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魔王になろう(本当の異世界を少女と歩むMMO-RPG)  作者: Tand0
Saga 4 砂丘トトリーの戦い
42/52

逢いたくて~♪(J-POP頻出単語第一位

 夜8時。エンパイヤ帝国。帝都上空――


 私がいつものように西部黒鉄器の錫杖をほうきの変わりとして遊覧飛行をしていると、いつものように魔王(マスター)がログインしてきた。


 かけられる言葉は私と魔王(マスター)だけの秘匿通信(wis)


『で。ログインして早速ですまないけど、ジアちゃん。俺のいないうちにこっちに来たりしてないよね? してないよね?』


 私は不思議に思う。

 どうして魔王(マスター)はそんなことを考えたんだろう?


魔王(マスター)に言われてもいないのにそちらに行ったりはしていませんわよ』


『じゃぁ、あれは誰なんだろう――』


 悩むような声を上げる魔王(マスター)


『どうかなされたのです?』


『んー。何か学校に転校生が来てね』


『新しいご学友が増えたんですね』


『その娘に誘われて放課後に茶店に行ったわけよ。』


『その娘って、女?』


『ってあれ。どったのジアちゃん――。ソウデスガー』


 私の雰囲気が変わったのが伝わったのか。


『女と茶店に……』

『分かった。分かったから。ジアちゃん怖いよ。今度連れて行くから。な、おちついて! でかいパフェ食べさせてあげるから!』


『ありがとうございます。魔王(マスター)。それで?』


『えーっと、問題があってね。その娘。ジアちゃんにそっくりなんだよ。遺伝子レベルで、っていうのは本人の談』


『? 私に双子とかはいませんわよ?』


 そんなことがありえるのだろうか?

 しかも、遺伝子レベルで? 意味が分からない。


『なんでも俺はそこの娘に酷いことをしたらしいんだが、さーっぱり分からん。ジアちゃんなら何か知っているんじゃないかと思ったんだが――』


『?? あ、あぁああ!!』


『うぉ、どうした。ジアちゃん』


 その娘には聞き覚えがある。いや、読み覚えがある。

 そうだ。彼女は、彼女こそは黒の歴史書に載っていた私ではないのか。

 魔王(マスター)に呼び出され、好き勝手なことをやらさせて世界を破滅に導いたという私。ジア・スルターナ。


『いえ、なんでもありませんわ』


 しかし、それであれば彼女がなぜこちらの世界に来ているのだろう。

 そして、どうして私の邪魔をしようとしているのだろうか?

 もしかして、彼女も魔王(マスター)のことが?

 それは十分ありえた。なぜなら彼女は私なのだから。


『ねぇ。魔王(マスター)魔王(マスター)は私のこと、スキ?』


『お、おぉう。』


『そう……』


 唐突な確認だがその言葉に少しだけ安心する。でも油断はできない。

 今のは口だけだし。

 今まで魔王(マスター)は私に手を出してこなかったし。

 もし彼女が魔王(マスター)のことが好きだったとしたら、私は私に対してどう戦えばいいのだろう。


『ねぇ、魔王(マスター)。今度、その私と逢わせてくれない?』


『あぁ、いいけど……。どうやって――』


『私にちょっと考えがあります』


 まずはフレンドリストからGMコール。

 話は、それからだ。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 早朝。

 東横線で渋谷から幾つか駅を下った場所にあるアパートの1階。


 俺とジアはその場所に立っていた。

 表札には「夜上坂研究所」との記載がある。

 そこは、転校してきた七日野亜細亜の住んでいるアパートだ。

 「魔王になろう」の開発チーム、雷精霊達(サンダース)(オブ)技術基盤機構(カーネル)の秘密基地。


 俺とまるで恋人同士のように腕を組むのはジア・スルターナ。

 ジアちゃんはこの前買ってきた服を身にまとっている。

 さすがはセレクトショップ品か。白とピンクの配色で清楚な感じのシャツとスカートでまとめている。うん、白のワンピに麦わらとかもいいんじゃないかとか思ったのだが、この時期、ちょっと季節的に寒いんだよねー。


「なにがあっても私を守ってよね?」


 腕を強く身体に寄せてくる。

 かなり照れるが、この状況で手を離すという選択肢はない。


「あぁ、任せておいてくれ」


 俺は、覚悟を決め入り口のチャイムを押した。


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