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35話 決着

粗木田は上機嫌であった。


なにせ厄介な相手である春山からの東京退去の連絡が来ていたからだった。


「春山警部、まさか本当に要求を飲んでくれるとは思っていなかったよ。」


「飲まない方が良かったのか。」


「いやいや東京から退去する決断をしてくれて、嬉しく思っているよ。」


「それで俺はどうやったら20億の小切手を受け取れるんだ?」


「はっはっは、春山警部、君ほどの人間でもお金の魅力には抗えなかった訳だ。」


「東京退去の証明が必要だろう。すぐに静岡県の笠歌で撮った写真をそちらに送ろう。」


「その必要はない。」


「どういう事だ?証明は必要ないというのか?」


「証明はしてもらうさ、写真外でな。」


「今すぐにココダヨのアプリをダウンロードしろ。」


「ココダヨのアプリだと?」


「そうだ、すぐにダウンロードしろ。」


「分かった。」


「ダウンロードは済んだか?」


「ああ。」


「ではすぐに俺のスマホのフレンド登録をしろ。」


「フレンド登録だと。」


「いいから早くするんだ。名前も番号もどちらも知っているだろう。」


「ああ済ませたぞ。」


「よしそれじゃあスマホをそのまま好きな場所に置いて立ち去れ。」


「なんだと?写真で確認しないのか?」


「このご時世、画像の加工なんてアプリがあれば素人でも簡単にできる時代だ。いくら写真を撮ってこちらに送ってもらった所で何の証明にもならないんだよ。」


「だからスマホを置いて立ち去れと言っているんだ。ココダヨのアプリを起動したままな。それでそちらの現在地を確認する。君の現在地に偽りがなければ、君の口座に入金させてもらうとするよ。」


「写真ではダメなのか?」


「ダメだ、いますぐにココダヨのアプリを起動させた状態でスマホを置いた状態で立ち去れ。」


「これはお気に入りのスマホなんだが。」


「スマホなんざまた買えばいいだろうが、春山警部君はこれから20億を手に入れるんだぞ。スマホの1台や2台気にする必要はないだろう。君の居場所を確認したらすぐに君の口座に入金を行う。」


「それとも何かスマホを手放せない理由でもあるのか?」


「いやちょっともったいないと思っただけだ。」


「警察の給料とは比較にならない大金なんだぞ。」


「ああ、そうだな。」


それから少ししてココダヨのアプリを起動させると、春山警部の位置情報は静岡県笠歌市が表示されていた。


「君が静岡の笠歌にいてくれて本当に良かったよ、もう君の口座に入金しておいたから安心してくれ。ああもう離れているんだったな。」


粗木田は大きな高笑いをしていた。


「よしこれで俺の計画を邪魔する者はいなくなった。自由に動き回れるぜ!!」


「さてと連中はどう動くかな。」


俺はすぐにネットでの情報収集を始めた。


「なるほどこちらも思惑通りだ。世界経済開発会議が中止になった以上は各国首脳は必ず退避するはず。退避するのは各国の政府専用機が置いてある降田(おりた)空港に向かうはずだ。あとはここに先回りすればいいだけ。」


「ふははははは!!これでやっとこの大いなる神の粗木田様がこの世界に君臨できる。」


粗木田はすぐに降田空港に向けて動き出したのだった。


1時間後、粗木田は降田空港に到着した。


「各国の政府専用機のまだ待機しているな。もうすぐ各国の要人達がここに国外に避難する為にやってくる。その時に守護霊を各国トップに取り憑かせれば、はれてこの粗木田様は世界を統べる神となるわけだ。」


粗木田は空港の搭乗口へと先回りしていた。


「さあ早くやって来い!!各国の首脳達よ。」


「そううまくはいかないぞ!!」


「なんだと。」


そこには信じられない光景があった。


春山が空港の搭乗口に姿を現したのだった。


春山警部の視点


粗木田は大いに驚いているようだった。


「春山!!なぜ貴様がここに?お前は静岡県の笠歌にいたはずだ。」


「なに簡単なトリックさ。別のスマホをもう1台用意して協力者に静岡県の笠歌まで行ってもらった上で俺がそのスマホから話して協力者に何も声を出さずにもう一方のスマホから俺の声を流してもらったのさ。そして後はその協力者にスマホを置いてきてもらっただけ。それを粗木田、お前は俺が静岡県の笠歌にいると勘違いしてくれたわけだ。」


