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22話 水死

50分ほどで九是山警察署に到着すると、車を駐車場に止めて警察署の中へと入っていった。


九是山警察署では署内が騒然となっていた。


どうも九是山警察署の一階の男子トイレが現場のようで、規制線が張られていた。


俺と理沙はその規制線の前へとやってきた。


すると後ろから声を掛けられた。


「春山警部でよろしいでしょうか?」


俺が後ろを振り向くと若い背広姿の男性が後ろに立っていた。


俺はすぐに返答を返す。


「ああ、そうだが。」


「お電話を差し上げた栗林刑事の同僚の千田です。」


「君が千田刑事か。」


「千田刑事、栗林刑事に何が起こったんだ?」


「ここで話すのもなんですので、私のデスクまで移動しましょうか。」


千田刑事に促されるまま、俺と理沙は千田刑事のデスクまで移動した。


そして千田刑事のデスクの前で千田刑事が説明を始めてくれた。


「6月15日の午前4時10分頃の事です。交通課の警察官がトイレで用を足す為に1階の男子トイレにやってきた時の事です。その警察官が男子トイレの洗面台で死んでいる栗林刑事を発見したんです。」


「死因は分かっているのか?」


「司法解剖したわけではないので、断定はできませんが、口や肺や食道には水がいっぱい入り込んでいたので恐らく水死だと思われます。」


俺は一番の疑問を千田刑事に尋ねた。


「なあ千田刑事、トイレの洗面台で水死などありえないと思うんだが?」


「一応うちの警察署の一階のトイレの洗面台は水を貯められるタイプで水さえ貯めておけば顔を水の中に沈める事も可能なので、水死ができないわけではないんです。」


「あんな小さいスペースで水を貯めた所で一体誰が溺れて死んだりするんだ。トイレの洗面台で溺れて死んだなんて聞いた事がない。」


「ええ私も信じられないんですけど、信じざるおえないんですよ。実際に栗林警部の肺からは水がたくさん入り込んでいますからね。水死の可能性が高いとは思います。」


「栗林刑事が誰かに殺された可能性はないのか?」


「それもちょっと考えにくいんですよね。」


「というと?」


「わざわざ警察署の中で殺人をする犯人がいると思えないんですよね。」


「まあ確かにそうだが。」


犯罪を起こして一番捕まる可能性が高い場所は間違いなく警察署の中だろうからな。


「だが警察署の中で犯罪が起きる可能性がゼロって訳でもないだろう。」


「はい、もちろん物証もあります。だからこうお答えしています。」


「これを見てもらえますか?」


千田刑事はそう言うとPCを起動させてある動作の再生を始めた。


その映像にはどこかの廊下が映し出されていた。


「これは警察署の1階トイレ前に設置されている監視カメラの映像です。まず午前3時58分に栗林刑事が一階の男子トイレへと向かっています。」


「確かに。」


その映像には確かに栗林刑事が男子トイレの方に歩いていくのが確認できた。


そして千田刑事が映像を早送りを始めた。


そして少しして再生に戻したのだった。


「そして午前4時09分に別の警察官が同じく男子トイレへと向かっています。この間およそ11分です。前後の映像も確認しましたが栗林刑事とこの第一目撃者の警察官以外に誰も男子トイレには向かっていないんです。」


「そして午前4時13分にはさきほどの警察官が大慌てで他の警察官を呼びに戻っています。」


確かに千田刑事の言う通り、栗林刑事とその警察官以外の姿は誰も映っていなかった。


「誰かが男子トイレの窓から侵入した可能性はないのか?」


「それはありえません。1階の男子トイレの窓は3つありますが、3つとも子供でも通る事ができない小ささなんです。あの1階男子トイレの窓からの人間が通り抜けるなんて絶対に不可能です。」


「ふーむ、確かに他殺の可能性はかなり低そうではあるがそれでそのまま自殺という事になるのか?」


「春山警部の言う通り、洗面台で誤って溺死なんて聞いた事がありません。つまり事故死の可能性もほぼないという事です。となると自殺という判断にならざるおえないかと。」


「確かにそうだが、だが栗林刑事が死ぬ理由が全く見当たらないだろう。」


「そこは自分もおかしいと思ってるんですよ。栗林刑事が死ぬ理由が全くないと。」


「とにかく今現状で分かっているのはそのぐらいですかね。」


「それでは今度はこちらからお尋ねしますね。春山警部と理沙さんは栗林刑事とお会いになっていたそうですが、その詳細を教えてもらえますか?」


俺は理沙と一緒に千田刑事にその時の状況を説明した。


「なるほど、栗林刑事に春香さんの事件で捜査協力をしていたんですね。」


「ああ春香さんの残していた映像から何か得られないかと思ってな。」


「その時に栗林刑事に何か変わった様子はなかったですか?」


「特に変わった様子はなかったと思う。」


「私も特に何も感じませんでした。」


「そうですか。」


「よく分かりました、聴取は以上で終了です。ご協力ありがとうございました。」


すると理沙が申し訳なさそうに千田刑事に尋ねた。


「あのうこんな状況で聞く事ではないとは思うんですけど、春香の事件の捜査はどうなるんですか?」


「そうだな、栗林刑事がこんな事になってしまったら、やはり捜査は中断になってしまうだろうな。」


「ああそれは大丈夫です。春香さんの事件は私が引き継ごうと考えていますので、ご安心ください。」


「千田刑事が引き継いでくれるのか?」


「はい、栗林刑事から事件の事は詳しく聞かされていたので、自分が適任かと思いまして志願するつもりでいます。」


「そうかそれは助かる。」


「さすがにすぐには無理ですが、なるべく早く事件を引き継ごうと思っていますので、ご安心ください。それと以後春香さんの事件の連絡は自分にして頂きますようにお願いします。」


