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僕ら古代遺跡探検隊  作者: タカリンク
第1章 4匹の妖精編
7/9

第5話 デパート・パニック

今回は友達と遊びに行く時のお話です

「よーし!全員揃ったな!」


水馬(あめんぼ)市。

俺らが住んでいる『始発町』の隣とは思えないほど都会の場所だ。

田んぼや畑がなく、大きなビルやデパートが山ほどある。

どうでもいいが、実は俺の家から自転車で5分程度で着くので、始発中学校よりもかなり近いところにある。

そして、俺の父さんが働いているところでもある。


「今日の目的は女の声が聞こえると言われている公園の井戸!場所は俺が案内してやる!」

「健吾、張り切りすぎじゃね?」

「なにいってんだ龍矢!こんな手軽に行ける心霊スポットなんかそうそうないんだぞ!」

「別に心霊スポットって決まったわけじゃないでしょ!」


実は巡の他にもう一人女の子が来ている。

名前は城谷(しろたに)(さき)

巡の友達で俺たちのクラスメイト。

(さぐる)、健吾、龍矢、巡、咲の五人のメンバーで行くことになっている。

そして……


「巡、そのバッグの中に入ってる小さいぬいぐるみみたいなの何?」

「え?あ……新しいの買ったんだ!」

「へー、あとでどこに売ってるのか私にも教えてよ」

「う、うん……」


小さいぬいぐるみとはもちろんユリアのことだ。

実は、行く前に巡にも相談をして、どうやってごまかすかを話し合った。

話し合った結果、ユリアには巡のぬいぐるみという役割をしてもらうことになった。

ユリアには動けず話せずで、ちょっときついかもしれないけど我慢すると言っていたから心配はない。


公園についたのはいいが、井戸の場所にたくさんの人がいた。

おそらく、みんな女の人の声が聞こえるという話を聞いてやってきたのだろう。


「こんなに人がいてガヤガヤしていたら、ムードが出ない!」

「いや、健吾。別にそこは問題じゃ……」

「大ありだ!!よし、夕方くらいまで時間をつぶすぞ!」

「なんで、そんな必死なんだよ……」




健吾の謎のこだわりによって、俺たちはデパートで暇をつぶすことになった。

みんなとは夕方に公園で落ち合うことにして、俺は何か面白そうなゲームソフトがないか探していた。

俺が、今ハマっているジャンルはRPG(ロールプレイングゲーム)だ。

俺がちょっと興味を持っていた『レジェンド・ウォリアー』というゲームを見つけた。定価は三千五百円。

しかし、井戸にだけ行くものと思っていたので俺の財布の中には二千五百円しか入っていない。

このソフトは、また今度にするか……


「おい、探!……見ろよ」


健吾が指をさした場所には龍矢と咲の二人がいた。

クレーンゲームで何かをとろうとしているようだ。


「龍矢、私この妖精のぬいぐるみ欲しい〜」

「お、俺が取ってあげるよ!!」


なにやら、二人でイチャイチャしている。

もしかして、龍矢と咲は付き合っていたのか?

