表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕ら古代遺跡探検隊  作者: タカリンク
第1章 4匹の妖精編
6/9

第4話 登校日

本格的な世界の旅はまだ時間がかかりそうです……

ゴールデンウィーク最終日。

俺は、巡の宿題の丸つけを手伝っている。

もう夕方頃だというのにまだ巡は国語しか終わっていない。

丸つけするだけなので、巡が宿題をやっているときは漫画を読んで時間を潰していた。

だが、一向に進まない。

巡は集中力が切れたのか手を止めてしまった。


「探、他の教科全部やってくれない?」

「勘弁してくれ!やってなかった巡が悪いだろ?」

「ケチ!!」

「ええ……」


そう言いながらも、巡は宿題を続けた。

かなりの量が残っているので、今日中に終われるのかどうか心配だが、俺は手伝わない。

だって、普通に面倒くさいし。

まあ、徹夜でやれば終わると思うからたぶん大丈夫だろう。


「そろそろ暗くなってきたから、私帰るね」

「おう。宿題ちゃんとやれよ!」

「……分かってるわよ」


巡は、肩を落としながら家へ帰っていった。

今日でゴールデンウィークは終わりで、明日からは学校だ。

早起きができないから、今日は早めに寝るとしよう。

ドアをノックされ、妖精の子が部屋に入ってきた。


「サグル。私、考えたんですけど、古の秘宝を集めるより先に私の仲間を探そうと思うのです」

「仲間?古の秘宝を封印しにいった人たちのこと?」

「はい。ただ、私と同じように捕まっている可能性もあります。どこにいるかは私が探してみます」

「分かった。君に任せるよ」

「………」

「どうしたの?」

「……メグルのことは名前で呼ぶのに、私のことは名前で呼んでくれないんですね」

「え?」

「なんでもありません」


妖精の子は部屋を出ていってしまった……

確かに、あの子にはちゃんと『ユリア』という名前があっても、俺は『君』としか呼んでいなかった。

……名前で呼んでほしかったのか?

別に名前で呼ぶのに抵抗はないけど、そこまでこだわる必要があるのか?

よく分かんないや。

さて、父さんもそろそろ帰ってくる頃だし、晩ご飯を作らないと……

その後は、特に何かあるわけでもなく平和な一日だった。


そして、次の日……


「やばい、寝過ごした!遅刻はまずい!」

「サグル!かばん忘れてます!」

「ありがとう!そうだ、今日俺の父さん休みだから、くれぐれも俺の部屋から出ないように!」

「分かりました」

「それじゃ……ユリア、行ってきます!」

「!

い、いってらっしゃい……えへへ。初めて名前で呼んでもらえた」


ユリアが見つからなければいいけど……

父さんに見つかると絶対面倒なことになると思うし。

でも、父さん俺と同じで起きるの遅いし、少なくとも今は大丈夫だろう。

俺は、自転車に乗りながら中学校に向かって全力で走った。


俺が通っている『始発中学校』は家から自転車でも20分はかかるところにある。

歩くと1時間は確実にかかる。

本当は父さんに車で送ってもらうのが一番いいんだけど、せっかくの仕事の休みに早起きさせるわけにはいかない。


無我夢中で自転車をこぎ、チャイムが鳴るまでに学校に着くことができた。

急いで靴を履き替え、教室のところへ走る。

途中で先生に廊下を走るなと怒鳴られた気もしたが、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。

俺の教室は2階の2年F組。

一番遠いところにあるから、俺はA組だったら……と何回思ったことか!


なんとか教室の前に着き、ドアを開ける。

それと同時にチャイムが鳴った。

間に合った………


「よう、探!いつもギリギリですげえな!尊敬するぜ!」

「ほんとほんと!遅刻ギリギリ常習犯だよな!」

「尊敬するな!そして、変な呼び名をつけるな!」


俺に話しかけてきたのは門川(かどかわ)健吾(けんご)上山(うえやま)龍矢(りゅうや)

