20話 見つけた場所
俺達はその後も動画を確認しながら春香さんのあの日に行っていた心霊スポットの場所を順々に訪れていき最後の場所までやってきていた。
「おかしいな、この九是山トンネルで終わりだよね。」
「ああ、映像の最後はここの映像になっていた。」
「でもたぶんここでもないと思うんだよね。」
「あの映像の中で回っていない心霊スポットはもうなかったよね。」
「ああ映像に映っていた場所で訪れていない場所はないはずだ。」
「となると私の考え違いだったのかな。」
「それも考えにくいんじゃないか、だったらこの付箋はどう説明するんだ。このメモリには要追加調査という付箋が付けられていた。春香さんが気になっていたから要追加調査の付箋を貼ったんじゃないか。それにこういう時の理沙の直感はかなりの確率で当たるからな。」
「お兄ちゃん、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。市内の心霊スポットはほぼ全て見て回ったと思うし、私が間違ってたかもしれないよ。」
俺はふとある考えが思い浮かんだので、理沙に尋ねてみた。
「なあ春香さんも理沙みたいに霊能力が使えたりするのか?」
「えっ?うん春香も結構強い力を持ってたみたいだよ。幽霊なんかもしっかり見えるって言ってたし。」
「そうか。」
ならこういう事かもしれない。
「もしかして春香の付箋に書かれていた要追加調査って心霊スポットじゃないんじゃないか。」
「えっ?」
栗林刑事も訳が分からない様子で俺に聞いてきた。
「春山警部、つまり春香さんの目的地は普通の観光地って事ですか?」
「ああそうだ。いやもしかしたら観光地ですらないのかもしれない。どこかの事務所とか工場とかはたまた住宅街とかかもしれない。」
「お兄ちゃん、確かにその可能性はあるとは思うけど。それだと九是山市内は結構広いから探せないんじゃない。」
「そうですね、それだと数が多すぎて調べようがないかと。」
「そこで理沙に提案なんだが。今度は全く同じルートで回ってみないか?」
「春香さんはカメラをずっと回しっぱなしで撮影していたみたいだから、どこのルートを通ったかもちゃんと記録されている。」
「確かに春香の通ったルートとは違うルートを通ってきてるから、何かを見逃している可能性はあるね。うん分かった、やってみよう。」
「それじゃあまた九是山大滝に向かおう。」
俺達は九是山市内を春香さんが使ったルートを使って車で走っていった。
すると九是山大滝から九是山ダムのルートで理沙が反応したのだった。
「ちょっと待って!お兄ちゃん!!」
「何かを感じたのか理沙?」
理沙は頷きながら俺に答えた。
「うん、たぶん見つけたと思う。」
そう言うと理沙は少し先にある場所を指さしながら言った。
「お兄ちゃん、あそこにある建物に行ってくれない?」
俺は理沙が指さした方角を見ると、大きな白い倉庫のような建物があるのが分かった。
「あの白い建物だな、分かった。」
「うん、お願い。」
俺は理沙の指示通りに車を走らせたのだった。
「ここでいいんだよな?」
「うんありがとう、お兄ちゃん。」
「理沙さん、この倉庫に何かあるんですか?みた感じ普通の倉庫みたいですが。」
だが理沙は栗林刑事の問いかけには答えずに黙り込んでしまった。
目を瞑り精神を研ぎ澄ませていた。
「栗林刑事、すまないが少し待ってくれるか。理沙は精神を研ぎ澄ませているから。」
「あっ、はい。」
そして理沙がその白い倉庫をしばらく凝視してから俺達の方に振り返った。
「お兄ちゃん、たぶんここで間違いないと思う。」
「ここか。」
俺達がやってきたのは白い大きな建物が建っている敷地の前だ。
白い大きな建物は大きな倉庫のようで、トラックが乗りつけて荷物を下ろせる場所がいくつも用意されていた。
白い大きな建物の周囲は広い駐車場になっており、まるで舗装したてのようにデコボコもない駐車場だった。
「ここは何かの倉庫ではあるようだが?」
「ここは増当田物流の倉庫ですよ。」
「増当田物流?」
「ええこの九是山市周辺で運送業をしている増当田物流という会社です。1年ぐらい前に古い倉庫を取り壊して新しい倉庫に建て替えたんですが、いつまで経っても営業が始まらないなとは思ってたんですよ。」
「1年前に建て替えをしたわけか、そりゃあ新しいわけだな。しかし営業が始まらないというのはどういう事だ、普通建物が建ったら業務を始めるものなんじゃないのか?」
「普通ならそのはずなんですが、なぜかいつまで経っても営業が始まらないんです。」
「今日がたまたま休みなだけじゃないのか?」
「ここの前を何度も通った事がありますが、ここの倉庫に車やトラックが入っていったり、駐車場に車が止まっているのを1度も見た事がないんです。」
「妙じゃないか、倉庫は建設して完成しているのに、稼働させないなんて。」
「まあ資金面とかで問題が発生して操業できないなんていうのはよく聞く話ですし、この増当田物流もそういう感じなんじゃないですか。」
「とにかく増当田物流の人に話を聞きたいところだな。たぶんあそこが出入口だろう。」
俺は白い建物のメインゲートを指さして言った。
「あそこに窓がいくつもついてますから、あそこに事務所があるとは思いますけど、この様子じゃ誰もいないんじゃないですかね。」
「ダメ元で行ってみよう。」
俺達はメインゲートの前までやってきてインターホンを鳴らした。
だがインターホンを何度か押したがしばらく待っても誰も出てこなかった。
「やはり誰もいないか。」
「どうするのお兄ちゃん?」
「増当田物流で働く人から話を聞きたかったが、営業してないんじゃしょうがないな。できれば話を聞いたうえで、倉庫の中も見せてもらいたかったが。」
「分かりました、では私がここの管理者に連絡をしてその旨を話してみます。」
「頼んでいいか。」
「お任せを。」
「でもお兄ちゃん、ここが倒産してたら話ができないんじゃないの。」
「いや大丈夫だ。あれを見て見ろ。」
俺はインターホンの上を指さした。
「監視カメラが動いているだろう。」
理沙と栗林刑事が上を見上げた。
「ああなるほど。」
倉庫の天井部分に監視カメラが設置されており、俺達に反応してカメラ部分が移動していた。
「監視カメラが動いているって事は、ここがちゃんと管理されているって事だ。つまり誰かしらの管理者はいるという事だ。」
「また日を改めて来るとしよう。」