でも、そんな話は聞いていない。

だけど、見る側にとってはどこからどう見てもカップルのように見える。


「龍矢のやつ、咲のこと狙ってやがるな……」

「もう、付き合ってるんじゃないのか?知らないけど」

「そんなことはこの俺が許さねえ!!!おい、龍矢!!」


健吾が走って行ってしまった……

よく見ると、龍矢に質問攻めをしている。

健吾のカップル嫌いには本当に呆れる。

クラスでカップルがいれば、その隣で健吾の自慢の『別れの呪文』を唱え続けるからだ。

『別れの呪文』と言っても、『別れろ』をただ早口言葉みたいに連続で言うだけという、小学生レベルの嫌がらせだけど。


しかし、健吾が『別れの呪文』でカップルを別れさせることができた実績はない。

だが、健吾を応援する男子は多く、むしろ人気だ。

女子からは……クラスの男子十五人の中で付き合いたくないランキングで一位になっている。

これに関しては、可哀想としか言えない。

ちなみに、俺は十位で龍矢は八位だ。

まあ、こんなランキングは別に気にしてないけど。


健吾を無視し、俺は二千五百円で買えるゲームソフトがないか探すことにした。

中古でも案外、値段が高かったりするから困る。

でも、今日は何か一つソフトを……


「探!他のみんなは?」

「巡か。あいつらなら……ってあれ?さっきまで、あそこのクレーンゲームのところにいたのに」

「……そう。じゃあ、ちょっと寄って行こう?私、お洋服見たい!」

「え?……まあ、まだ時間あるし。いいよ」

「じゃあ行こう!ほら早く!」

「あ、おい!」


巡は俺の手を取り、服屋へと走る。

そういや、巡と手を繋いだのって小学生以来だっけ……

巡と手を繋いでいることを意識してしまった。

意識したのは……今が初めてかもしれない。

服屋に着くと、巡は楽しそうにたくさんの服を試着して俺に見せた。

その他にも、ペットショップに行ったり、プリクラを撮ったり、映画を見たりした。

そこで、少し休憩しようと近くにある椅子に座った。


「……えへへ」

「ど、どうしたんだよ。急に笑って」

「……なんか、デートしてるみたいだね」


その言葉を聞いた時、俺はドキッとした。

今まで全然巡を意識していなかったのに、今日手を繋いだ時から意識し始めている。

そうだ。俺だって男だし、巡だって立派な女の子だ。

今の状況でお互いを意識しないわけがない。


……どう答えればいいんだ?

返答に困っていると、ユリアが俺をじっと見ていることに気づく。

……なんか、怒ってる?

ユリアに睨まれている俺は、ますますどうすればいいか分からなくなった。

その時だった。


「……探」

「健吾!どうし……」

「お前もか?お前も付き合ってたのか?」

「え!?ち、違うよ。これは……」

「お前もリア充の一員だったのかーーー!!!!」


健吾が大声で叫ぶ。

まずい。健吾に憎しみの炎が纏っている!!

なんとか、怒りを鎮めないと……


「お、落ち着け健吾。話せば分かる!」

「問答無用!!」

「ちょ、ちょっと待て……うわあああ!!!」


健吾が全速力で俺を追いかけてきた。

俺も、健吾に捕まらないように逃げる。


「許さん……許さんぞーー!!」

「健吾!頼むから元のお前に戻ってくれ!!」

「あ、探!………もう」


俺は後ろを振り返ることはせず、急いでデパートの外へ出た。

健吾は……追ってこない。

どうやら、健吾から逃げることができたようだ。

デパートを後にし、俺は公園へと向かった。

誰か一人は来ていると思ったが、誰も公園には来ていなかった。

もう日が沈む頃だというのに……たぶん、まだデパートの中にいるのだろう。

もう一度デパートへ戻ろうとした時、


「探!……やっと追いついた。もう、置いてかないでよ」

「巡!悪い、健吾から逃げることだけ考えてたから」

「まだみんなデパートにいるの?」

「たぶんな。今から呼びに行こうと思ってたんだ」

「お二人とも、とても楽しそうでしたね!!!」


ユリアが不機嫌そうに言った。

やっぱり、怒ってるのか。

……その時だった。

俺たち以外誰もいない公園の中、女の人の声は聞こえた。

井戸の近くに行き、確かめてみると……


「きゃああああああ!!!」


女の悲鳴が聞こえた。

まさか……嘘だと思ってたのに……

だか、ユリアがその悲鳴を聞いて何か気づいたようだ。


「……ティーナ?」

「え?」

「ティーナ?ティーナでしょ!?」


ユリアはティーナと名乗る女性を知っているようだった。

ユリアはこちらの方に振り向く。


「今の声は……私の仲間のティーナです!探、ティーナを助けに行きましょう!」

「ま、待って!……もしかして、その井戸の中に入るの?」

「そうです!ここにハシゴがありますから降りられるはずです!」

「そ、そんな!その……心の準備が」

「お願いです!きっと、何かに襲われているのです!」


本当は降りたくない。

だって、井戸の中に入るんだぞ?

それに俺は怖いのは苦手だというのに……


「探、行こう!私も手伝うから!」

「え!?め、巡まで行く必要は……」

「ユリアちゃんの仲間なんだもの!助けに行くのは当然でしょ!」


……そうだ。仲間を助けるってユリアと約束したじゃないか。

巡だって、行くと言ってるのに……俺が逃げてどうする!

勇気を出せ!!恐れるな!!!


「……分かった。俺も行く!」

「決まりね。ユリアちゃん、行きましょう!」

「はい!」


おそらく、誰も入ったことがないであろう井戸の中。

俺と巡とユリアは、ユリアの仲間のティーナを助けるべく井戸の中へと入るのだった……



























次回は井戸の中でもう一人の妖精ティーナが出てきます!

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