表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話

私には、秘密がある。


大きな秘密を抱えていたと言っても過言ではない。


隠してた。


誰にも言う予定もなかった。


なぜなら、その後、本当は…


そんな私が抱えている秘密をあの日…



16歳。


高校に通っていて、たわいのない話を友達と話したり笑ったり、自分の席に着いて、教科書やノートを手にしたり、つまらない授業の話を聞きながら居眠りしたり、隣の席には、少し気になる男の子だったり…


放課後には、友達と、少しオシャレなお店に寄って買い物をしたり、


「ここの、パンケーキ、最高!」


そう微笑み合いながら、共感したり…


そんなどうってこともない日々を過ごしていても、毎日がキラキラとした楽しくて楽しくて…


でも、時には、友達と喧嘩なんかしちゃって…


「絶交だから!」


そんな言葉を浴びさせられたりも…


大体の人がこの道を通っていく。



しかし、私は、一握りの数少ない、一人。


好きだった人との間に…


出来てしまった訳で…



16歳。


その彼に打ち明けたら、呆然とした顔。


驚きのあまりか、何も発しない。


しかも、幹にシワを寄せており、眉も強張った、険しい顔つきである。


彼の両親からも


「ごめんなさい!本当にごめんなさい!」


「……」


謝罪されて、その申し訳なさそうな感じで、封筒を渡されたらしい。


私は、少なくとも、大きなショックを受けた。


もっと、喜んでくれると思っていたのに。一緒に。



16歳。


私は、決心をした。


自分のお腹の中にいる赤ちゃんを産むことを。


勿論、親からは、反対された。


その中でも、母は、唯一、私の味方でいてくれ、支えてくれていた。


しかし、その母が…


突然、身体を壊し、いずれは…


病気で、私から去っていった。


1週間、飲み食いせず、ベットの上で、布団に潜り込み、部屋は、カーテンが閉めっきりの真っ暗闇で、引きこもり状態であった。


流石に、1週間も経てば…


「ぐーぅ、ぐーぅ…」


お腹もなる訳である。


「うー…」


冷蔵から漁り、適当に口にした。


膨れているお腹を見て、触れた。


すると…


動いた気がした。


感動の一瞬だった。


だから、それでも、私は、お腹の子を…


覚悟して、産んだ。


産まれたての赤ちゃんを目の前にして、感動した。


感動のあまりか、目からは、涙が溢れ出た。



だけど…


寝る時間なんてなくて、お金もない私は、苦労していた。


やっと、寝てくれたと思ったら、夜泣き。


「うわわーぁ、うわわーぁ」


その声に起こされ…


面倒も毎日見て…


家の家事にも気を遣いながら…


部屋は、子供には、割れ物の飾り物を置かないようにしたり、テーブルも角のとれた丸っこくなったもの。


突然、走り出しても大丈夫なように、たくさん、座布団を置いて置いたり。



しかし、そんな育児に疲れ果てていた。



ある日、その子を連れて、散歩をしていた。


毎日、散歩は、している。


まだ、この子がお腹の中にいた時も。


それだけは、欠かさずに。


いつもの土手を通って、野球をしている少年達の姿を少しだけ、見て、家からは、少しかけ離れた公園に行き、


「かわいいですね!何ヶ月くらいなんですか?」


「8ヶ月くらいです」


「そうなんでね、今、私のお腹の中にもいるんですよ」


もう一人の子供なのか、男の人と遊んでいる。


お父さんだ。


その光景を見る度、複雑な気持ちが私には迫ってくる。


公園から出て、更に、少し歩く。


そして、そこには、踏切が。


カンカンカンカン、カンカンカンカン…


私の耳に、鳴り響く。


電車が、走ってくる音。


………



その時だった。その光景を見られてしまっていたのだ。


周りに、誰もいないと思っていたのに…



そこで、出会ったのが、彼だったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