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17話 理沙の捜査協力

捜査は難航を極めていた。


俺は今日も捜査本部で頭を悩ませていた。


海江田警視正が俺に尋ねてきた。


「秋山と他の号車との犯人達との接点はどうなんだ?」


俺が海江田警視正に答えた。


「それがどうも秋山容疑者と他の犯人との接点がなさそうなんですよね。」


「そうなのか。」


「この事件は被疑者が8人がほぼ同時刻である6月3日午前9時20分に各車両で犯行を一斉に始めている。これは残っている映像証拠や生存者からの証言でほぼ間違いないです。ただどれだけ調べても被疑者同士で接点が全く出てこない。秋山にしても他7人の被疑者にしても犯人同士で電話をやり取りしていた形跡が全くないんです。」


「SNSの方もか?」


「はい、もちろんSNSの方も新川刑事と入念に調べましたがやはり被疑者同士で連絡を取り合っていた様子が全くありませんでした。」


「そんな馬鹿な被疑者たちは午前9時20分に一斉に犯行を始めているんだ。連絡も取らずにあんなことをできるとは到底思えないが。」


「ええそこも本当に不思議な所なんですよね。」


すると後ろから声が聞こえた。


「海江田警視正、今宜しいでしょうか?」


すると俺のデスクの近くに捜査員達が立っていた。


海江田警視正が返答する。


「どうかしたか?」


「この捜査本部からの移動をお願いしに来ました。」


「君達もか。」


「はい、この捜査本部に来てから、得体の知れない恐怖を感じて毎日震えているんです。正直もうこの恐怖に耐えられません。この事件の捜査から外してもらいたいです。」


「分かった、本部には掛け合っておこう。」


「海江田警視正に含む所があるわけではありませんので。」


「ああ、分かっているよ。」


異動を願い出てきた捜査員達が去っていった。


「また捜査員が減ってしまった。」


「これほど怖い事件はそうそうないでしょうから。彼らの気持ちも分からないではないですが困りましたね。」


そして俺はその日の仕事を終えて春山神社へと帰ってきていた。


玄関で理沙が出迎えてくれた。


「お兄ちゃんお帰り。」


「ああ、ただいま。」


俺はあまり感情なく理沙に返答した。


「お兄ちゃん、夕飯を作っておいたから、食べて。」


「ああ、ありがとう。」


俺は部屋にカバンを置くとそのまま台所へと向かった。


台所にはすでに夕飯が用意されていた。


俺は椅子に座ると、すぐに理沙が作ってくれた肉じゃがを頬張り始めた。


理沙もやってきて正面の椅子に座り、料理を食べ始めてた。


理沙もあれから余計にひどくなってしまった。


春香さんの事件以降さらに元気をなくしてしまって、依頼も受けれる状態ではなくなり、神社に籠るようになっていた。


一方の俺も精神的疲労が蓄積されており、元気を振り絞る事はできなかった。


二人とも疲労困憊状態で口数もここ数日は本当に少なくなっていた。


ほぼ無言で食事をしていると、突然理沙がこう尋ねてきたのだった。


「ねえお兄ちゃん、捜査本部の方はどうなってるの?事件の捜査は順調なの?」


俺は首を横に振った。


「いやその逆だ、むしろ難航していると言っていいだろうな。」


「難しい事件だから捜査が難航しているって事?」


「捜査自体も難航しているんだが、それ以前に捜査員が事件を怖がってやめていってしまうから捜査体勢を整える事すらできていない状態なんだ。」


「そうなんだ。」


そして理沙は何か考え込んでいるようだった。


そして俺にこう言ってきたのだった。


「ねえお兄ちゃん、私も捜査に参加させてくれない。」


「理沙が見てくれるって事か。」


「うん、お兄ちゃんはいつも私の依頼に協力してくれるから、私もお兄ちゃんの力になりたいんだ。」


「そう言ってくれるのは嬉しいが、肝心の理沙の方は大丈夫なのか?」


「本音を言えば大丈夫ではないんだけど、今は他の事をして気を紛らわしたいと思ってるから。」


「そうだな、確かに理沙の力があれば何か進展する可能性はある。」


「よし分かった。理沙、是非手を貸してくれ。理沙が参加できるように海江田警視正に話をしてみるよ。」


「ありがとう、お兄ちゃん。」


翌日、俺は海江田警視正の許可をもらった上で、理沙を捜査本部に招いたのだった。


理沙が捜査本部へとやってきてくれた。


「へえここがお兄ちゃんの仕事場なんだね。」


もの珍しそうに理沙が捜査本部の中を見渡していた。


すると海江田警視正が俺達の元にやってきた。


「ここの捜査本部を任されている海江田です。理沙さん、今回の捜査協力誠にありがとうございます。」


