家庭で仲良くなる仮定の過程
「…」
「…」
「………」
「………」
「お前さん…」
「うん…」
「掃除したこと、あるか?」
「何年ぶりかなー」
「…掃除はもういい。これ以上散らかさんでくれ」
「いやでも、段々楽しくなってきたし」
「そいつはな、片づかなくて苛々している証拠だ。気分が昂ってるんだ。落ち着け。ちょっと休んどけ。早い話が、現状をより悪化させるな」
「洗濯機は何処にある? 洗剤は? 蛇口もないって? ハ? 手で洗え? 井戸から水を汲んでこい!? …やってられるかー!! 引き籠もりニートを舐めんなよ!!」
「………」
「腹減った」
「…」
「お腹減ったー」
「…、」
「耳をかじる」
「んヒィ!? ……あ〜もぉーっ!! 集中できんだろうが! 二、三日くらい我慢しろ!!」
「できるか!! 一日三食おやつ付きは常識中の常識!!」
「…(ダメだ。ちっとも役に立たないばかりか、はっきり言って邪魔でしかない。やっぱり送り返そう)」
「…寝入ったか?」
「Zz…」
「やれやれ、せっかく喚び出したんだから少しは活用しよう…なんて考えるんじゃなかった。まったく…、奴隷くんの寝床を地下に置いたままにしていたのは正解だな。方円は喚び出した時のを使い回すか」
「Zz…」
「ろくに働いてもいないのにいびき掻きやがって…。まあ、このアホ面もこれで見納めだ。次に喚び出されるのが、コレよりも使い物になればいいんだが」
「Zz…」
「家事全般できるのは必須として、できれば年若い女性、巨乳に眼鏡も外せんよなぁ…。フフ、胸が…いや夢が膨らむな」
「Zz…」
「それじゃあ始めるか―――っと、その前に、方円の構成を送還の式に書き換えんと………、あれ」
「…、」
「あれ? ここに置いといた塗料は何処だ? 下か? 床に置いたりはしないんだが………ああ!? え、うそ、なんで、誰、ぎゃあああ?!」
「うわ! ……なんだよ。静かに寝かせてよ。まだ夜更け、」
「ぅおい!! お前さん、床に描いてあった方円をどうした? まさか消したのか!?」
「んあ? …掃除しろって言ったじゃん」
「ぐわ! 掃除は地上階からしろよ!! 塗料は!? まさかアレまで…ッ」
「あー、ちょっとぶつかってひっくり返したけど、ちゃんと拭いて捨てたよー…」
「………………。お、お前、あれを、精製するのに、どれくらいの、期間と労力を、掛けたと………。こ、こンの厄介者がぁぁぁ………ッ!!」
「あー、うん…」
「………」
「…、オヤスミ☆」
「ブチッ」