「馬鹿な、それじゃあこの大いなる神の粗木田様がココダヨのアプリを使うように指示するのを最初から読んでいたというのか。」


「そういう事だ、粗木田、お前の考えそうな事ぐらいお見通しって事さ。」


「舐めた事をしやがって、春山!!」


「お金はちゃんと返金するから心配するな。最もお前のお金ですらないんだろうがな。」


「テメエ、刑事のくせに人を騙すような事をしていいのか?」


「お前のようなイカれた凶悪犯罪者を捕まえるためならなんだってするさ。」


「大いなる神の粗木田様だと何回言えば分かるんだ!!」


「だから言ってるだろうが粗木田!!お前はただの頭のおかしい凶悪犯罪者なんだよ!!」


「大いなる神を愚弄する事ばかりしやがって、上等だ。こうなったらここでテメエを倒してやるよ。その上で各国の首脳達を守護霊を使って操れば問題ない!!」


「それは無理だ。」


「無理だと?」


「お前がこの降田空港で待ち伏せしているのが分かったんでね。柳田局長が各国の首脳達に粗木田がここで待ち伏せをしている可能性が高いと知らせたのさ。各国の首脳達は陸路で別方面にバラバラに避難している所さ。だからこの降田空港には各国の首脳達は絶対に来ないぞ。」


「なんだと!!俺がこの計画にどれだけの労力をかけたと思っていやがるんだ!!本当に余計な事ばかりしやがって!!春山!!」


「粗木田!!イカれたお前の計画が阻止できて本当に良かったよ。」


粗木田は激高していたのだった。


「テメエだけは絶対に許さねえぞ!!春山!!」


すると粗木田の後ろからたくさんの空港職員が姿を現したのだった。


粗木田が大声で絶叫する。


「テメエだけはテメエだけは絶対に殺してやる!!!!春山!!」


空港職員達は棒やバッドや板や鉄パイプなど持って、こちらに襲い掛かってくる構えを見せた。


これは粗木田が守護霊を使って空港職員達を操っているのだろう。


空港職員達は虚ろげな眼をしていて、生気を感じられなかった。


「行け!!春山を殺せ!!」


粗木田の後ろから武器を持った空港職員達が襲い掛かってきたのだった。


空港職員達を傷つけるわけにはいかない。


なにせ粗木田に操られているだけなのだから。


俺は走ってくる男性の空港職員をギリギリまで近づいた所で、一気に体をそらしてその男性の足を払った。


男性は態勢を崩して床に倒れ込んだ。


更にその後ろからさらに男性職員がやってきたので、その男性職員を背負うと、そのまま投げ飛ばしたのだった。


すると粗木田が俺に向けて銃を向けて発砲しようとしてきたので、即座に銃を構えて発砲したのだった。


「させるか!!」


俺の放った銃弾は粗木田の構えた銃に命中して、粗流木田の銃は遠くに弾き飛ばされたのだった。


「くっ!!」


俺は襲ってくる空港職員を体術でかわしながら、粗木田に近づいていった。


粗木田の顔は激高した表情から、恐怖の表情へと変わりつつあった。


「来るな、こっちに来るな!!」


粗木田は何とか空港職員達を使って俺を倒そうとしたが、俺は粗木田の前まで到達したのだった。


「お前の負けだ!!観念しろ粗木田!!」


すると粗木田は懐からナイフを取り出して、最後の抵抗を見せた。


「この大いなる神の粗木田様は絶対なんだ!!」


粗木田はナイフで切りつけてきたが、俺は難なくかわして粗木田を一本背負いで投げ飛ばしたやった。


粗木田が床に叩きつけられたのだった。


俺はすかさず粗木田に手錠をかけた。


「粗木田哲也!!警察官及び多数の市民を殺害した容疑で逮捕する!!」


「クソ、クソ、クソ!!!」


粗木田は悔しそうに顔を床にうずめていた。



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