「御力になれるかは分かりませんが、全力を尽くすつもりです。」


「よろしくお願いします。」


そして理沙にさっそく笠歌線無差別殺傷事件時の映像を見てもらう事にした。


俺はPCを立ち上げて動画再生の準備を行った。


俺は理沙に尋ねた。


「理沙かなりショッキングな映像だから気分が悪くなったらすぐに言ってくれ。すぐに映像を止めるから。」


「うん、分かった。もう覚悟はできてるからいいよ流して。」


理沙に笠歌線無差別殺傷事件の1号車の映像を見てもらった。


理沙は画面に釘付けになっていた。


「理沙、かなりショッキングな映像だろう。一旦止めても構わないぞ。」


「大丈夫だから、お兄ちゃんそのまま続けてくれる。」


「ああ。」


俺の心配をよそに理沙は最後まで映像を見終えたのだった。


すると理沙はこう尋ねてきた。


「ねえお兄ちゃんこの人達ってどこから乗ってきたか分かる?」


「犯人がどこから乗車したかって事か?それならこの駅の一つ前の九是山駅で8人が全員乗車している。」


「ううん、そうじゃなくて聞きたいのは乗客の人がどこから乗ったかを聞きたいの。」


「乗客達がどこから乗ったかを知りたいのか?」


「うん。」


すると新川刑事が理沙に答えてくれた。


「えっと大半の乗客は九是山の3つ前の駅の宇木須(うぎす)駅から乗り込んでいるはずです。」


「6月6日の午前8時50分くらいの宇木須駅(うぎす)の3番ホームの映像を見たいんですけどありますか?」


「すぐに流す。ちょっと待っててくれ。」


俺は捜査資料の一つとして取り寄せていた宇木須(うぎす)駅のホーム映像を準備したのだった。


「これがあの日の宇木須駅の3番ホームの映像だ。」


理沙が見たがっていた宇木須駅の3番ホームの映像の再生を始めた。


するとそこにいたみんながこの映像を見て驚いたのだった。


俺ももちろん驚いていた。


「これはどういう事だ?」


当該列車が来る前の3番ホームではあちこちで乱闘騒ぎになっていたのである。


「時間は当該列車が来る2分前の午前8時48分の映像なんだが、これはどういう事だ?」


「そこらじゅうで殴り合いの喧嘩が起こってるぞ。」


「それに駅員が乗客を追い回しているぞ。なんだこれは。」


「分かりません、この暴れている連中は犯人達なのか?」


「違います、犯人は8人が全員この3つ後ろの九是山駅から乗ってきているのは、映像などから確認済みです。」


「じゃあこの暴れている人達はなんなんだ?」


俺は海江田警視正に答えた。


「たぶん笠歌線大量殺傷事件の被害者の人達だと思います。」


「馬鹿な、なんで殺傷事件の被害者達が3つ前の駅で大暴れしなければならないんだ?」


すると堀刑事が海江田警視正に答えた。


「実はこれに関して不可解な情報が寄せられてはいました。」


「不可解な情報というのは?」


「宇木須駅では電車に乗ろうとした乗客達が他の乗客や駅員によって妨害されたというです。ある乗客の話では宇木須駅で電車に乗ろうと駅のホームで待っていたら、前に並んでいる乗客が振り返って話しかけてきたそうです。鬼のような形相で電車に乗ったら殺すぞと大声で脅されたそうです。」


「他にもこういう証言もありました。後ろに並んでいた複数の乗客達が奇声をあげながら近づいてきてそのまま囲まれそうになったので、怖くなって宇木須駅から逃げてきたと。」


「さらには駅員達がホームに向かって階段を登っていた乗客に対して、お前らは電車に乗るな!!と大声で叫びながら上から突き落とされたそうです。」


「堀刑事、どうして報告しなかったんだ。」


「さすがに事件の被害者達がそんな事をするとは思えなかったので、虚偽の証言かと思い報告しませんでした。」


「証言はすべて報告してくれ。」


「すいません。」


堀刑事は平謝りをしていた。


俺は理沙に尋ねた。


「理沙、何か見えたんだな?」


「うん、乗客や犯人のみんなに青い自然霊が憑いてるの。」


みんなは訳が分からないようだった。


「青い自然霊がついてる?青い自然霊って雄太君についてたやつか?」


「たぶんね、雄太君に憑いていた青い自然霊だと思う。」


「それでどの人に憑いているんだ?」


「だからみんなに憑いているの。なんか乗客一人一人にあの青い自然霊が一体づつ憑いているんだ。雄太君に憑いていた奴とたぶん同じだと思うんだよね。」


「ちょっと待ってくれ、それはどういう事なんだ?」


「うーんちょっと私にもどういう事かまでは分からないかな。」


理沙はその後の時間も捜査協力を続けてくれたが、結局その日の捜査ではそれ以上の事は分からずに終わった。


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