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わなびもり  作者: 世々チーク
第2章
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萌芽

「だーかーらー、さっきのXをそっちに代入すればい いの!」


「そう言ってもな、このXに入れても解けねーだ

 ろ。」


「それはさっき求めたでしょ!」


だんだんと教え方に怒りが篭ってきている葉月。

まぁ、いつも通りなんだが。


強いて違うところがあるとすれば、


「こっちのXはさっき求めた形で代入するんだよ。」


心咲にまで教わっていることだ。


葉月にさっきの数学の解き方を聞いてから山に行くと心咲に言ったら、

「今日は、ぼくも教える。」


と言って、2対1のような状況で教わっている。




大方理解出来たところで補習は終わった。


「葉月。最近山来てねーけど、来るか?」


「あ.....」

心咲が何か言いかけた。


葉月はと言うと、


「うーん.....今日はー.....いいかなぁ.....」


作ったような感じで微笑んでそう答えた。





山に到着たわけだが。

もうすっかり山に来るのが日課になってしまった

な.....。


「樹くん。今日も、奥行こ。」


「お、そっか。」


「樹くん、山来るの日課になった?」


「なったんだろうな。」




奥の池の方に着くと、心咲が昨日の木の実を採ろうと木に向かった。


「届かないなら無理すんなよ。」


心咲の身長ではなかなか実にまで届かないのは昨日でわかったので採ってやる事にした。


実際木の下まで来ると、結構池に近く、危ない場所に実っているようだった。


「樹くん、足元気を付けて。」


後1歩で池だった。


「危ねー。サンキュ。」


「この実、美味しいでしょ。」


「あぁ。結構甘くてうめぇ。」

.....。

今日のは酸っぱかった。





「植物は他の植物を好きになるなんてことはないよ

 ね。」


「まぁ、そうだな。」


心咲の話はやや難しい内容になることが多い。今日も例外ではないようだ。


「なのに、人間は他人を好きになる。」


「.....そうだな。」


あったかい上に難しい話されたら眠くなるのは自然

だ。

なんとか堪えて心咲の話を聞いていた。




すっ。


突然心咲が寄りかかってきた。


「心咲?」



「樹くん。君のこと、好きだよ。」


「えっ」


心咲は嬉しそうに笑っていた。





「帰るか。」

いつもの時間になったので声をかけてみた。


「明日からも、来てくれる?」

まだ寄りかかったままで心咲が聞いてきた。


「来るよ。他に用がなければな。」


「らしい答え。」


そう言って、心咲は立ち上がった。





その日から何日かした日の夕方。

訳あってその日は山に行かなかった。

どういうことか、会長から電話がかかってきた。


『樹くん?』

会長の声から焦りを感じた。


「なんかあった.....んすよね。電話してくるってこと

 は。」


『心咲が、帰ってこないの。』

ありがとうございました。

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