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ヒューマンズ  作者: 石川十一
本章
6/37

時代と相違点

 西暦2025年。


 なんの前触れもなく、突如として7つある大陸全体の半分以上がこの世界から姿を消した。もちろんその大陸に存在していた人々も一緒に。


 世界は混乱した。大陸が一瞬で失われたことによってプレートは大幅な地軸のズレが生じ、その影響で各地で大規模な震災も発生し死傷者は数えきれないほどだった


 結果。


 人類はおろか、地球上に存在するほとんどの動植物が絶滅しかけた。



「そんな中」



 マリーの運んできた料理を口にしながら、ソウルは話を再開した。



「ある青年団が行動を起こした」


「青年団?」


「詳細は不明だが、本人らは『ZZ top』と名乗っていたらしい」



 ソウルは見た目通り食べる量が非常に多く、マリーは忙しなく台所とリビングを行ったり来たりしている。一方レイラは、口に入れたものを100回以上噛んで飲み込むというマイペースぶりだ。



「そこの長であるホジラとキャジラは、世界の混乱を少しでも抑えるために世界中に数人しか存在しないとされた『超人ファクター』を探すことにした。最終的に集まった7人で結成されたのが『ZZ top』だ」



 なんだか話がややこしくなってきた。逐一頭の中を整理しないと話についていけない。



「そのファクター、というのは?」


「常人には持ち得ない能力を持つ人間のことだ」



 こういう風にな、と言ってソウルは右手をこちらに見せてきた。指を閉じたり開いたり、を繰り返すと掌からは青白い炎が姿を現した。



「なっ・・・!?」


「今この世界に存在する人類のほとんどが、ファクターの血を受け継いできた者たちだ。我々ハドソン家の人間は火を制する血筋を受け継いでいる。マリーは嫁入りしてきたから能力は違うが」


「いや、説明多すぎますよ!もうなにがなんだか・・・」



 テレビでよく「超常現象特集」とか言って、特殊能力を持った人たちが次々と技を披露していくのを見たことがあるが、似たようなものと考えて良いのだろうか。あれはあれで、ヤラセの香りしかしないが。



「ホジラとキャジラを含む7名のファクターはそれぞれ、火、水、風、土、治癒、重力、時間といった能力を持ち、自由に操ることができる能力を持っていたとされている。しかしその能力も時代と共に変化、派生し、今では7つどころか数万を超える種類の能力が発見されている」


「ほらね」



 マリーさんがテーブルの上に飾ってある赤い花に触れると、それはフッと姿を消した。そこには水の入ったガラス容器しかない。花は跡形もなくなっていた。



「あたしは『物をこの世から消すことができる』。意識のある人間とか動物は無理だけど」


「レイラも私と同じで火を制御することができる。レイラ」


「うんっ」



 元気な返事と共に、レイラは両手の掌から炎の渦を創り出した。それを細長く、輪っかのように複雑に変化させて手元で遊んでみせた。


 対する秋五は唖然とするしかなかった。



「今でこそ当たり前に能力が使われているが、はるか昔……君の時代はこういった能力自体あまり見慣れないものだったと聞く」


「ええまあ。少なからずテレビでそういった現象が特集されることもありましたが、信憑性はだいぶ薄かったですし」


「……テレビ?」



 テレビを知らないのか? まあ見たところ、周囲には現代の電子機器等はないようだが。



「ああ、と・・・そしたら携帯電話なんかも・・・?」


「ああ、本になんとなく載っていたので名前くらいは知ってはいるのだが、実物を見た事がなくてな。もちろんこの時代に存在もしていない」


「なるほど・・・」



 文明的に言えば、現代よりもこちらの時代のほうが遅れているようだ。さきほど人類もほぼ絶滅しかけたと言っていたし、そういった方面に詳しい人がいなかったということなのだろう。2025年の大災害から数百年も経過しているのだ。一人でもそういった方面の知識がある人がいたら携帯やテレビはおろか、人が瞬時に移動できたりする機械なんかも発明されただろうに。それこそ、能力でなんとかできてしまうかもしれないが。


 

「それはともかくとして、だ」



 大量の朝食の上に話しながらだったため、ようやく食べ終わったソウルはフォークを置き、ナプキンで口を拭いた。



「君はどのようにしてこの時代に辿り着いたんだ?」



 ……そう言われましても。

話がややこしすぎて自分でもあんまり理解できていません。

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