントが起こりすぎて、俺はパニックになりそうだった。
なんと、総合ptが30pt行きました!
ありがとうございます!
次は50ptに向けて頑張ります!