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瞑想迷走 蛙よ走れ  続  作者: らいのべーる
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魚水あれば水心あり

 痛む足を庇いて進む。支えの柱に手を添えて、家の戸を叩いて待つも家の者は出てくる気配もまるでない。


 些か刻が遅いというが、灯りを点けて出てこぬこととは何事だと、離れて見る私の体はいてもたっても動き出す。


「ここは 代わりに」

「いえいえ それは困ります」


 戸を叩こうとあげる拳に両手を添えて、顔を振っては止めてくる。


 女性は溜め息を抑え、家の戸に目を向けては横に列なる部屋を見る。少し哀しく愁いに帯びた瞳に映る涙が浮かぶ。何がどうかと解らぬ事に、あげた拳の置き処。どうしたものかと慌てふためき、終う刀に鞘を失う。己の事ならどうすることも出来るが、誰ぞの事だとどうもままならない。


 旗に色つけ 茶を沸かす


 難色示す物事も、やり方次第で色を付けることができる。ここが何処だとわからなければ旗に色付け示せばいいだけである。旗色がないと探したところで、迷い迷って尻をついてしまうのである。尻をついた次いでに茶を沸かすのなら、次の一手も浮かんでくるが、朝飯前に茶を沸かすほど呑気な湯呑みは持ってはいない。あるのは小さな茶碗ぐらいなもので、それでも差し出す湯呑みはあるにはあるが、それは客人、差し出すものと決めている。


 女性は溜める涙を堪え、一つ足を引いては頭を下げ、家の外へと歩きだした。 


 どうしたものか


 この女性と出会ってから、どうしたものかと考える事が多くなった。己の事なら大抵なんとかなると、膝に手をつきあぐらをかくが、理由の解らぬ人の布団で寝ることは出来ないのである。はいはいそれはこういうことでと、招き通れば己の庭へと通じていくが、相手合っての話な上で、風呂敷の敷きかた次第で変わるというものである。それでもおもんばかってと酌を向けられ試されしても、斟酌するのは難しいのである。


 要は話しを聞かなければどうすることも出来ないのであり、一人ぐるぐる回るだけである。


 ならば どう聞き出すか


 何かを目利きに立たせてみても、それが何かと聞かれてしまえば、いや別にと目をそらせてしまう。けれど、いやこれはと食い下がり、部屋に上がることが出来ればようやく話ができるというもの。しかし私はそこまで強気に押し売りなどしたことがない。来るもの拒まず去るもの追わず。興がある上誘い入れることはたまにはあるが、そんなことはうるうの数しか覚えがない。


 己の思考に無いものは、相手にしてやることが出来ないのである


 ならば、己が欲するしてる事を相手にしてみてはどうなものか


 来て欲しい話して欲しいと思うなら、自ら話しをすればいい。聞きに来い近くに来いと思うなら、自ら側に寄ればいい。


「何があったかわからぬが、、、」


 家に背を向け縮こまる姿に言葉かけるも何もでず。弱く震える異性の心。どんな思いを巡らせてるかと、掴む風呂敷に力が入る。ならばと一つ閃いた。


「昔の話になるが、、、」


 来た道を戻る姿に話しをかけた。聞くも聞かぬも独り言のように。


 それは、辛い苦しい思いの人は口に出すこと出来ずにいる。一人になりたい一人でいたい。けれど、誰かと一緒にいたい。それでも口には出せないけれど、一人でいるより心地いい。


 女性に向けてあれはこれで、それはあれでと反応無くともそれでいい。何か掴むものがあればと、変わる心に呼び掛けていく。


「実は、、嫁いだ先から出てきたんです」


 女性は私の独り言に少し笑い、間を置いては自分のことを話し始めた。


 小さな声で話す女性の足元は月の光で薄く照らされている。


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