「春山警部、理沙さん、わざわざご足労頂きありがとうございました。」


千田刑事はそう言うと警察署の入り口まで送ってくれた。


俺達は訳が分からないまま警察署を後にした。


そしてそのまま理沙と共に車に乗り込んだ。


俺は理沙に話しかけた。


「何がどうなってるんだ、栗林刑事が警察署の洗面台で入水自殺?意味が分からない。なあ理沙?」


だが理沙からは意外な言葉が返ってきた。


「お兄ちゃん実は今回の事で思い当たる節があるんだ。」


「そうなのか?」


「うん。」


「たぶんあれは私とお兄ちゃんと栗林刑事の3人が攻撃されたんだと思う。」


「攻撃?何を言ってるんだ理沙、俺も理沙も襲われたりなんかしてないだろう。」


「攻撃ってそういう意味じゃなくて、心霊的な意味合いでだよ。」


「つまり呪いをかけられたっていうのか?」


「うん、たぶん呪いとか生ぬるいものじゃないと思う。呪いというよりはむしろ祟りと言った方がいいのかもしれない。」


「つまり理沙は、俺達と栗林刑事が祟られたと言いたいわけか?」


「うん、そう。」


「でもそれだったらおかしくないか?なんで俺や理沙は無事なんだ。」


「私とお兄ちゃんにはヒスキ様がついてるから。」


「つまりヒスキ様の御加護で俺達は難を免れたという事か?」


「うん、たぶんね。」


そうだな、理沙はヒスキ様に仕える神主でありヒスキ様に愛されてもいる。


理沙には常識では考えられない神秘的な力を持っており、ヒスキ様の強力な御加護があるからそこらの悪霊やらが理沙に手を出すのはそもそも無理なのは知っている。


「実はお兄ちゃんと同じ夢を私も見てたんだ。」


「そうなのか?」


「うん。私もひたすらお前は死ななければならいって囁かれる夢を見てたんだ。」


「俺達が悪夢を見たのと、栗林刑事が死んでしまったのとどう関係するんだ?」


理沙は言葉を選びながら話してくれた。


「えーと、私とお兄ちゃんはヒスキ様の御加護のおかげで悪夢を見るぐらいで済んだんだけど、栗林刑事には祟りがちゃんと効果を発揮して、入水自殺をしてしまったんだと思う。」


「ちょっと待ってくれ、理沙には確かにヒスイ様の強力な御加護があるとは思うが。俺にもヒスイ様の強力な御加護があるのか?祟りを跳ね返せるほどの。」


「お兄ちゃんは自分では感じられないとは思うんだけど、私と同程度の御加護がお兄ちゃんにもついてるの。」


「そうなのか。」


俺なんぞにヒスイ様の強力なご加護をしてくれていたとは、ヒスイ様に感謝しないといけないな。


「お兄ちゃんと私にはヒスイ様の強力な御加護があった。でも栗林刑事には御加護がなかったから祟りの攻撃がそのまま通ってしまったんだよ。」


「理沙、祟りと簡単にいうがこれはとんでもない事だぞ。」


「うん分かってる、呪いは人が祟りは神様が行うものだからね。」


「よほどの事をしてどこかの神様に恨みをかってるって事だからな。攻撃してきた神様は相当に強力だったんだな。」


「うん、相当に強力な祟りだったんだと思う。」


「だけど一番の問題として、理沙、何か祟られるような事をしたのか?」


「いや全く心当たりないんだけど。」


「それとも俺の方がどこかの氏神様を怒らせるような事をしてしまったんだろうか?」


「それもないよ、お兄ちゃんは今まで一度だってそんな事はしてないよ。」


「それじゃあ栗林刑事がか。」


「今となっては調べようもないけど、そんな事をするような人には見えなかったけど。」


「俺もそう思う、たぶん栗林刑事はそういう事はしないと思う。」


「だったらならなおの事、理沙や俺や栗林警部が祟られる理由が分からない?」


「そうなんだよね。」


何もないという事は絶対にないはずだ。


俺達はどこかで怒りを買ったから祟られているわけで。


しかしこれはなんというか。うーん。なんだろうかこの違和感。


この違和感はどこから来るんだろうか。


なんだろう、捜査ではよく感じている気がするんだが。


「そうか!!」


俺はある事を思いついたのだった。


「理沙、昨日の倉庫に行ってみよう。」


「えっ?」


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