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らぶんちゅ ~宇宙で一番君が好き~  作者: CoconaKid
第五章 咲いた恋心 -どうしてこうなるの!?
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 翌日のこと、和気藹々として食卓を囲み、和やかな時間が流れていた。

 クローバーが作った朝食を取りながら、コンサートに行くための衣装をモニター画面で皆で選んでいた。

 正式に本人から招待された以上、恥ずかしくないようにと貸衣装を借りることにし、それぞれ好きなものを選ぼうとしていた。


 マイキーが一番拘って些細なことでも気に入らないと、あれこれ口を挟み、ジッロがいい加減にしろと横でイライラしている。

 またいつものジッロとマイキーの言い合いが始まりそうだったので、クレートがサイズを確かめ、適当に選んでしまった。

 マイキーは不満だらけで文句をいうと、ジッロがそれを責め立て二人は結局言い合いを始めていた。

 早く事が済んだだけましだったと、クレートは完全に無視してどこかへ行ってしまった。


 キャムもいつものことだと気にも留めず、貸衣装のモニター画面をダラダラと見ていた。

 その時、ドレスのページが開き、ふとキャムはそれに目がいった。

 本当ならこっちを選びたかったと寂しげに見つめると、クローバーが優しく肩に触れて気持ちを汲み取ってくれた。

 それだけでもキャムは嬉しく思い、自分を理解して同じように秘密を守ってくれる存在のいることに心強さを感じていた。



 コンサートは夕方からなので、充分時間がある。

 それまでは自由行動となり、皆好き勝手な事をしだした。

 クレートは指令台に腰を落ち着かせ、静かにコンピューターを見つめながら宇宙情勢のニュースに難しそうな顔をしていた。

 マイキーはクローバーとチェスをしては、接戦を繰り返している。

 ジッロとキャムはそれを見ていたが、そのうちジッロが射撃の練習をすると部屋から出て行ったので、キャムも好奇心が湧いて一緒についていった。


「ジッロ、僕にも撃ち方教えてくれますか?」

「ああ、そうするって約束だったしな」

 二人は射撃ルームに入り、壁に掛けてあったシミュレーション用のコンピューターガンを手に取った。

 部屋の入り口付近にあったコンピュータのプログラムボタンを押すと、前方に的の映像が映っていた。


「最初はオーソドックスに撃つ感覚を練習だ。また慣れてきたら、どんどん標的を変えていけばいい。コンピューターでどんな標的も作り出せるんだ」

 まずはジッロがお手本で、的を撃つ。

 ガンから放たれた光は、ど真ん中を直撃していた。

「すごい」

 キャムは圧倒されて口をポカーンとあけていた。


「ほら、いいか、まずは安全ボタンになってる、この部分を軽く親指で引く。そして両手でしっかり持って腕がぶれないように脇を閉めるんだ。この後ろの部分の溝と銃口の前の部分の溝がぴったりと標的に重なるように位置を調整するんだ。準備ができたら迷わず、トリガーを引け。さあ、やってみろ」


 ジッロの言われた通りにキャムはやってみるも、初めてのことで、へっぴり腰でカッコが悪い。

 しかも標的に合わそうとするが、何度も左右、上下と手元が動いて定まらない。


「上手くやろうなんて最初は思うな。とにかくまずは感覚に慣れろ。怖がるんじゃないぞ」

 キャムはゴクリとツバを飲み込み、そして息を止めてトリガーを引いた。

 反動で体が後にそれたと同時に、その光線は、一瞬にして勢いをつけて飛んでいったが、的には当たらずじまいだった。


「ああ、全然違うところに行ってしまいました」

「別にいいんだよ、それで。まだ腰が入ってないんだ。もう少し足を広げて立つ位置を安定させてみな」

「ええっと、こうですか?」

「そうだ、そして腰を少し落す」


 その時ジッロはキャムの腰辺りに手を触れた。

 もとから華奢な体つきだが、思っていたよりも遥かにか弱いものを感じた。

 それに一瞬戸惑い、心臓がドキドキと打っていた。


「どうしたんですか。僕の構え変ですか?」

「いや、そんなことはない」


 ジッロは深呼吸で気持ちを調えてから、次に腕を支えてやった。

 キャムの体を後から抱くように支えているため、ほとんど密着した状態となり、ジッロは妙に意識してしまった。


──バカ、俺一体何考えてんだよ。キャムは男だぞ、男。そんで俺も男なんだぞ。


 ブルブルと首を横に振り、気持ちを入れ替える。

「よし、キャム、今だ、撃て」

 キャムの放った光線は、見事真ん中を射抜いていた。


「うわぁ、すごい。さすがジッロ。教え方上手いです。嬉しい。やっぱり真ん中に当たるって気持ちがいいですね。ジッロって撃って標的に当たる度にこんな気持ちになってるんですか?」

「そうだな、最初は誰でも嬉しいもんだ。そのうち慣れてコツがつかめたら、当てて当然になってくるもんさ」


 キャムは余程嬉しかったのか、キャッキャと我を忘れて歓喜している。

 それをかわいいと思ってみていることにジッロははっとしてしまい、思わず顔をゆがめてしまった。

──ありえない、ありえない。教えたのが俺だから、俺も得意になってしまっただけだ。


 なんだか自分でもわからなくなり、キャムの隣で我武者羅に銃を撃ちまくっていた。

 そのうち、体の中のもやもやした気持ちがどんどん露呈して、それを誤魔化すために「うぉー」と奇声をあげていた。


「ジッロ、どうしたんですか。なんかやけにハイになってませんか?」

「えっ、まあ、ちょっとアレだ。気持ちを発散してるだけだ。こうやると、集中力が高まるんだよ。気にすんな」

「そ、そうですか。それじゃ僕も。うぉー」

 二人して声を発しながら銃の射撃に暫く勤しんでいた。

 後に声を出しすぎたジッロは気疲れしてしまい、最後は床の上で座り込んでしまった。


「ジッロ、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

 とは言ってみたものの、内心穏やかではいられなかった。

──何やってんだよ、俺!

 バタンと後に倒れこみ、床の上で大の字になっていた。

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