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33話 息つかぬ攻防

一方のこちらは粗木田


東京の字東区にあるバルマービルに潜伏していた。


「全く、まさか春山の奴が世界経済開発会議の会場まで駆けつけてくるとは思わなかった。今は身を潜めて次のチャンスをうかがうしかないだろうな。」


粗木田は自分がバルマービルに潜入すると、守護霊を使ってビルの中にいた人間の半分を拳銃で殺して半分は自分の手駒にしていたのだった。


このビルの1階部分は吹き抜けになっており、2階や3階の階層は1階が吹き抜けのおかげでよく見えるようになっていた。粗木田はその2階で次の作戦をどうするかを考えていた。


「次はどうするかな?」


するとキイイイと扉が開く音がした。


「あん、誰かがビルに入ってきたようだな。」


粗木田はすでにビルにいる人間を全て操っていたので、このビルは自分の物だと思い込んでいた。


「全くこのビルはすでにこの大いなる神の粗木田様の物になってるんだ!!静かにならなきゃ考えがまとまらないだろうが!!従業員だろうが誰だろうがこの大いなる神の粗木田様の時間を奪う事など許されないのだ!!また拳銃で殺しておくとするか。」


粗木田は階段で1階まで降りるとビルに入ってきた人間に大きな声で叫んだのだった。


「おい!!ここはすでに大いなる神の粗木田様のビルなんだ!!誰だか知らないがとっととこっちに来やがれ!!拳銃でサックと殺してやるよ!!」


だが聞きたくもない声が聞こえたのだった。


「粗木田!!」


そこには信じられない光景が広がっていた。


ビルの入り口には春山の奴が立っていたのだ。


そして俺の姿を見るなりこちらに全力で走り出してきたのだ。


「は・・春山!!」


なんで春山がここにいるんだ!!


「観念しろ!!粗木田!!」


春山はダッシュでこちらに迫ってくる。


これはヤバイ。


「ゴミ共!!俺の前に立ち塞がれ!!」


俺は守護霊で操っている人間を使って、春山との間に人間の壁を形成した。


「くそ、なんで春山の奴にこの場所がバレたんだ?今は逃げるしかない!!」


大いなる神の粗木田様は大急ぎでロビーを走り抜けてビルの外に出た。


後ろから春山の大声が響いてきた。


「粗木田!!!」


あれだけの人数をもう振りほどいてきたのかよ。


一気に春山との距離が縮まってきた。


まずい!!このままじゃ捕まる。


大いなる神の粗木田はビルの外を歩いている通行人に向かて銃を乱射する事にした。


大いなる神の粗木田様の銃の乱射によってゴミカス共が何人も倒れ込んだ。


俺はそいつらを放置してそのままダッシュで逃げた。


ビルとビルの間を縫うように走り抜けていった。


そして後ろを振り返ると春山の姿は消えていた。


通行人共を銃で乱射したおかげで何とか逃げ切れた。


ふん、春山はあのゴミ共の救助活動をしてるんだろう。


ふんあんなゴミ共助ける価値もないのに、馬鹿な事をする奴だ。


「しかし、なんで春山にこのビルにいるのがバレた。派手には動いていないからバレないはずだが。」


すると俺の目の前に1台の監視カメラに目が行った。


「くそ!!春山の奴!!監視カメラのライブ映像から俺の守護霊を探しやがったんだな!!それでここを見つけやがったんだな!!くそ!!余計な事ばかりしてくれやがって!!春山!!」


実はさきほどこのような事が話し合われていた。


「なにお兄ちゃん?」


「青い守護霊を監視カメラのライブ映像からでも見る事はできるか?」


「たぶん大丈夫だと思うけど。監視カメラの映像の中に映ってれば分かると思うけど。」


「そうか。」


「どうしてそんな事を聞くの?」


「粗木田は青い守護霊を使って人々を操っている。という事は各地の監視カメラのライブ映像を確認して、青い守護霊が映っていれば、粗木田はそのカメラの近くにいるとみていいだろう。それなら理沙に監視カメラのライブ映像から青い守護霊を探してもらえばいいんじゃないかと考えてな。」


