引っ越したアパートの部屋が広い
部屋が広い
進学のために都会のアパートの一室を借りて、荷物を運び込んだ。
えっちらおっちらと、運び続け、一休憩したのがいまだ。
3月だというのに、太陽がさんさんと照り輝いているおかげで、汗だくで寝転んでいる。
敷いたばかりの敷物が汚れるけど、口うるさく注意してくる親がいないので、別に少しくらい大丈夫だと思って、転がり続けた。
それにしても部屋が広い。
下見で何度か訪れた時はそんな事思わなかったのに。
前の住人が何かやらかしたのか、飲み物らしきしみがついた天井をぼうっと見つめる。
浮かんでくるのは未来の事と、過去の事が交互。
これからどんな生活が待っているのかとか。
今までどんな生活してきたっけな、みたいな。
妄想パートでは、色々な人に囲まれて笑う自分の姿が思い浮かんだ。
回想パ―トのしめくくりには、趣味にあけくれるばかりのこちらの将来を心配した親が、受験勉強に何とか興味を持たせようとして、あれこれやってきたなーーなんて事が最後に浮かんだ。
つい先日まで私が住んでいたあの家は、かなり古かった。
この天井にシミがついたアパートなんて問題にならないくらいに、すごく古かった。
壁がうすいし、床も天井も、どこもかしこも傷んでボロボロ。
だから、家のどこにいても家族がいれば、その気配や音を感じられた。
でも、ここは防音設備だけはしっかりしているらしく、しかも近所も騒音を生み出すようなものなんてこれっぽっちもないようで、しんと静まり帰っている。
だからだろうか。
物理的な広さなんてなんら変わっていないというのに、部屋が広い。
と再び思ってしまった。