巡と同じく、幼稚園の時からの腐れ縁だ。

俺が遅刻ギリギリなのを、いつもからかってくる。

こいつらにも俺がどれだけ大変なのかを味わってもらいたい。

……まあ、早起きしない俺が悪いんだけど。


「いやー、宿題全くやってないわー。この世から宿題全滅しねえかなー」

「健吾またやってないのかよ。俺は昨日1日費やして全部終わらせたぞ。探はもちろんやってるだろ?」

「当たり前だろ。宿題はちゃんとやるからな」

「見せてくれ!頼む!」

「今日提出だぞ。そんなの無……」

「席につけー。ホームルームの時間だぞ」


先生が入ってきたので自分の席へ戻る。

朝の挨拶をし、先生の話が始まる。

今日の予定は、ホームルームが終わったら大掃除、その後は普通に授業。

先生の話はあまり興味がないから聞いていない。

何気なく窓の方を見ると、清々しいほどのいい天気だった。

ユリア……バレてないよな?


先生の話が終わったので、大掃除の時間だ。

教室のゴミが結構たまっていて掃除するのに少し苦労した。

その後の授業は特に言うことがない。

俺は、ただ早く終わらないかなーとしか考えていなかった。

そして、午前の授業が終わり、昼休みーーー


「なあ、聞いたか?隣の水馬(あめんぼ)市にある古い井戸から、女の人の声が聞こえるらしいぜ」

「お、おいやめろよ!俺、怖い話は苦手なんだ……」

「ああ、そうか。探、怖いのダメだったな。でも、俺ら明日の休日に、その井戸に行こうと思うんだ」

「探も来いよ!巡とか女の子も行くしさ!」

「お、俺も行くのかよ!?」

「大丈夫だって!ちょっとした度胸試しだからさ!」







……結局行くことになってしまった。

学校からの帰り道。

健吾や龍矢の誘いに断れず、俺は水馬(あめんぼ)市の井戸に行くことになった。

あいつら、俺が怖いの苦手なの知ってるくせにどんどん押してくるからな……

女の人の声が聞こえると言っていたけど、たぶん嘘だろう。

いや、本当に嘘であってほしい。

心霊体験をするのだけは御免だ……


あれこれ考えてる間に家に着いた。

自転車から降りて、玄関のドアを開ける。


「ただいまー」


ユリアは大丈夫だったかな?

父さんに見つかるなんてことはないはず……


「あ……おかえりなさい、サグル」

「おう、帰ったかサグル!冷蔵庫にお前の大好きなコーラ入れておいたぞ」

「な……なんで……父さんとユリアが一緒に……?」

「ごめんなさい。見つかってしまって……」


ユリアは父さんに見つかった経緯を話してくれた。

俺が部屋から出るなと言ったから出ないようにしてたけど昼くらいからトイレにも行きたいし、お腹は空いたしで我慢の限界だったらしい。

少し部屋を出るだけ……とドアを開けた時に、タイミングよく父さんが俺の部屋の近くを通っていたため、見つかってしまったというわけだ。


「びっくりしたよ。まさか、本当に妖精がいるなんてさ!

しかも、可愛いと来たもんだ!」

「か、可愛いだなんて……そんな……」

「探、ユリアちゃんから話は聞いたよ。古の秘宝を集めるのを手伝うんだってな。

だけど、俺はおまえを応援するよ!ユリアちゃんをこれからも助けてやってくれ」

「あ、ああ……分かったよ」


まさか、父さんが受け入れてくれるとは思わなかった。

でも、これはこれで好都合なのかもしれない。

俺とユリアは少し驚いたが、部屋に戻ることにした。


「ユリアちゃん!」

「は、はい」

「探を……頼んだよ」

「……はい!」


ユリアは嬉しそうに父さんに返事をしていた。




「……もしもし、母さん。聞いてくれよ、探がな……」





部屋に戻った俺はユリアに明日、隣の水馬(あめんぼ)市の井戸を見に行くことを伝えた。

もちろん、女の人の声が聞こえるということも。

父さんも仕事で家にいないし、家の留守番を頼もうと思ったのだが、


「私も行きます!他の皆さんにバレないようにしますので!」

「でも……」

「何かが分かるかもしれませんから。お願いします!」

「分かったよ。バレないように俺もフォローするから」


こうして、ユリアと俺は学校の友達と一緒に隣の水馬(あめんぼ)市の井戸へ行くことになった。























10pt突破!ありがとうございます!

次は目指せ!30pt!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