「なるほどね。いいよ是非やらせて、お兄ちゃん。」


「おもしろい手とは思うが、都内の警視庁が管理している監視カメラだけでも数万台になるはずだ。理沙さんにこれらの監視カメラのライブ映像を全て確認するのは物理的に可能なのか。」


「理沙のいる会議室に大画面のモニターを20台も用意してもらったうえで、十秒なり20秒なりで別のカメラ映像に切り替わるようにしてもらえばいけるかと。」


「すまないがモニターの用意ぐらならできると思うが、数十秒で別のカメラの映像に切り替えていくのはこちらでは無理だぞ。」


「海江田本部長殿、モニターの設置とケーブルの差込さえしてもらえば、監視カメラ映像の切替はこちらで行うから、ご安心を。」


「そうか分かった、ならすぐにモニターを準備するとしよう。」


そして海江田本部長達が大急ぎで会議室にたくさんのモニターを用意してくれたのだった。


「モニターの準備は整った。」


「では映像を20秒ほどで切り替えさせてもらう。どうだろうか、理沙さん?これぐらいの切替速度で?」


「はい、問題なさそうです。このままお願いします。」


「では理沙、よろしく頼む。」


「うん、任せてお兄ちゃん。」


ただ春山警部はこの作戦でも粗木田を捕まえる事はできずに、通行人の救急搬送を手配した上で、住山スパイヤービルの警備本部まで戻らざるおえなかった。


「すいません、粗木田の奴には逃げられてしまいました。」


「仕方ない、次のチャンスに粗木田を捕まえればいいさ。」


「そうだよ、お兄ちゃん。また私が見つけるからさ。」


「すまない理沙、世話をかける。」


俺達は引き続き同じ方法で粗木田の捜索を続けたのだった。


だが今度は思うようにはいかなくなっていた。


理沙とスマホで連絡を取り続けていた。


「理沙、どうだ?青い守護霊は見つけられないか?」


「ごめん、お兄ちゃん。青い守護霊ずっと探し続けているんだけど、見つけられない。」


戻ってから数時間の間、理沙に全面協力をしてもらっていたが、粗木田の動向がピタリと見つけれられなくなっていた。


「粗木田の一切の動きが掴めなくなったな、どういう事だ。」


「粗木田の奴、今度は守護霊自体も使わずに身を潜めているという事か。」


「そうなると、もう探しようがないですね。」


「こうなってくると、粗木田と俺達の根競べになってくるな。」


すると誰かのスマホが鳴り出した。


そして田島警視が電話に出たのだった。


「大変だ、春山警部!!東京都の西堀区のミヤダパークにて変死体が発見されたようです。」


「変死体?」


「ミヤダパークにて拳銃で頭を撃ち抜かれたと思われる変死体が発見されたそうだ。」


「なんですって?」


「ミヤダパークといったら都内でも有数の観光スポットですよ。」


「ああそのミヤダパークで1700人以上の変死体が見つかったそうだ。」


「ミヤダパーク内で1700人もの人々が拳銃で頭を撃ち抜かれた状態で発見されたというんですか?」


「ああ、そうだ。さらに悪い知らせがある。」


「まだあるんですか?」


「手立区のミッドスカイタワーでも変死体が発見されたそうだ。」


「ミッドスカイタワーも東京都で有数の観光スポットですよ。」


「ああ、そのミッドスカイタワー内にて2200もの拳銃で頭を撃ち抜かれた変死体が発見されたそうだ。ミッドスカイタワー内は血で真っ赤に染まっていたそうだ。」


「しかしどういう事だ?ミヤダパークとミッドスカイタワーの事件は犯行規模や殺害方法からして粗木田が犯人の可能性が高いが、こちらでは動きを全く掴めていないんだぞ。どうやって粗木田は我々に気づかれずに移動したんだ。」


