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34話 動画投稿

「動画投稿というと?」


「粗木田が動画サイトに二つの動画を投稿したんだ。春山警部にも確認してもらった方がいいと思ってな。」


「そうですね、そうさせてもらいます。」


俺はPCを操作して海江田本部長が送ってもらったアドレスから飛んで粗木田が投稿したという動画の再生を始めた。


どこかの会議室のような広い場所で粗木田が画面中央に映っていた。


「ごきげんようこの世界に害虫としてのさばっている愚かなゴミ共よ、この世界に新たに降臨した大いなる神の粗木田様である。お前達はただたくさんいるだけの価値のない愚かなゴミ共だ。これは覆せない大いなる真実である。一方のこの大いなる神の粗木田様をこの世界に降臨した初めての大いなる神である。当然の事ながらこの世界にのさばるお前達にはこの粗木田様を崇拝する義務があるのだ。この世界は今後この大いなる神の粗木田様によって統治されるのだ。いくらお前らが世界を埋め尽くしている害虫で愚かなゴミ共であっても、この大いなる神の粗木田様がこの世界に降臨した以上は世界中の害虫共は大いに喜ばなければならないのだ!!」


「にも関わらずこの大いなる神の粗木田様を恐ろしい殺人鬼として逃げ回るは、凶悪犯罪者として全国指名手配するは、そういう行為がこの大いなる神の粗木田様への冒涜にしかならない事がなぜ分からない!!いいか愚かなゴミ共がそれを行えば非道な殺人となるのだ。だがこの大いなる神の粗木田様が行えばそれはそれは殺人ではないのだ。この大いなる神の粗木田様が行えばそれは大いなる旅立ちであり、大いなる救済となるのだ!!だから愚かなゴミ共はこの大いなる神の粗木田様によってたくさんの者達が大いなる旅立ちができた事に祝福と感謝をしなければならいのだ!!この大いなる神の粗木田様がこの世界に降臨するという事はそういう事なのだ!!愚かなゴミ共は今すぐにこの認識に改めなければならないのだ!!」


「今日この大いなる神の粗木田様がこの世界に新たに君臨するにあたり、この世界は新しい一歩を踏み出す事になるのだ。今世界経済開発会議に出席している世界各国の首脳達とこの大いなる神の粗木田様との会談を要求する。世界各国の首脳達は警護を含める全て武装解除した上で、天谷会議堂まで単身で来るように。なに世界各国の首脳達にとってもこの世界に降臨した大いなる神の粗木田様と会談する事はとても有意義な事だ。きっとこの世界にとって重要な時間を過ごせるだろう。そうそう言い忘れていたが、先ほどまでこの大いなる神の粗木田様はこの首都にて救済を行っていた。」


「奇跡の行幸というやつだ。神というのはその場にいるだけで救済を行ってしまうものなのだ。大いなる神の粗木田様の行幸ともなればその救済も大きなものとなる。ミヤダパークにて1731人の害虫とミッドスカイタワーにて2242人の害虫、そして新化学博物館2557人の害虫でしかない者達がこの大いなる神の粗木田様によって大いなる旅立を行えた。これも全ての大いなる神の粗木田様の奇跡と言えるだろう!!もし世界各国の首脳達が天谷会議堂に現れなければ、この首都にてこの大いなる神の粗木田様は奇跡の行幸を続ける事になるだろう。この東京に巣くうたくさんの愚かなゴミ共の命が大いなる旅立ちを行う事になるだろう。もし害虫共の命を大事に思うなら、世界各国の首脳達が天谷会議堂に来てくれる事を期待している。ではさらばだ。愚かなゴミ共よ。」


この動画を見た田島警視は唖然としていた。


「なんだ、この動画は?何を言ってるんだ粗木田の奴は?」


「たぶん犯行声明のつもりなんでしょう。」


「これは犯行声明と考えていいのか?何を言っているのかさっぱりなんだが?」


「まあ要するに世界各国の首脳達に天谷会議堂に来させることを要求しているんです。ミヤダパークやミッドスカイタワーでの大量殺戮を起こしたのは自分だと認めた上で、各国の首脳達が天谷会議堂に来るまで、この東京での大量殺戮を続けると脅しているんですよ。」


