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らぶんちゅ ~宇宙で一番君が好き~  作者: CoconaKid
第十章 瑠璃色の星 -宇宙で愛を叫べ
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 皆一斉に振り返り、入って来た人物も動きが止まって一人一人を見ていた。

 一瞬頭が白くなって記憶が飛んでいた。

 知っているのに咄嗟に見ると誰だか思い出せない、そんな状況だった。

 時間にして2、3秒のことではあるが、その後「あー」という叫び声が聞こえ出す。

「お前たち、ここで何をしている。月にいるのではなかったのか」

「ガース隊長こそ、宇宙ステーションからのお帰りですか」

 クレートの目が鋭く矢を放つようにガースを睨む。

「よく俺たちが月にいたこと知ってるじゃんか。それってジュドーの情報?」

 ジッロは持っていたグラスをテーブルに置いた。

 手をあけておくのはすぐに腰の銃に手をかけるためだった。


「ちょっとちょっと、ガース隊長とやら、あんたさ、よくもしゃーしゃーと艦にも戻ってこれるね」

 マイキーが挑発する。

「どういう意味だ。ここは私が所属している艦だ当たり前だ。そっちこそ、なぜここにいるんだ。またシド艦長が血迷ったのか」

「お父さんの悪口言わないで下さい」

 キャムは強く睨んでいた。


 ガースも馬鹿ではない。

 この状況を見て、キャムがとうとうシドと親子関係であることを知ってしまい、そしてシドはキャムをつれてネオアースに向かおうとしていることくらい読めた。

「ガース、一体何を企んでいる」

「クレート、お前ごときの青二才に、名前を呼び捨てにされる資格はない。私は君よりも年上だぞ、人を尊重することを習わなかったのかね。しかもここはスペースウルフ艦隊。貴様の船の上ではない。慎め」

「やだね、このおっさん。自分がこの船の重要人物だと思っているよ」

「ジッロ、よせ。我々が口を挟むことではないのかもしれない。シド艦長にお任せしよう。あくまでも我々はゲストという立場だ」


「クレート、一体何がいいたい」

「私は、今ここでガース隊長殿と争う気がないということです」

 嫌味をこめた笑みを浮かべつつ、慇懃無礼に答えていた。

「私と何を争うつもりだ。小ざかしい」

「あーもう見てられないな。あのさ、俺たちもうわかってるんだ。おっさんがネオアース側の人間だって。そんでキャムをエイリー族につれていくのを快く思ってないこともさ」

 マイキーがいった。

 しかし、開き直って、ガースは下品に笑い出した。


「何をいうかと思えば、そんなことか。それは当たり前じゃないか。宇宙の秩序を守るため、混乱をさけるためには、お前たちは何も分かってない」

「わかってないのはそっちだ。いいように利用するだけ利用して、自分は甘い汁を吸ってるんだろ」

 キャムが我慢できずに刃向かう。

「なんとでも言えばいい。君たちが何を言おうと私には堪えない」

 ガースはその部屋から出て行った。

「あれ、なんかあっさりだった」

 マイキーが拍子抜けしていた。

「あのおっさん一体何を考えているんだ。ここまで悪事がばれているのに、あの落ち着きぶりはなんなんだよ」

 ジッロは首を傾げていた。


「僕、ちょっとお父さんの様子見てきます」

 キャムが突然青ざめて何かを感じ取っていた。

 ドアを開け、通路にでて一目散に駆け出した。

 先ほど、出て行ったはずのガースの姿はすでに見当たらず、それがますますキャムを不安にさせていた。

「待つんだ、キャム」

 クレートもすぐに後をつける。

 キャムが何か不安を感じ、感覚を掴んだとき、それは何かの暗示でもある。

 キャムがエイリー族の血を引いている以上、そのような感覚が受け継がれているだけに、クレートもなんだか胸騒ぎがしてきた。


「おい、二人とも一体どうしたんだよ」

「とにかくおいかけるしかないじゃん」

 ジッロとマイキーも駆け出した。

 そしてその先の大広間では、ガースがすでに到着しており、それと同時に数人の兵士が銃をシドに向けていた。

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