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瞑想迷走 蛙よ走れ  続  作者: らいのべーる
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月移りて 情に浮かぶ

 女性の話を聞いていく内に、なんの事もないことだと腰を落とす。


 行くにも行けぬその思いに足を滑らせ、嫁ぐ先にも顔をだせず、途方も暮れて舞い戻ったということだ。


 行くと決めた物事に、真に捉え迷い落ちれば昼の小道も歩けなくなるもの。ましてや暗い夜道ならなおのこと歩くことすらままならない。焦る滴る疑念の心に後悔、懺悔と繰り返し、渦中の底に落ちていく。


 あれ行ければ これ行けたら


 たられば胡椒に味付けし、盛大に卓に並べてはどれから手をつければいいのかわからなくなるというものである。一品一品皿を増やしあれもそれもと頼みすぎたことを悔やんでも、後々かかるお代が膨らむばかりで腹は一つも膨らまない。


 たられば 頼むか 飲み込むか


 たらればするほど大層なものか。何も得てない状況に狸の皮を数えても仕方がない。手元に何もないのなら狸も狐もいやしないのである。


 女性はポツポツと口を開いては涙を流し、今の全てに悔やんでいる。


 その姿にそれみたことかと腹を抱えて笑うほど冷たい情など持ってはいない。持っては相手の風呂敷一つで、己の情など荷物にもならない。けれど人の荷物を手に持てば、それは大きな包みとなりのしかかってくるものである。


 情に流され情に唄う


 感化される心の隙にあれよあれよと入り込み、いつの間にか隣で肩をかすのである。けれど、情に流され側へと寄るも人とは変わるものである。


 情は憑き物 心に鬼子


 決して人に冷たくするものではなく、人に優しくするだけが相手のためではないということ。悲観する心に蓋をし、投げる言葉に願いを込める。けれど、爪の甘さが災いを招くこともある。


 丈夫 丈夫 と嗜め先を見せるも、過去に顔を向ければ元にも戻る。そこで過去も嗜め先にすれば、過去は今なり今は先なりになるのである。


「どうして戻った?」


 肩を震わせ泣く女性に話をかけた。手に持つ風呂敷からカタカタと音が鳴る。


「親が決めた取り決めで、、、」


 嫁ぐ相手も決められず、迷い迷って底をうつ。時代の流れかしきたりか。見えぬ相手を思うほどそれほど怖いものはなにもない。人か獣か化け物かと良からぬものを思い浮かべて眉をひそめる。けれど、ぐっと手を握り打ち勝つものを手に持てば、鬼に鉄棒、虎に翼である。


「何をそんなに迷っている」


 怖いものには訳がある。それは己の内にあるのである。出すことすらままならずがんじがらめに封をしていく。


 女性は何も返事ができず、下を向いて唇を濡らしている。


 心の奥に引っ掛かる本音と建前、飾る化粧に見る化粧。弱気を見せることにいささか躊躇うことがある。それは納得しようとするが故に、言い出せなくなるもの。知らぬ存ぜぬと言い返されたらと、言葉を引っ込め、あなたのためよ と言われたらそれこそ重たい荷物と背負うことになる。


 口を閉ざす女性を横に、一つ話を振ってみた。己の経験、今に過去。


 もののためしに話をすれば、何かどうかときっかけを作ることができる。けれどそんな話は持ってはいない。持ってはいないが口が走る。


 説法説教 偽ることもまた善意


 己の話に伝わらないというのなら、誰ぞが言ったと三者の言葉にして聞かせてみるのも一つの手である。知らぬからこそ伝わるかと、思い思いに話し出す。


 愚痴も噂も知らないからこそ吐けるというもの。知らない人の話なら、そんな輩がいるのかと耳を傾け隙を見せるというものである。隙を見せれば此方のものと、そこから今をつつけばいい。そすれば自然と今を見つめさせることができるのである。


「、、と そんな男がいた」


 自分の不甲斐ない経験を他人に見せては話をした。女性は右から左へと流すように聞いては、一つ何かを得るように口を開いた。


「その人は 今何を、、、」


 それは私だ。と言えるほど肝は座ってはいない。座って居るのは裸の心。見せる見せない己の闇に、いつか晴れると願うばかりで人に胸はれるものではない。けれど、人の為にと奮い立てれば偽る己を作ることもできる。それは自分にも伝えることになるのである。


「その男はな、、、」


 暗い夜道に月が動き、黒い景色に色がつく。視界に見えずも移り変わる色に己の心も写し出していく。


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