「卑劣な事ばかりしやがって!!粗木田の奴め!!」


「しかしいくら粗木田が東京で大量殺戮を続けると脅したところで、果たして各国の首脳達が単身で天谷会議堂に行くだろうか?」


「行かないでしょうね、世界各国の首脳達が粗木田みたいな一犯罪者の要求に応じるわけがない。」


「それもそうか。」


「そういえばもう一つ粗木田は動画をあげていたのではないか?」


「ああ、そうでした。あまり気は進まないがそっちも確認しますか。」


俺達はもう一つの動画を見る事にした。


PCにてその動画の再生を始めた。


画面には粗木田が映っており、どこかの広い会議室のような場所で撮影されているようだった。


「春山警部ごきげんよう。この世界に君臨するべき大いなる神の粗木田様だ。この大いなる粗木田様は今回立ち上がる事を前々からずっと決めていたのだ。いいかい春山警部、この世界を埋め尽くしている害虫共の巣くうこの世界は大いなる神であるこの粗木田様によって統治されてしかるべきなのだ。だが春山警部、君にはその事を理解できていないようだ。だからここで忠告をさせてもらおうと思う。」


「春山警部、君のような人間はこの東京にいてはいけない。すぐにでもこの東京から出て行くべきだと思う。私と春山警部では残念ながら相いれないようだし、お互いが東京にいるのは良くない事だと思う。それはお互いが不幸になるだけだと思うからだ。そこで春山警部の為にプレゼントを一つ用意させてもらった。20億円の小切手だ。これがあれば一生遊んで暮らせるぞ。どうだ、春山警部、東京から出ていってくれないだろうか?君にとっても悪くない話だろう。大金が入ってくるうえに平和に暮らしていく事ができる。この大いなる神の粗木田様は春山警部、君との共存共栄を図りたいと願っている。是非前向きに考えてほしい。君がこの東京から出て行ってくれればすぐにでも20億円の小切手をすぐに送らせてもらう。よろしく頼む!!」


動画はそこで終わっていた。


俺のPCを隣から見ていた田島警視に尋ねた。


「これは俺へのメッセージみたいですね。」


「みたいだな。やはり粗木田の奴は相当に春山警部を恐れているようだな。あの粗木田がここまで下手に出てくるとはな。だが粗木田はこんな事をしても無駄だと分からないんだろうか?春山警部が粗木田の誘いに乗るはずがない。」


「とはいえ春山警部、どうしたものだろうな?このままでは東京での粗木田による大量殺戮が続いてしまうだろう。いっそ警視庁に総力をあげて動いてもらうか。警察官を万単位で動員させればさすがの粗木田も困り果ててしまうのではないか。」


「それはあまりお勧めはできないですね。粗木田にとっては相手が何人かは関係ありません。人の数はむしろアドバンテージですらあります。ミイラ取りがミイラになりかねません。」


