魔物狩り
早速、秋五とレイラは平原へと躍り出た。
「今日の目標は?」
「まずはウィードかなー。下級種族の中でも最下級だし」
酷い言われようである。
「ウィードっていうのは?」
「イノシシみたいな感じかな? 少し獰猛なくらいで、すぐ狩れると思うよ!」
イノシシというだけで狩れるとは思えないのだが。それが少し獰猛になってしまっては、もう何も出来る気がしなかった。
「よっし狩るぞー!」
「うん。がんばってね」
魔物狩りについて何も知らない秋五は、とりあえずレイラの手並みをじっくりと観察していることにした。魔物狩りの手順として重要視されるのは、倒した後に行われる素材の剥ぎ取りである。魔物によっては、その身体から生成される素材が日用品や武具に利用できる物もあるため、よくチェックしておく必要がある。ソウルの受け売りだ。
「お、さっそくいたよ」
「……結構でかいんだね」
そこには秋五が知っているサイズの1.5倍ほどの大きさのイノシシの姿があった。なんか角も生えているし、まともに戦っても太刀打ちできるようには思えない。秋五がレイラの後ろでビクビクしていると、レイラは物怖じする事なくウィードに突っ込んだ。
「それじゃあさっそく!」
レイラは思い切り右腕を振りかぶり、掌に創り出した球体の炎をウィードに向かって放り投げた。炎に思い切りジャストミートしたウィードは断末魔の叫びを上げると共に、その身体は多少の間を置いてグズリと崩れ、やがて跡形もなくなった。完全にホラーである。
「なんか案外あっさりなんだね」
「まあ弱いからねー」
実に哀れなり。心の中でウィードに黙祷を捧げた。
「しかし身体が崩れちゃったってことは、ウィードから取れる素材はないってことか」
「いや、実はあるんだなーそれが!」
そう言ってレイラは崩れ落ちたウィードがいた場所へ駆け寄った。その後ろから秋五も続く。
「これこれ!」
「どれどれ」
レイラの手にあったのは青く光り輝く小さな水晶体だった。日光に反射して、その青さは一層濃さを増している。
「なんだこれ」
「これは『核』だよ。ウィードの身体をあの形に保つために必要なんだ。だからウィードを倒す時は、一定のダメージを与えるかこの核を引っこ抜くかってところかな」
「なるほどね。ちなみに、その核を回収したってことは何かに利用できるってことなの?」
「武器とか作るときに、あると便利らしいよ。詳しいことはお父さんに聞かないとわかんないけど」
そうしてレイラの初の魔物狩りは成功した。
「よーしどんどん行こー!」
「え、まだ行くの?」
「もちろん!あと十匹は狩るよ!」
「まあ狩るのは俺じゃないけどさ」
この後、二時間以上に渡りレイラの魔物狩りに付き合わされた秋五であった。
最近肩こりが酷いのです。