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魔王になろう(本当の異世界を少女と歩むMMO-RPG)  作者: Tand0
Saga 3 少女と異世界を歩んだらこうなりました。
15/52

戦闘(前編)

 スラッシュ王国の王都、スラッシュ王城の王との謁見の間。


 立ち並ぶ重鎮達。

 1線に引かれる赤の絨毯。

 その間の中央で王の前で騎士の敬礼を取る俺、第三王子ケイン。


 不審な点はあった。


 王子であるのにも係わらず剣の帯刀を許されず。

 レイモンド以下配下の者の同行も許されない。

 だが、それは過去にもあったことだ。


「此度の戦果まことに素晴らしい」


 王が褒め称える。王の隣には宰相、および、第一王子。


「はは。ありがたき幸せ」


 王の前でひざまづく第三王子ケイン。


「これで名実共に我が国土は2倍。まことに喜ばしい。よって褒美を取らそう。南の領地街に住む子爵の姫をお主に――」

「お待ちください。魔族領攻略は私だけではなく、冒険者ギルドの方々の努力でー」


 焦るケイン。

 姫など貰ってしまえば冒険などできなくなってしまう。

 一瞬、今日冒険者ギルドに来たジア姫のことを思い出すが、彼女は隣国のそれも帝国側の姫だ。

 貰えば何が起こるか分かったものではない。


「はは。聞いているぞ、ケイン。おまえ、毎日女を侍らせて乱痴気騒ぎをしているんだってなー」


 王とケインの間に急に割り込む第一王子。


「いや――、それほどでは……?」


 急に割り込まれ、話についていけないケイン。


「ネタは挙がっているんだ。お前が魔族と繋がっているってことをな!?

 あれだけ広大な範囲、いままでどうあっても攻略できなかった土地。

 それをお前だけでなんとかできるはずがない。

 魔族と手を組み、ただ単純に引き上げさせただけではないのか?

 何が目的だ。言え。

 民衆を集める目的は? 英雄だの勇者など言われ、楽しいか? ケイン」


「はぁ……」


 言えるわけがない。

 魔族との取引なんてしていないのだから。

 第一王子はやけにやつれた姿で、声を荒げている。

 が、俺にはなぜそんな風に怒るのか理解できない。


「ケイン、それでは決定的な証拠を連れてこよう。

 おぃ! 丁重に連れて来い!」


 第二王子が指を鳴らす。

 脇の通路から少女たちが警備兵に連れられてでてきた。


「お、やっほー。ケイン。ついにお父様に合わせてくれるって聞いたけど本当?」


 その少女は始めて城に来て興奮気味のエアリだ。

 その姿はエルフの美少女。

 街中では妖精族(フェアリー)の姿は目立つため、人と合うときはエルフの格好になってもらっていたのだ。


 それと共に現れたのは魔術師の格好をした――ジア姫?

 なぜこの組み合わせなのか?

 なぜこの場にいるのか?

 俺には分からなかった。


「こやつ。魔術の力を用いて我らを守護する神聖なるエルフの姿になっているが、真の実態は違うということを俺は知っているぞ。すでに魔術師どもが確認済だ」

「あ? え!? ばれた? ばれちゃった? やばいねー。どうしようケイン」


 まずい。その言い方は――、早く第一王子の誤解を解かないと、と焦るケイン。


「ちょっとまて、違う! エアリは魔族などではない!」

「女好きのお前は、南の領地街(へんきょう)の女とでも乳くりあっていれば良いのだ。殺れ!」

「え? ケインに私以外の女? どういうこと?! ちょっとケイン――」


 完全に空気が読めていないエアリ。

 そのエアリの隣にいた兵士がいきなり短刀を抜き、エアリの心臓を――


「え??」


 短刀がエアリを貫こうとした、まさにその瞬間、その姿が掻き消える。

 隣にいた女魔術師が何かを唱えたのだ。

 エアリたちの姿は俺の前にその後突然出現した。


「なんだと……、高位転移魔術――」

「近づかないで。転移術で腕とか持っていかれたくなかったら」


 女魔術師が空間から錫杖を取り出し身構えた。


「西部黒鉄器だと! そのような酔狂な杖を掲げるお前は、まさか――」

「我が名は、帝国がスルターナ公爵家の第一王女、ジア・スルターナ!

 あなた、むちゃくちゃすぎます。

 こんな可愛い女の子が魔物なわけがないでしょう」

「ふ。見えたぞ。ケイン! 帝国の令嬢を捕まえて女にすることで帝国の威を狩り、この国をのっとろうというのだろう?

 名声を集め、住民からの支持を得ようとしたのはこのためなのか?

 お前ら、この裏切りものを切り捨てろ――」

「さっきは魔族がどうのこうの言っておいて、今度は私がダシ?

 言っていることが本当にむちゃくちゃになってるんだけどー」

「黙れ! しれものがッ」

「どっちがよ」


 衛兵に囲まれる俺たち。

 兵士の中には英雄と称されるケインを信奉するものも多数いるが、少なくともこの中にはいないようだ。


「ふふふ……。ははははははははは――」


 俺はこの絶対的なピンチに笑い出さずにはいられなかった。


「なにがおかしい」

「いやなに、こんなピンチだというのに、まったく倒されることが想像できなくてね。

 この後、エアリをよそにジア姫をどう口説こうか、とかしか思いうかばねぇ……」

「うわ最低……」


「ふ、武器もなしに吼えてもどうにもならんわ。衛兵! さっさと――」

「武器なら……あるさ――。残念だったな――」


 煌く星の長剣が虚空から飛び出す。


「ケイン。それは魔法か――」

「はは。魔法ですらないよ。この程度」


 その剣は10万の(ボルト)を抱く雷撃(ヒストリカル)(ブラック)

 非常に危険な破壊の振動が周囲に響き渡る。


「正体を現したなケイン! まさか王に刃を向けるとは愚かな。これでお前を殺しても何の支障もなくなった。さぁ衛兵どもよ! 斬れ! 斬り捨てぇ!」


 激しい≪威圧≫を受けながらも剣を抜く衛兵達。

 衛兵達は斬り掛かった。


 俺は剣を床に向けて咆哮。


竜破(ドラゴン)魅核凍陣(スレイヤー)!!』


 その瞬間、床全体に亀裂が走り、城が崩壊した。


「≪瞬間転移≫!」


 次の瞬間、ジア姫が魔術を唱え、俺たちは姿を消した。





「ぐ、こしゃくな……、ヤツラが逃げたぞー。追え! 追うんだー!」


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