「やはりほとんど打つ手がないな。」


ふーむ、俺はずっと考え込んでいた。


「どうしたんだ?春山警部?」


「いや、粗木田は何を狙ってこの動画を投稿したんだろうと思いまして。」


「膠着状態を打破しようとしているんだろう。粗木田は藁もすがる気持ちでこの動画を投稿したんじゃないか。粗木田は八方塞がりだからな。」


「もしかして」


俺にある考えが浮かんできた。


俺はすぐにSNSのトレンドを調べてみる事にした。


SNSの画面をPCに表示した。


俺はSNSのトレンドを確認して納得がいった。


「なるほど、そういう事か。」


「何か分かったのか、春山警部?」


「これが粗木田の狙いだったんです。」


SNSのトレンド欄には大量殺戮やミヤダパーク変死事件や大いなる神の粗木田様など関口の話題で持ち切りになっていた。


「ミヤダパークで1700人が殺されたらしいぞ。」


「1700人が殺されたとか、ありえないでしょ。」


「ニュースじゃすでに大騒ぎになってるぞ。」


「えっ、冗談じゃないの?」


「本当の事らしいぜ。」


「あの辺見晴らしもよくて、緑も多いから好きだったんだけど。これじゃあ怖くて行けないわ。」


「てか犯人は粗木田らしいぜ。」


「粗木田ってあの指名手配中の殺人犯でしょ?」


「ああ、その殺人鬼の粗木田がミヤダパークの事件を起こしたらしいぜ。」


「でもいくら粗木田が殺人鬼と言っても、1700人なんて一人で殺せる人数じゃないでしょ。」


「それがさ、殺人鬼の粗木田の犯行声明がアップされてたんだよ。粗木田が自分でやったって言ってるんだ。間違いないだろう。」


「それ本当なの。」


「ああ。」


「なあ粗木田ってテロ組織の親玉かなんかなのか?」


「さあわかんねーけど。」


「俺達も粗木田に殺されてしまうのかな?」


「おい変な事いうなよ。」


「そうだよ、やめてよ。」


「怖すぎる。」


「決めた、もう家から一歩も出ない。」


俺は田島警視に話しかけた。


「見ての通りです。」


「SNS内も大混乱のようだな。」


「ええ首都圏は大きな混乱状態にあると言えます。これが粗木田の狙いなんです。」


「関東圏に住む人々を恐怖させる事が狙いなんだな。」


「いえ真の狙いはそこではなく。」


そこに扉が開いて一人の年配のスーツ姿の男性が入ってきた。


「大変だ、田島警視。」


俺と田島警視は急いで立って敬礼する。


「や、柳田局長、お疲れさまです。」


「敬礼などしなくてもいい、それよりも一大事だ。」


「ここ数日、一大事な事ばかりが続いていますが。」


「まあ確かに一大事が続いてはいるな。」


「話を折ってすいません、何があったんでしょうか?」


「それが世界経済開発会議の中断が決定された。」


「なんですって。」


「東京の治安情勢が急激に悪化している事が、各国に伝わったようだ。」


「東京での大量殺戮事件がすでに何件も発生していますからね。こんな状況では継続するのは無理でしょうな。」


「それじゃあ世界経済開発会議を中止に追い込む事が粗木田の目的だったという事か?」


「ええ、粗木田は首都圏での大量殺戮事件を何件も起こす事によって、世界各国の首脳達に東京の治安が悪化しているイメージを植え付けたかったんでしょう。」


「という事は粗木田はこれを狙って動画を投稿したという事か?」


「恐らくは、世界経済開発会議に出席している要人達は東京の治安が急激に悪化している上に、粗木田に自分達が狙われていると分かれば悠長に会議を続ける事はしないだろうと粗木田は考えたんでしょう。」


「なるほどな。」


「しかし春山警部、粗木田は世界開発会議に出席している世界各国の首脳達が狙いな訳だろう。そんな事をしたら粗木田の目的達成はできなくなってしまうんじゃないのか?」


「すでに粗木田にとって目標達成は困難になっています。世界開発会議が行われている住山スパイヤービルには近づけなくなっている上に、俺達が都内を監視カメラで目を光らせているからろくに動く事すらできなくなった。だから東京の治安悪化の印象を与えて、各国首脳達を住山スパイヤービルから動かそうと考えたんでしょう。」


「なるほどな。」


「春山警部、これは粗木田の思い通りなのか?」


「はい柳田局長、これは粗木田の思惑通りだと考えられます。」


「ならば各国首脳達にはしばらく動かないでもらった方がいいか?」


「いえそれは難しいと思います。各国の判断もありましょうから。」


「そうだな、うーんどうしたものか。」


柳田局長はどうするか困っているようだった。


「柳田局長、ご心配はいりません。むしろ逆に今は好機だと思われます。」


「好機、どういう事だ?」


俺はある作戦をみんなに提案した。


「この作戦どうでしょうか?」


「悪くない作戦だな。」


「分かった、春山警部君の提案を採用しよう。必ず粗木田を捕まえてくれ!!」


「もちろんです。」

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