「そうですね、ずっと理沙が捜索を続けてくれているのに。」


「ごめんね、お兄ちゃん。見落としがあったって事だよね。今度は見落とさないように気をつける。」


それから2時間後、理沙は全力の捜索を続けてくれていたが、粗木田の痕跡を発見できずにいた。


そしてまた田島警視の元に別の事件の報告が届いた。


「別の事件が発生した。新波区の新科学博物館にて2500人の変死体が発見されたようだ。その変死体はすべて頭を拳銃で撃ち抜かれていたそうだ。」


田島警視は頭を抱えていた。


「くそ!!何が起こっているんだ?」


「これは粗木田は俺達の監視の目をすり抜けていると考えた方がいいのかもしれない。」


「粗木田の奴、なにか自分の動きを隠蔽できる方法でも思いついたというのか?」


「そうだな粗木田はこちらの監視をかいくぐっていると考えた方がよさそうだ。しかしどうやって動きを隠蔽している?」


俺は少し考えてみた。


そしてすぐに一つの考えが思いついた。


理沙にスマホ越しで確かめる事にした。


「理沙、一つ尋ねたいんだが、青い守護霊と言うのは壁越しでも見えるものなのか?」


「うーん、見えない事はないんだけど、壁越しだとかなり見にくくなるかな。」


「なるほど、そういう事か。」


「お兄ちゃん、方法が分かったの?」


「ああ、粗木田はたぶんトラックで移動している。」


「トラックでか?」


「はい、自分で運転しているのか、トラックジャックをして運ばせているのかは分からないが粗木田はトラックの荷室に守護霊を乗せて移動しているんだろう。トラックの荷室の中に青い守護霊を隠されてしまってはさすがの理沙でも見つけられないという訳だ。」


「それで青い守護霊が全然みつけられなくなってたんだ。」


「だからたとえ高速道路の監視カメラが粗木田の乗ったトラックを映し出したとしても分かるのは運転席までで荷室の中までは分からないという事さ。」


「粗流田もなかなか知恵を絞ってくるな。」


「とはいえ幽霊っていうのはトラック一台で何千体も運べるものなんですか?」


「幽霊には質量がないですから、その気になれば何体でも乗せる事ができます。」


すると田島警視がこう言ってきた。


「粗木田がこちらの監視網をかいくぐっている以上は同じ作戦を続けるのは意味がなくなったのではないか?」


「いや粗木田を発見できるこの調査方法が有効である事はまだ変わっていません。」


「だが粗木田がトラックで移動していては理沙さんでも発見できないんだろう。」


「確かに、でも粗木田がトラック以外で移動すればまだこの方法で発見できるはずです。」


「だからすでに粗木田はそれを回避するためにトラックで移動を始めていると言ったのは春山警部じゃないか。」


「田島警視、要するに粗木田がトラックでの移動を躊躇させればいいんですよ。」


「トラックでの移動を躊躇させる、一体どうやって?」


「さきほどの3つの変死事件はそれぞれ都内の別の区で起こっており、距離もそれなりに離れた場所です。」


「確かにそうだが、それがなんだというんだ?」


「首都高速と都内の自動車専用道路を全て封鎖するんです。」


「なんだって??」


「首都高速と自動車専用道路を全て封鎖されれば、下道に車が集中して大渋滞が起こります。」


「確かに大渋滞が起こるだろうが、それがなんだっていうんだ?」


「大渋滞が起これば粗木田は自由にトラックを動かせなくなります。粗木田の足を奪う事ができます。粗木田が我々の捜索方法をかいくぐる唯一の方法がトラックでの移動なんです。このトラックでの移動を封じれば、また捜索システムで粗流木田の居場所を見つける事ができるようになります。」


「なるほど、考えは分かった。ただ春山警部、そんな事をすれば都内いや関東圏全域の物流や経済に大ダメージが出てしまうぞ。」


「このままでは粗木田に都民の命が弄ばられ続けます。それよりは。」


「確かにな、よし分かった。首都高及び首都の自動車専用道路は現時刻をもって全て封鎖する。」


田島警視の命令ですぐに首都高速と首都の自動車専用道路全てが封鎖されたのだった。


これは粗木田も困ったようでここから9時間ほど何の事件も起きずに過ぎたのだった。


「全く動きがない。」


「膠着状態だな。」


「粗木田の奴も慎重になっているな。」


「春山警部、大変だ。」


「海江田本部長、どこかでまた変死事件が起きましたか?」


「いやそういうわけじゃないんだが。」


「そうなんですか、それじゃあ何があったんですか?」


「実は粗木田は動画を投稿をしてきたんだ。」

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